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神という名の  作者: クリアノート
2章 希望と絶望
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第22話 弥勒菩薩

〜 地獄門前 〜


「皆殺しだ〜‼︎」


数万の軍勢というか、百鬼夜行を思わせる妖怪の大群が地獄門に迫っていた、冥界軍である。


その中で一際目立っていたのが、牛鬼の背に取付られた椅子に座りながら白い袴姿の男、あの名高き戦国武将であり、第六天魔王と恐れられた織田信長である。


乗り込んで数刻、鴉天狗が信長の元にやって来て報告した


閣下、亡者ばかりで魔王どころか鬼すらいません。


「良く探せ、奴ら巧妙に隠れて、不意打ちする算段かもしれぬ!」


〜 数時間前 〜


ラグナロクが終わった時に、ヒカリ(ミカエル)はベルゼブブとも心のパスを繋ぎ、通信出来る様にしていた


心のパスは物凄く便利ではあるが、直近の現世で関わりの深かった者と直接触れる事でしか繋げない事から、現在はあかりと司に繋げられるだけでる


そして繋げたはいいが、あかりとは頻繁に話しをしていたのであるが、司に話しかけてもそっけない返信が返ってくるばかりであった…


まあ戦争の勝利側と敗北側という側面もあり仕方ない部分もあるが、もう少しどうにかならないものかと、心に引っかかっていたのであったが、そんな司から慌てた通信が入った


((ヒカリ、お前何やらかしたんだ?))


((それだと、いつも私が何かやらかしているみたいじゃない、こんな完璧美少女を捕まえて!))


((魔界が雁首揃えて地獄に攻めてきやがった!))


((其方にも行ったのね…つい先程オリンポスと冥界が極楽に攻めて来たと、あかりから連絡があったのよ))


((マジかよ、オリンポス・冥界・魔界が手を組んで、極楽と地獄を潰しに来たって事か?))


((そうでしょうね、極楽と地獄を各個撃破した後に天国に来るって算段じゃないかしら))


((で、どうするんだ? 地獄には派遣された天使もいるだろ?))


((ん〜、司はラグナロクの時に放ったハーロイーンをあの時の何割程度で放てる?))


((俺が全快してないのと、戦闘員が激減したからな〜、いいとこ3割かな))


((それじゃあ、どうしようもないわね…仕方ないから地獄の連中と天使達を纏めて天国に逃げて来てよ))


((はあ?地獄の住民残して逃げられる訳ないだろ))


((貴方馬鹿なの?その住民を死ぬ間際まで拷問して、生き返えらしてるのは何処のどなたかしら?


天国の住民にとっては死んで現世に行く事が苦行かもしれないけど、地獄の住民にとっては死んで現世に行く事は救いでしかないのよ


ただ、現世で大幅に人口が減ったから、転生しても動物やら虫とかになる可能性が高いけど…自業自得でしょ))


司は釈然としなかったが、言い返す事が出来なく渋々了解して、天使と地獄の者達を纏める様に指示をだした


((因みに、緊急避難用の脱出経路なんてあるの?))


((一緒に逃げる天使達から結局ばれるから話すが、地獄最下層の強大な穴から少し落ちた所にある秘密の横穴があって、そこから外に出られるんだわ))


((んじゃ、そこを通って天国まで逃げて来てね))


こうして、地獄軍は敗走したのである


〜 3日後、極楽 〜


極楽は城壁とその上空に多数の兵士が等間隔で浮かんでいた


オリンポスと冥界の連合軍が極楽を取り囲み、 その中から一際派手な装備を身に纏う2人の男が前に出て来た


「我はオリンポスのゼウス、我ら連合軍は極楽に対して戦線布告する!」


「我は冥界のハーデス、我ら連合軍は極楽に対して戦線布告する!」


それに対して極楽も一人の胡座をかいて浮かぶ少年が出て来た


「我は弥勒菩薩、両者に問う、これは避けられぬ戦いであるのか?」


そう問われたゼウスとハーデスは


「「無論だ!」」


と同時に答え、それを聞いた弥勒菩薩は何を話しても無駄だと悟る


「では1時間の後、雌雄を決しよう」


と答え、連合軍と極楽との戦争が決定したのである


〜 1時間後 〜


「我が名は海王ポセイドン、一番槍は貰い受ける!」


と、青い鎧を纏い、青い長髪と碧眼、三叉の槍を持ったイケメンが極楽に突っ込んでいき、それに呼応する様に連合軍が一斉攻撃を仕掛けたのである


『クリスタ◯ウォール!』


だが、その軍隊は突然立ち止まった、というか見えない壁にぶつかった


その隙に防衛していた極楽軍が放った雷が天から幾千と降り注ぎ、連合軍の先鋒を黒焦げにした


実は、弥勒菩薩もベルゼブブが死んだ後、ミカエルと同様に仮死状態になり現世に赴いていた


現世ではインドに生まれ、賢い子ではあったが、病弱で、家に籠もる事が多くアニメにドップリハマっていたのである


そして今、追撃として、弥勒菩薩は両手を掲げて叫ぶ


『エクスプロージョン‼︎』


天に魔法陣が描かれ放たれた巨大な光が、敵陣の中央に降り注ぐ


ズッドォォォ〜ン!!


弥勒菩薩が非戦闘員の仏様達から力を集めて放たれたエクスプロージョンが、敵陣中央に炸裂し爆風が吹き荒れた


「ウォォォー!」


これで趨勢が決まってとばかりに、極楽の戦神たちが雄叫びを上げたのである


だが、エクスプロージョンの爆心地には、バリアの様な者で包まれた集団がいた


「やはり開戦と同時に仕掛けて来ましたね」


「ああ、もし不意打ちで食らっていたら、全滅してたんじゃない?」


「まあ、ゼウス様やハーデス様は生き残ってたかもしれないけど、タダじゃ済まなかったのは確かね」


その中心には白い鎧と大きな盾を持ち、金髪のショートボブのアテナがいて、ゼウス、ハーデス等、錚々たる面子もそこにいた


実は、オリンポスと冥界が極楽を攻めた最たる理由がここにあった


ラグナロクより以前に、オリンポスにミカエル、弥勒菩薩、ベルゼブブが現世に行き巨大な力を得て戻ってきたという情報が、神と呼ばれたエデンに瓜二つな少女からオリンポスにもたらされた


幹部達は半信半疑であったが、ラグナロクでミカエルやカメハ○派を使い、ベルゼブブがハーロ○ーンを使った為、信じざるを得なくなった


今まで均衡を保っていた6ヶ国があり、その内2国が戦争で大幅に衰弱してバランスが崩れ、残る4ヵ国の内の1国が一撃で戦争を決定付けられる程、強大な力を持っている事が判明したならば他の3ヶ国はどうするだろうか?


何らかの対抗処置をとる必要があり、そして今回の場合はオリンポスと冥界、魔界が共同戦線をはり、極楽と地獄へと進行したのである


「まずいな」


弥勒菩薩の予定では、この時点で勝利が確定しているはずであり、敵の5割は削れるはずであった


だが、オリンポス軍も天国と地獄の戦争で初っ端にぶちかました事を知っていた為、もし弥勒菩薩が現世を体験していた場合は何かして来る、と進言してアテナに力を集めエクスプロージョンを防ぎ切ったのである


そして、敵の主力がほぼ無傷であった事から、弥勒菩薩は勝利を諦め、少しでも非戦闘員を逃がす時間稼ぐべく遅滞戦を敢行する


広範囲に展開されたクリスタ◯ウォールは、直ぐに破られ両軍合い乱れる乱戦へと突入した


こうなってはエクスプロージョンなど撃てるはずもなく、数の上で圧倒的不利な極楽は徐々に削られていった


数時間後、残る極楽軍はゼウスとハーデスを相手していた満身創痍の弥勒菩薩だけとなった


「流石に弥勒菩薩といった所か、我ら2人相手によく持ち堪えたな、だがそろそろ終わりだ」


「そうだね…最後の悪あがきをさせて貰うよ…」


『エクスプロージョン‼︎』


弥勒菩薩は自らにエクスプロージョンを落とし、弥勒菩薩を中心として大爆発が起きた


ゼウス、ハーデスは多大なダメージを負い、付近の軍勢は消滅した


そして、そこに弥勒菩薩の姿は無かった


「開戦の時より威力が劣って、この有様かよ…」


「まさか、最後の最後に我らを道連れに自爆するとはな…」


こうして、極楽軍とオリンポス&冥界軍の戦争は終結したのであった。

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