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神という名の  作者: クリアノート
2章 希望と絶望
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第21話 連合軍

〜 3週間後 〜


「ヘラよ、ここにルシファーの剣を持つ者がいたのか?」


金髪パーマで碧眼、若干髭があり、黄金の鎧を纏ったゼウスが訪ねた


「ええ、ルシファーの剣を持つトラの獣人と、その従者であろうナーガとアルラウネはかなりの使い手でした」


「そして、その後ろでまるで見世物を見ているかの様に座したつボスと思われる巨人がアレですわ」


「ほう、ヘラ殿を打ち負かすとは中々であるな、我らの軍に欲しい位だ、降伏勧告でもしてみるか?」


白銀の鎧に身を包み、黒髪の長髪で切長の黒い瞳、少し影のあるハーデスが訪ねる


「すまんが今回は諦めてくれ、万が一、時間稼ぎをされた挙句、挟撃なんてされたらマズイだろ」


「ならルシファーの剣だけでも、どうにか手に入れられないか?」


「もし何処かに隠していたなら、見つけるのは一苦労ではあるか」


オークの村を十数万と思われる軍勢が空中からぐるりと取り囲み、その中でも一際豪華な衣装に身を包んだ者達、ゼウス率いるオリンポス12将と、ハーデス率いる冥界12将が話していたのである


「なら、ルシファーの剣を持って来た者1人だけ残して、他は殲滅するってのはどうだ?」


「その辺りが妥当な線か…ただ余り時間はかけられないから、全軍の休憩も含め1時間の猶予を与えて出て来なければ、殲滅だな」


「まあ、ルシファーの剣であれば消滅する事はないだろうさ」


と、話しは決定し、ヘラが1人オークの集落に近づいて来て宣言した


「これより、1時間の猶予を与える、我々にルシファーの剣を持って来た1名のみを助け、他は皆殺しとする!」


一方、オークの集落では戦々恐々としていた


降伏勧告ではなく、もたらされたのは殲滅勧告であり、取引の手掛かりであるルシファーの剣すらない…戦闘になった場合、まず間違いなく全滅するのは目に見えていたからである


1時間の間にエバーも含め、村人全員が中央広場に集められ、それを取り囲む様に豚ジル隊がとり囲んだ


「これが答えだ、神風◯術‼︎」


豚ジル隊全員が同時に唱えると、中央広場を中心とした巨大な竜巻が発生してオリンポスと冥界の連合軍を襲った


「フッ、所詮は雑魚どもの作った竜巻よ、全軍放て!!」


視界こそ奪ったものの、全方位を包囲した連合軍相手に逃げ場などなく、全方位から雷、炎、風の刃による集中放火が浴びせられた


「チッ、何もかも消滅したか、仕方ない先を急ぐぞ」


竜巻も消え去った後に残ったのは、広大な焼野原だけであったのである



〜 更に2週間後 〜


「ねえ、あれじゃない?」


飛行しながら極楽に向かう事1ヶ月ちょい、やっと城壁っぽいのが見えて来た


飛行する事に慣れていないせいもあって、思ったより時間がかかってしまったが、歩いて来るよりは全然ましなので良しとしよう


すると、極楽から高速で飛来する影が1つ見え、止まったと思ったら、目の前に巨大な雷が落ちた


「おい、そこの化け物達、それ以上近付けば黒こげにするぞ」


金髪の偉丈夫がそう言い放ったが、周りを見渡す3人


化け物?…変身して空飛んでるクーを見て、まあしゃあないか、と納得する


クーはクーで、ナツキを見て、空を走ってる蛇じゃあね〜とか思ってたりしたが…


「2人は仕方ないとしても、私を化け物扱いするのは無いんじゃない?」


と、ムツキが言うと、3人で喧嘩が始まった


いい加減苛立った偉丈夫が


「お前ら3人の事だ!」


と、纏めて始末する為、特大の雷を落としたが、避けられた


「「「ア゛〜?」」」


と、レビィばりの物凄い形相で振り向く3人


ナツキは振り向きざまに剣を投げ、偉丈夫が剣を避けると同時に、斬りかかるムツキ、ムツキの斬撃を辛うじて交わした偉丈夫だったが、クーが両手を左右からクロスさせると、指先から5m程出ていた細い糸が偉丈夫に絡まり、動けなくなった


先程まで喧嘩をしていたとはとても思えない見事な連携で囚われ、唖然としていた偉丈夫であったが、我を取り戻し


「お前ら何しに来た!」


捕らえられているとは思えない高飛車な態度にムカついた3人は、とりあえずタコ殴りにした


「き、綺麗なお嬢様方…何をしにいらっしゃったのでしょうか?」


「え〜と、弥勒菩薩って人に会いに来たんだけど、知ってる?」


「知ってるも何も、この極楽を統治してる方だ、会える訳ないだろ!」


「ん〜、ミカエルからの依頼で来たんだけど、どうしても無理?」


「ミ、ミカエルって…天国のミカエルじゃないよな?」


クーが偉丈夫の手をとると


((貴方に呼び捨てにされるとは心外ね〜、天国のミカエルよ、そもそも、そこの虎のお嬢様が持っている剣を見たなら、事の真偽が解るんじゃない?))


偉丈夫がムツキの持っていた剣を見ると


((ま、まさか…ルシファー様の剣…という事は貴方はミカエル様、天国の使者に大変申し訳ない事をしました))


((判ればよろしい、なら、彼女たちを弥勒菩薩の所まで案内してあげてくれるかしら))


こうして極楽を案内される事になった


「俺はルドラだ、これでも警備隊の隊長をしている」


警備隊の隊長が簡単に簀巻にされて、タコ殴り…


極楽大丈夫か?と思わったが、不機嫌なまま案内されるのも嫌なので、黙っておいた。


極楽は外敵を防ぐ為、まるで万里の長城を思わせる城壁に囲まれており、城壁の上には幾人もの警備兵が警戒していたが、ルドラの案内ですんなり通る事が出来た


中は、春の木々が生える場所、夏の木々が生える場所、秋の木々が生える場所と、それぞれ別れており、自然豊かな大変美しい場所であった


又、彼方此方の大きな木の下で、仏様が、人々に説法を教えている姿が見られた


そして奥に進んで行くと、木造の、というか、木の密集した所をそのまま住居にした様な所にたどり着いた


入り口には、巨大な赤と青の阿吽の像が飾らせており…というか動いたのには驚かされたが、取り敢えず中の応接間に通され、暫く待つ事になった


待っていた間、如何にも女神さまといった感じの女性が、お茶を持って来てくれた


お茶は微かな甘みを含み、添えられた果実はとても甘かった


暫く待った後、弥勒菩薩への謁見が許された


勿論、クリ棒とルシファーの剣は預けられた。ムツキは渋っていたが引き渡し、謁見の間に辿りつく


謁見の間の左側にはルドラを含む強面が立ち並び、右側には優しげな仏様が立ち並んでおり、中央の木の台座に足を組み、肩肘をついた子供が座っていたのである


「形式ばったものは好きじゃないから、とっとと入って来なさい」


そう子供に言われ、入っていくと


「我が弥勒菩薩である、ミカエルと話が出来るという娘、近う寄れ」


そう促されクーは弥勒菩薩の前に出た


弥勒菩薩は少し茶色掛った黒髪の短髪、知的で優しそうな印象で、仏様と同じ様な茶色の服に帯留めをしていた


「私に触れるとミカエルと話せるよ」


弥勒菩薩はクーの手に触れて、ミカエルと話し出した


ミカエルは地獄と戦争した経緯、現状、そしてルシファーが居なくなった事によりいずれかの勢力が動き混沌とした状態になるのを回避する為、不可侵条約を結ばないか、という提案であった


バタン!


その時、扉が乱暴に開かれた


「申し上げます、オリンポス軍と冥界軍が極楽に向けて進軍して来ております!」


「確かであろうな?!」


「は!、総勢10万を超す軍勢が此方に向かって来ております。その中にはゼウス、アテナ、ポセイドン、ハーデス、ペルセポネ、リリスを確認しました。恐らく3日程で到着します」


報告を聞いた弥勒菩薩は険しい表情で少し考え


「戦えない仏達の避難を始めるように!」


と早速指示が飛び、忙しなく避難を始めた


弥勒菩薩は極楽の住民全てを避難させたいのだが、数千万の住人を避難させるのは不可能である為、オリンポスや冥界軍が一般住民を無下にしない事を祈るだけである


そして弥勒菩薩は、ミカエルと再度話し始めた


((という訳だ、条約については遅すぎたみたいだな))


((そうみたいね、今から大急ぎで編成して其方に向かっても2週間後になるけど、持たせられる?))


((どんな結末になったとしても、5日後には全て終わってるだろうな…気持ちだけ受けとっておくよ))


((そうですか、ご武運をお祈り申し上げます))


こうして弥勒菩薩とミカエルの会談は終わった


「私達に何か出来る事はない?」


そう尋ねるナツキに、来たばかりの客人に大した事はさせられないと判断した弥勒菩薩は


それでは、仏様達の避難を手伝って欲しいと頼んだのであった。

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