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神という名の  作者: クリアノート
エピローグ
2/42

第2話 記憶

「嬢ちゃん、大丈夫か?」


豚が喋った、言うなら紅の豚の主人公からヒゲを無くした感じだ、もしやあれがファンタジーでいうオークというやつだろうか…だとすると…凌辱される?


「イ・ヤダァァァ〜」


必死に逃げた、それはもう、がむしゃらに!

振り返ると、豚が追いかけてきていた


恐怖に引きつり、家の方へと逃げていく、するとムツキが見えた


「ムツキちゃ〜ん、逃げて〜!」


「あら、ジルさんじゃないの、どうしたの?」


ナツキは拍子抜けしてコケた、そして這いずりながらムツキの後ろに隠た


「知り合い…なの?」


とムツキに尋ねると、近くの集落に住んでいるジルさんだという


「ま、まさか、既に手籠めにされたんじゃ…」


?といった顔をしているムツキの反応を見ると、どうやらオーク=女性を凌辱ではないらしい


「スマンスマン、火の玉が飛んできたのでな、てっきりサラマンダーかと思ってヤリを投げたのじゃよ、すると嬢ちゃんがいて、逃げてったというわけじゃ」


「ああ」


納得がいったらしいムツキ


「そっちの嬢ちゃんは、ムツキさんの連れかね?」


「ええ、現世からやっと帰って来たんですよ、ただ、現世での生活が長かったせいか、此方の事を中々思い出してくれなくてね〜」


何か近所のおばさんの井戸端会議をみているかのようだ…


「そうかそうか、それは良かったな、ならお詫びと、お祝いもかねてご馳走したいから、集落にこないか?」


ムツキを見る限り危険は無さそうだし、他の生活がどの様な物か知りたかったのもあり、御相伴になる事にしたのである


ナツキ、ムツキ、ナツキの肩に乗ったクーは、ジルの後をついていき、歩く事1時間、木の柵に囲まれた村?の様な所にたどり着いた


そこでは、エルフやドワーフやピクシー等様々な種族が暮らして…は居なかった。


見渡す限り、豚、ブタ、ぶた…よく見ると賢そうな豚や、チンピラ風の豚、色っぽい豚等いるが、一面豚だった


断じて綺麗なエルフのおねいさんを見たかった、という訳ではないが…まあ少しは見たかったが…これだけ豚だけだと、出される料理が心配になってもくる


出された料理は何の肉かは判らないが、だだ焼いて切っただけに見える…


「美味い!そしてこの飲み物がとても美味しい!」


ムツキやクーちゃんも大喜びで、騒ぎ、踊って、爆睡したのである


それを見届けたジルは、両手を合わせて合掌した


「ちょっとちょっと、起きてよ!」


ムツキに呼ばれて目を開けたが、何も見えない…目隠しをされているようだ


目隠しを取ろうとするが、身体が何かで巻かれていて身動きがとれない…というか吊るされているらしく、足すら地面についていない


昨日はジルに連れらて行った村で、ドンチャン騒ぎをして…目隠しされて、縄でぐるぐる巻にされて…何かのサプライズか?


「ムツキちゃん、クーちゃん、大丈夫?」


「大丈夫って状態じゃないけど、怪我はないよ」


「プラプラしてる〜」


「ジルに嵌められたみたいだね、とっとと逃げなきゃ」


縄に火を灯し、焼き切ろうとも考えたが、もし燃え広がった場合、身動きも取れずに丸焼きに…シャレにならない未来が予想出来たのでやめた


「まかせて!」


と、クーが意気込む


ピキッ!


クーの背中が割れ、脱皮して飛び出してきた


「シャッキ〜ン!」


殻の上でポーズをとったクーはナツキの上に飛び乗り、牙で縄をコリコリと削っていったのである


そして10分後…ドサッ!ナツキの縄が切れて床に落ちた


「イタタタタ…やっと解けた〜」


「私も早く出して〜」


「ハ〜イ」


コリコリと削ってくれている


「シャキン!!って簡単に切れない?」


「風魔法使うと、ムツキちゃんまで切れちゃうかもしれないけどいい?


「今のままでお願い…」


それからナツキとクーが協力して、漸く3人とも縄から脱出出来たのであった。


「ここ何処だろう…」


と冷静になり辺りを見渡すと、すぐ側に洞窟がある…何処かで見た事がある気がする…


すると、何かに気付いたムツキは血相を変えて、クーを拾い、ナツキを引っ張ってその場から駆け出した


洞穴からドラゴンが顔を出した、以前にナツキが殺された例のドラゴンである。


「グォォォ〜!」


ナツキも全力で走る…が木を避けながら走るナツキに対して、木を踏みつけて駆けるドラゴン、しかも圧倒的に歩幅が違い、追い付かれるのも時間の問題


『ファイヤーボール!』


ナツキがドラゴンに向けてファイヤーボールを放つが、全く効いていない


「それなら、『ファイヤーボール!』」


ムツキが逃げている方向にファイヤーボールを飛ばすと100m程先に火がついて、一気に燃え上がった


「火の中に突っ込んで!」


一瞬何を言っているのか判らないが、ムツキを信じて火の中に突っ込んだ。


すると、ムツキは急に方向転換をして、少し先にあった木の影に隠れた


ドラゴンはそのまま直進していき、どうにかやり過ごす事が出来たのである。


「ハア、ハア、どうにか逃げ切れたみたいね」


全身黒焦げの酷い状態であるが、どうにかこうにか2人と1匹は無事であった


「ムツキちゃんだけなら、前みたいに木の枝の上を飛んで行けば、楽に撒けたんじゃない?」


「え、前って…ナッちゃん記憶戻ったのね!」


嬉しそうにナツキに抱きついたムツキであった


「ジルめ〜、煮込んでトン汁にしてやろうか」


「そうだそうだ」


怒り心頭のムツキ、クーと一緒にジルに問い詰める為、オークの村に向かっていた。


もし村ぐるみの犯行なら、村に入った途端に捕まって逆戻りという事もありえるので、村の外でジルが1人になった所で拉致する予定である。


そして村に辿り着いた、いや村だったと言った方が正しいだろうか…一面焼け野原がそこにはあった


「何これ…」


焼け焦げた家々を見渡しながら、村の奥に進んでいくと、人影を見つけた


焼け焦げた家の前でへたり込んでいた者は、ジルだった。


ナツキ達が近づくとジルは気付き、走ってナツキの胸ぐらを掴み


「お前たちが逃げたりするから、こんな目にあったんだ!」


理不尽で身勝手な言い分に、思う所はあったが、あまりにもボロボロに泣きながら喚き散らしたジルに、何も言え無い一同であった


散々喚き散らしたジルは大人しくなり、ナツキは何があったか尋ねた


「お前ら済まないな…ドラゴンへの生贄にしたのを棚に上げて…」


全くその通りだが、この惨状を見ると怒りすら吹き飛んだ


「俺は狩に出かけていてな、途中で村の方から煙が上がっているのに気が付いて、大急ぎで戻ってみると、ドラゴンが村人を食い殺し、焼き払っていったんだ」


「あのドラゴンには数年に一度、生贄を捧げていたんだ、その日が昨日で、本来は俺の親友の番だったんだ」


「だけど、お前達に偶然会ってしまったもんだから、欲が出てな…済まなかった」


「だが、こうなってしまったのは、全て自業自得、俺の責任だ」


「虫のいい話なのは承知しているが、俺は叶わないまでも、あのドラゴンに一矢報いたい、何か良い方法が無いか知恵を貸してくれ、お願いだ」


あのドラゴンには一度殺され、昨日も殺されかけた、2度ある事は3度あると言うし、倒せるのなら倒したいという気持ちはあった


「基本戦うのはジルで良ければ、手を貸すよ」


「ああ、それで十分だ、宜しくな」


「それでは、憎っくきドラゴンをぶっ殺すぞ〜」


「「「お〜!」」」


こうして、ドラゴンに無謀な挑戦をする為、一時的にジルと手を組む事になったのである。

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