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神という名の  作者: クリアノート
2章 希望と絶望
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第19話 束の間の平和

「ウヘヘヘヘ」


ラグナロクから10日程経過したのだが、ムツキは布で巻いた何かを頬擦りしながら、気持ち悪い声を出しながらニマニマしてたりする


「それ何なの?」


と、聞いてはみるが


「内緒!」


と言って教えてくれなかったりする


クーはと言えば


((ね〜聞いてよ〜ウリエルったらさ〜仕事サボって遊んでるのよ〜信じらんないでしょ

猫の手も借りたい時にさ〜))


等と延々ヒカリ(ミカエル)からの愚痴が飛んできて、虚ろな目でウンウンと相槌を打っていたりする


実際に天国と地獄は、管理する側の人材が激減したのに、現世では戦争があって霊界に人が押し寄せたので、目も当てられない惨状になっていた


それでもなんとかなっていたのは、ヒカリやベルゼブブ達が奮闘していたからに他ならないのではあるが、巻き添えを食らったクーはご愁傷様と言うしかない


本来なら、クー、ヒカリ、司でお茶するはずが、そんな余裕はカケラも無かった


ただ、ナツキ達も実は暇では無かったりする


天国、極楽、オリンポス、地獄、冥界、魔界、その全てで流れ込んで来た人々で溢れ、ナツキ達のいる煉獄でもチラホラ普通の人を見かけたからである


見かけた、と言っても魔獣に襲われている最中である事が多く助けてはいるのだが、収容先が無かったりする…


「収容先が無いなら、作ったら?」


ふとクーが言った一言がキッカケとなり、収容所作りを検討した


場所の候補としては、ドラゴンがいた洞穴、ジルがいた集落跡地が候補に上がったが、洞穴は人が増えた時に拡張出来ない事から、ジルがいた集落跡地に決めた


と言っても、ドラゴンによって住処は全壊している為、柵や畑程度しか使えなく、無いよりマシな程度だと考えて集落の跡地に向かった


訪れてみると、村が再建されていた…


恐る恐る近づいてみると


「お〜い、嬢ちゃん達、元気にしてたか〜?」


と、聴き覚えのある声が聞こえて来た、オークのジルである


「つい先日こっちに戻って来たんだよ、現世じゃ悲惨な戦争があってな…ここにいた奴らも殆ど戻って来てるって訳さ」


全ての経緯を知っていて、止められなかったので、申し訳無い様な複雑な思いに駆られた


「あのドラゴンがいない所をみると、あの時倒せたんだな…」


「ええ、ジルさんの特攻で、ドラゴンは爆散しました」


「嬢ちゃん達が手伝ってくれたお陰だ、ありがとうな、お陰で集落の復興も順調に進んだよ」


というか、初めて訪れた時より立派になっていたので、ここなら避難民は収容できそうではある


オーク達が受け入れてくれて、更に避難民達がオークに恐怖を覚え無ければ…であるが…


オークといえば、女性を凌辱して孕ませる、なんてイメージが定着しており、紅のブタみたいなイメージを持っている人は殆どいない


まあ、簀巻にされてドラゴンの餌にされそうだったのだから、あながち間違っちゃいないの…か…?


個人的には、共にドラゴンとの死闘を繰り広げ、脅威も去ったのだから、もう裏切らない…と思いたい


「ジルさんや、一つお願いを聞いてくれないかね?」


「何他人行儀な言ってんだよ、俺達はあんたらに大きな借りがあるんだ、出来る事なら何でもするから言ってみな」


ナツキは現世での戦争のお陰で、霊界に人々が溢れて、ここ煉獄でも彼方此方で普通の人々が魔獣で襲われており、見つけたら助けている事、助けたはいいけど、収容先が無いので困っている事を説明すると


「なら、この集落で匿ってやるよ!」


と、男らしい事を言ってくれたのであった


こうしてジルの村に人々が収容されていき、ジルの村は拡張されていったのである


尚、ナツキ達に感化されたのか、ジル達にも避難民の救出部隊が作られた


救出部隊はジルを筆頭に5人で構成され、オークというイメージを少しでも良くしようと、赤、青、黄、緑、ピンクの忍者衣装で身を包み、オーク戦隊と名乗っていた


だが誰が名付けたのかリーダーの名前に因んで、豚ジル戦隊と呼ばれ、其方が通り名として定着してしまった


豚汁と聞いたクーは


「豚汁美味しそう〜」


とヨダレを垂らしたが、ナツキはジルが鍋で煮込まれた姿を想像してしまい、ドン引きした


まあ、豚ジル戦隊の活躍もあってオークと避難民達は目立った諍いもなく打ち解けたのであった


〜 数日後 〜


「今日も平和だね〜」


そう言いながら、いつもの様に見回りをしていたナツキ達であったが


「あ、あれ何?」


村の方に煙が上がっていた


ナツキ達は急いで村に戻ったのだが、一軒丸々吹き飛び、左右の二軒に火の手か上がっており、オークも人も消化にあたっていた


「みんな、大丈夫?」


「ああ、幸い誰も怪我してないが…」


一部始終目撃していたジルが説明するには、空に大きな盾を持った、黒いドレスの女性が現れて


「薄汚いオーク供が町を作るなど汚らわしい、2週間の後まだここにいる様なら、尽く消滅させてあげるわ!」


と言い放ち、巨大な火の玉を落として飛んで行ったという


折角ここまで発展させた村を捨てて、避難民を連れて別の場所に村を作ったとしても、そこにドラゴンや巨人等の脅威がないとも限らない…


((その大きな盾の特徴は、アテナの盾に良く似ているんだけど、アテナは黒い着物なんか着ないし、盾を貸すなんて考えられないんだよね…だとすると、どっかの勢力の下っ端じゃない?巨神兵で楽に退治出来るでしょ))


クー経由で、黒いドレスの女性が誰だったのか、ヒカリ(ミカエル)に聞いてみたのであるが、もしエバーが村で暴れたら村が壊滅する…しかも相手は空を飛んでいるので攻撃手段が限られ、盾まで持っている


((せめてヒカリちゃんみたいに、飛べたら楽なのに〜))


とクーがボヤくと


((ん?、練習すれば飛べるわよ?))


と、ヒカリからまさかの回答が


((え? クーは羽ないよ?))


と、反論するが


((羽を持った前世があると、空を飛ぶというイメージがあるから飛び易いだけで、現世とは違い天使は羽を羽ばたいて飛んでる訳じゃ無く、魔力で風を作って飛んでるのよ


ナツキの剣が空中で軌道を変えて飛び回るのと同じ原理だよ


ただ、かなり魔力を使うけどね))


「空飛ぶナーガか…シュール過ぎない?」


「昔から中国でも細長い龍として描かれてるじゃん」


言われて見ればヘビが空飛んでいたら、中国の龍に見えなくもないか…と納得した

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