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神という名の  作者: クリアノート
1章 天国と地獄
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第10話 母と子と

「それでは、其方の銀髪の女性でお願いします」


と、天使の対戦相手にナツキが選ばれた。


(ミカエル様と知り合いらしき少女は巨人に乗っていたから解らぬが、少なくとも残りの2人は巨人の口でへばっていた事から、空を飛べない。


更にその2人の内の1人は剣を持っていたので、近接戦闘員が得意なのだろう、剣で戦う飛べない者など、空から一方的に雷でも放てば、一瞬で終わるはずだ)


と、天使は考えてナツキを指名したのである


ナツキと天使は、天国の端に降り立ち、試合の説明をミカエル(ヒカリ)が行った


「それでは、このコインが落ちた瞬間、試合開始です、いいですか?」


「ちょっと待って〜」


とナツキは獣化してナーガ形態になり、剣を構えた


「オッケー」


「我が名は大天使パウワー、かかって来なさい」


と、両者戦闘体制になった為、コインが弾かれた


キィン!


コインが空中に弾かれ、地に落ちた瞬間、天使は上空に飛んでいき、雷を槍の先端に集めた


「我が雷にひれ伏せ!」


と雷を放つ瞬間


「オッリャァァ‼︎」


とナツキはクリ棒を天使に投げつけた


雷は剣に帯電し、天使を襲う


天使はギョっとするが、すんでで交わした


「まさか剣を投げるとは思いませんでしたよ、それが貴方の唯一の策ですか?」


言い終わるや否や、翼が切り落とされた、クリ棒が空中でUターンして戻って来たのである。


クリ棒はナツキが再三投げつけて狩りをしていたお陰で、少しの間であれば空中機動が可能となっていた


天使は翼を無くし、帯電した雷で痺れ、落ちていく


そこにナツキがヘビの下半身をバネとして飛びかかり、更に空中で反転しシッポをムチの様にしならせ、音速と化したシッポの先端で頭部を打ち抜く


グキ!


嫌な音と共に天使の首が、あらぬ方向に曲がった


「そこまで!」


とミカエル(ヒカリ)の掛け声がかけられ、ナツキの圧勝で試合が終わったのであった


「はあぁ〜…もう少しいい試合になると思ったんだけど…キミは空を飛べる、相手は飛べない、これがどれだけ有利か解ってる?」


ミカエル(ヒカリ)が天使を治療しながらグチをこぼす


「相手の出方がわかったので、次は勝てます!」


と天使が言うが


「試合じゃなく殺し合いだったら、キミは死んでるの、次なんて無いんだよ


あの子達がここまでくるのに、かなりの経験をしているはずだから、弱いとは言わない


でも圧倒的有利な状況で負けるのはキミが油断していたからに他ならない、初心に返って精進する様に」


「は、はい…」


しょぼくれた様に返事をする天使


「後、約束通り、あかり(クー)ちゃん達は私が案内するよ」


と、晴れて天国に入る事を許されたのであった


「案内するとは言ったけど、流石に巨人は街中に入れないよ、大混乱になるから」


エバーは町の外でお留守となり、ナツキ、ムツキ、クー(あかり)だけが天国に入る事になった


天国は巨大な木の下に城下町の様な型となっており、素朴な田舎町といった感じで、すれ違う人々は笑顔で溢れていた。


「ここは、善良な者のみを隔離した施設みたいなものだから、あかりちゃんみたいな好奇心旺盛な子には退屈なだけかもね」


と、ヒカリ(ミカエル)は話していた。


又、時折白い羽を生やした者は皆、ヒカリに敬礼しており


「白い羽を生やした人が天使なの?」


ヒカリ曰く、天国で白い羽を生やした者は天使のみで、前世に白い羽の鳥に生まれた記憶があり、白い羽を出して飛べる事が最低限の条件らしい


白い羽の鳥は平和の象徴だとか、尊ばれるのはこの為だったりする


勿論、前世が白い鳥だけなんて人はごく稀で、大半の者は動物や昆虫の前世もあり、例えば上半身は人間、背中には白い羽、下半身はヘビといった具合の変身が出来る者もいるであろうが、そんな姿になった瞬間天使を破門されるらしい。


更に、天使というだけで信仰の対象となり多大な力を得るのという。


「そういえば、あかりはこっちの世界で司にあった?」


「司にはまだ会ってないな〜」


「それならいいや」


と、そっけない返事が返って来た


「ま〜さ〜か〜、ヒカリちゃん、司の事が好きだっり?」


と訪ねると


「無い無い、まあ、会わないならそれに越した事はないかな」


と、忠告された、司という人物の事を後日クーに詳しく聞いてみようと思ったナツキであった


ちなみに、天国で暮らす人々は外敵から守られている為、死なないのではないか?と思われるかもしれないが、信仰の対象となる天使達を除いた人は、狩をして食事して、力を得る訳ではない為、得られる力は現世に残った家族の想いだけであり、時が経ちその家族が亡くなって現世からの想いの力が無くなれば、力の供給が無くなり死んで現世に転生して行くのである。


勿論、現世で信仰の対象となった有名人は、想いという意志の力が供給され続けている為、戦闘などで死なない限り生き続けられる。


「あかりちゃんの母親を探すにはどうしたらいい?」


「もし、あかりちゃんが母親を想い浮かべる事が出来るなら、想い浮かべただけで何処にいるのか感じる事が出来るから簡単だよ、やってみて」


と、言われたたが、クー(あかり)は


「ん〜母親は、私を産んだ時死んじゃったから、思い出なんて無いんだよね〜」


「他に方法は無いの?」


「魂の繋がりを辿れば探す事は出来るけど、一応禁止されているんだよね」


「そこをなんとか、お願い!」


と頼み込むと


「それじゃあ、困った時に1つ頼み事を聞いてくれる?」


と交換条件を出され、了承したのであった


「あかり!」


ヒカリ(ミカエル)に案内された丘の上で、クー(あかり)によく似た20才位の女性がクーに抱きついて来た


「お母さん…なの?」


クーはいきなりの事で戸惑っている様子である


はたから見るとそっくりなので、間違いないと思うが、自覚が無いらしい


「私、貴方を生んで直ぐに死んじゃったから、仕方無いか…」


と母親は少し寂しそうな顔をした


「でも、天国からずっと見てたんだよ、厨二病だった事、ずっと父親にべったりでファザコンだった事、小学5年生までオネショしていた事まで知ってるんだから」


「ちょっ、それは言っちゃダメ!」


顔を真っ赤にして抗議するが、これが親子か…と生暖かい目で見守るナツキ達だった


「あかりが死んでしまって、てっきり天国に来るとばかり思ってたのに来なくて…心配してたんだよ、でも、元気そうで良かった


これからは一緒に暮らせるんだよね?」


と、うっすら涙を浮かべて話したが、あかり(クー)は首を振り


「ご主人様と一緒に行くの」


とナツキの方を見ると


「「ご主人様〜あ゛?!」」


母親とヒカリは揃って、もの凄い形相でナツキの方を向いた


前世からの付き合いでそう呼ばれていた、と弁明するも中々信じて貰えず、日が暮れて来たので、母親の家に向かったのである。


母親の家は良くも悪くも、素朴な一軒家で、木のテーブルセットに木のジョッキ、簡単に言うとアルプスの少女ハイジの家を小さくした様な感じだろうか


そして案内は終わったのに、当然の様にヒカリも家の中でくつろいでいた


「まあ、まあ、まあ、あかりと仲良くしていたヒカリちゃんがミカエル様だったのですね」


と、母親は感激した様子であった。


それから、クーは天国までの旅路で金色のハリネズミを撃退した事や、エバーとの出会いを身ぶり手振り楽しそうに話し、それをミカエルや母親は楽しそうに聞いていた。


「ナツキちゃんとムツキちゃんは、あかりの付き添いの為だけに、わざわざ天国まで?」


「え〜と…ついでに14年前に仮面を被った2人組と色々あって、文句が言いたかったので、探してたんだけど、全く情報が無くて…何か知りませんか?」


母親からの問いにムツキが母親とヒカリに質問した


「そういえばその頃、2人の人影を、エデンの園で見たという通報があって、調査した事があったけど結局見つからなかったから、気のせいだという事になったけど…」


と、ヒカリが答えた


「エデンの園って?」


「エデンの園は天国の中心に立つ世界樹付近の花畑で、この天国が作られた時に最初に作られて、現在は立入禁止区域になってるのよ」


「まあ、この天国に気付かれずに入って、ましてエデンの園に立ち入るなんて不可能だから」


と、2人組については、それ以外特に情報は得られなかったが、クーが楽しそうにしていたので、来て良かったと実感した


ヒカリとナツキ一行は、話し込んで夜中になってしまったので、クーの母親の家で一夜を共にする事になったのであった。

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