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神という名の  作者: クリアノート
1章 天国と地獄
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第13話 地獄

「俺が引き分けるとはな、あかり(クー)が慕うだけはあるか」


ナーガの女性のヒールを受けて、かなり回復したベルゼブブが握手を求めて来た


「盛大に自爆しただけじゃん」


とクーが小声でツッコミを入れると


キッ、とナーガの女性に睨まれ、クーはムツキの背中に隠れた


ナツキは一瞬戸惑ったが、そのまま放置するのは居た堪れないので、握手したのであった


「ところで、お前達は何処かに向かっていたのか?」


目の前にいるベルゼブブを殺した2人組の正体を探りに、地獄へ向かっていた、何て事は話せる訳が無いので


「あちこち旅してて、一旦古巣に戻ろうとしてたんだよ」


と話した、嘘は言っていない。司も少し引っかかる所はあったのかもしれないが、クーの連れという事もありスルーしたのであった


「なあ、あかり、俺の城に遊びに来ないか?」


どうやって地獄に連れて行って貰おうか、なんて考えていたが渡りに船である


「え〜、どうしようかな〜」


(クーちゃん、私達は地獄に行く為に来たんでしょうが)


と心で突っ込みを入れたが、聞こえる訳もない


「もの凄くカッコイイ城だぞ?!」


「行く!!」


「チッ!」


と舌打ちするナーガの女性


ん、と司が向くが、ナーガの女性は素知らぬ振りである、そういえば、と思い立った様に、司がナーガの女性の紹介をする


「そういえば紹介がまだだったな、こっちはレヴィアサン、これでも地獄の王の1人だ、怒らせたら洒落にならない位怖いから気をつけてくれ」


「嫌ですわ〜ベル様、私そんなに怖くありませんわ、それと、私の事はレヴィと呼んで下さいな」


(イヤイヤ、もの凄い怖いよ、地獄の王そのものだよ)


と気持ちが一致した3人であった


ちなみに、エバーはと言うと、地獄の王が2人もいて入れないなんてある訳も無く、3人はエバーに乗って飛んで地獄に向かう事になったのである


ナツキを呼ぶ時にご主人様って呼ぶと、あらぬ誤解を招く為、ナツキって呼ぶ様にクーに頼むと


「ご主人様はご主人様なのに〜」


と渋られたが、どうにか「ナツキちゃん」呼びに変更して貰えた


〜 8日後 〜


オドロオドロしい山があり、麓に巨大な門が見えた。


「あれが地獄の入り口?」


道中、司とクーは友達の様に話しており、ナツキやムツキも釣られて話してたら、ほぼタメ口になっていた。


蜘蛛だったクーちゃんをベルゼブブが殺したのだが、クーちゃん自身が何も気にせず親しそうに話していたので、ナツキやムツキも気にするのを止めた。


「あれが地獄の入り口、地獄門ございます。どうぞお通り下さい、お嬢様方」


と、司が執事の様にお辞儀した


と、そこに3mはある青鬼と赤鬼が駆け寄ってきた


「ベルゼブブ様、レヴィアサン様、ルシファー様がお待ちです、どうか伏魔殿まで、お越し願います」


強面に似合わず、礼儀正しく司とレヴィにお願いしたのだが


「ん〜、彼女達の案内があるから、パス」


「ベル様が行かないなら、私もパ〜ス」


「え、いや、あの…」


まさか断られる事など想定していなかった鬼達はシドロモドロになった


「お、お越し頂かないと、自分達の首が飛びます、どうか、どうか…」


と、強面の鬼達が揃って頭を下げた


「君達の代わりならいくらでもいるから、大丈夫だよ」


少しイラつき、怒気を含めた司の言葉に、門番の顔が真っ青になった。


これ以上言おうもんなら、この場で殺されそうであるが、司が伝令を無視しても処分される…


そんな時


「ベル様〜」


と、門の中きら駆け寄って来る少女がいた


「彼女は、俺の副官のヒルダ、秘書みたいなもんだ」


ヒルダはベルゼブブと同じくハエの羽を持ち、茶髪ショートの幼女体型である(胸も…)


「やだ〜ベル様ったら、秘書だなんて、もっと相応しい呼び方あるじゃないですか〜、コ・イ・ビ・ト、とか!」


と、司の背中を叩いたのだが、司の背中の服が弾け飛んだ


「私のベル様に、何するの!」


と、司に駆け寄り、ヒルダを睨みつけるレヴィ


「あらあら、そんなに睨みつけると、シワが増えましてよ?」


「はぁ?貧相な小娘が何言ってんの?」


「誰が貧相よ!」


お互いとんでもない魔力を放出し、一瞬即発の状態だ、ナツキ達も逃げ出す寸前だ


「2人とも、怒ると美人が台無しだぞ」


「美、美人だなんて、嫌ですわ…」


「ベ、ベル様がそう言うのであれば…」


と、アッサリ収束した


「ああ、そういえばルシファー様から言付け伺いましたよ、絶対参加しろ!と」


「チッ、しゃあないレヴィ行くか、ヒルダ済まないが、そこの3人を地獄観光がてら、俺の城まで連れて行って、もてなしてくれ」


と、言うも早々にレヴィと門の中に飛んで行ってしまった。


「私はベル様直轄の副官、ヒルダですわ、どうぞ宜しく」


と恭しくお辞儀をされたので


「私はナツキ、こっちがムツキで、あっちがクー、そして後ろの巨人がエバーね、どうぞ宜しく」


「因みに、ベル様とはどういったご関係?」


全員女性なので、訝しんでいる


「ああ、こっちのクーが現世で知り合いだったみたいよ」


「ベル様とは幼なじみだったんだよ」


「な、なんて羨ましい…じゃなく、そうでしたか、それではご案内しますね、私は飛竜に乗っていきますので、貴方達はそこの巨人に乗ってついて来てください。」


と、ヒルダに案内され、門をくぐる


「た、助かった…」


残された鬼2人は、腰を抜かし、へたり込んでしまった


ヒルダの飛竜の後を追い、地獄の奥へと向かう一行


どちらかというと、奈落に落ちて行くと言った方が正しいかもしれない


そして案内されるまま、エバーと共に飛んで行くと、ヒルダが止まった


「ここが地獄の1階層目、マモン様が統治なさっている等活地獄でございます、阿鼻叫喚の絶景を是非ご覧ください」


とヒルダ


そこは見渡す限り人と人が刃物や石、中には噛み付いて殺し合っていた


時々鬼も見かけるが、鬼はくたばりかけた人々を再生して周り、治った人々は又殺し合いを始めていた


「う…気持ち悪くなって来た…」


とクーが漏らしたが、ナツキとムツキも同様であった


「ここは、自分の怒りの感情のままに他者をキズつけた者が来る所なので、自業自得ですね」


と、ヒルダは涼しい顔で答えた


そして、1時間程飛んだ所から又下に落ちて2階層に入った


 2階層目、黒縄地獄:ベルゼブブが支配

人間が木に括りつけられ、鬼達がノコギリで切断しては治すを繰り返していた

ここは自己の快楽を満たす為、犯罪を犯した者がくる


 3階層目、衆合地獄:レビィアタンが支配

針山に大量の人々が串刺しになりながら、ひたすら頂上を目指して登っているのが見える

亡者には絶世の美女や美男が手招きしている様に見えるらしい

強姦や、愛欲に溺れて犯罪を犯した者達がくる


 4階層目、叫喚地獄:アスモデウスが支配

血の池で亡者が溺れ苦しんでるのが見える

主に飲酒や薬物に依存し、犯罪を犯した者がくる


 5階層目、大叫喚地獄:ベルフェゴールが支配

鬼達が大釜で人々をグツグツと煮ているのが見える

大勢の人を殺した者がくる


 6階層目、焦熱地獄:アザゼルが支配

鬼達が鉄板の上で人々を焼いたりしているのが見えた

邪神や悪魔を崇拝して人々を騙し、大勢の人々を犯罪者にした者がくる



 7階層目、大焦熱地獄:ルシファーが支配

鬼達が大きなフォークで人々を串刺しにして焼いているのが見えた

神や正義の名の元に人々を騙し、大勢の人々を犯罪者にした者がくる


「そして、ここが最下層の阿鼻地獄でごさいます〜」


と、案内されたものの、真ん中に巨大な穴が空いているだけで、鬼も人もいなかった


「地獄というわりに殺風景じゃない?」


と、聞いてみると


「ここは人を飛べない様に拘束して、そこの大穴に突き落とすだけなのと、ここに来る様な人は滅多にいないから鬼もいないのよ」


「え、落ちるだけって最下層の割に甘くない?」


「他の階層では、苦しみを与えて改心させた者を現世に転生させるのだけど、ここに来る者は改心の見込みすら無いと判断された者で廃棄されるだけ、霊界で生ある限り落ち続けて消滅し、転生すら出来なくなるのよ」


背中がゾクッと冷たいものが走った


最下層の巨大な穴の縁を暫く飛んで行った先で、ドラキュラが出てきそうなオドロオドロしい西洋風の城が見えてきた。


「あちらがベル様のお城です」


とヒルダ


「やるなベルゼブブ、これぞ魔王の城じゃん!」


とクーは、はしゃいでいた


中入ると、外見と違い赤を基調とした温かみのある格調高い調度品で揃えられていた


「はあ〜疲れた〜」


とソファにダイブするクー


激しく同じ事をしたいが、追い出されて外に放り出されたら、たまったものではないので


「クー、行儀が悪いよ」


と注意しておく


「まあまあ、ベル様のお客様ですので、どうぞ皆様もおくつろぎください」


とヒルダ


「え〜そうですか〜?それでは遠慮なく」


とソファに三者三様でうなだれる一行であった。


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