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予兆

 昼休みになった。


 授業の合間は悟とその彼女が俺と話してくれたおかげで質問されることはなかった。

 悟はバスケ部エースの彼女持ちで、男子ではトップクラスの人気を誇るイケメンなのだ。

 そして彼女の才川琴音も凛華に次ぐ人気があり、可愛い系コミュ力お化けである。

 この二人が俺の周りに来て、話しかけるなオーラを出してくれたおかげで平和に過ごせた。

 

 この二人に根掘り葉掘り聞かれたので、昨日凛華と話した通りに伝えた。

 勝手に聞き耳立てていた奴らが広めてくれているおかげで、もう説明する必要はなさそうだ。


「宏樹、飯食おうぜ」

「おう、凛華も誘っていいか?」

「おー!それは面白くなりそうだな!おーい、こーとねーめーーしーー!」

「はいほーい!今行くー!」


 こういう悟の気遣いはとてもありがたい。

 琴音も女友達と昼ご飯を食べようとしていたのに、悟の一言で察してくれた。

 それと同時にこの関係を一番ばれる可能性のある二人である。


「結城さんと飯だぞ琴音!」

「それも宏樹の彼女として!」

「これまで女っ気のなかった宏樹がな」

「隠そうと思ったら隠せるのに公表したしねー」

「なんかありそー...」


((じーーーー))


 こいつらほんと勘が良いな。


「男除けだ、男除け」

「男除けだったら違うやり方もできたでしょー?」

「宏樹だったらできるよねー」

「もう頼まれてもなにも手伝わんからな。二人とも」

「これは男除けですね、琴音さんや」

「そうですね、悟さんや」

「仲いいんですね、三人とも」


 二人とも聞かないでくれるらしい。

 凛華も微笑ましそうに笑っているので、こんな感じでいいと思う。


「二人に進捗を聞きたいんですけどー」

「まだ何にもしてないよな、手つないだくらいか」

「そうですね」

「なんか二人とも照れなくてつまんなーい」

「初々しくないよねー」

「なんかもう二人でいるのが普通な、同棲して三年の結婚間近なカップルみたいな」

「いやまぁ、凛華以外考えられんし」

「私もですね」


 んっ?なんか目の前の二人が固まっている。

 周囲も静まり返っている気がする。


「なんかえっ?真顔でいちゃつかれてるんですけど」

「今の一瞬で“お幸せに”って言いたくなった...絶対言わんけど」

「お前らも最近は何も言われなくなってきたな」

「これは宏樹のおかげだねー」

「そうだな、宏樹がいたからあんだけ早く解決したもんなー」

「やっぱり宏樹君だったんですね」


 凛華がニヤニヤしてやがる。

 こいつ知ってたのか。

 侮れんやつめ。


「俺は自分のためにやっただけだ」

「こっちの感謝を受け取ってほしいなー」

「そのおかげでこうやって悟と堂々とイチャつけるしねー」

「なんか急にお二人の株が上がった時期がありましたもんね」


 おいおい勘が良すぎるぞこいつ。

 二人がこっちを見ている。

 俺は何も言ってないぞ。

 

 なんか俺が追い詰められている気がする。

 いつから俺に目をつけていたのか。

 

「まあまたなんかあったら言えよ」

「はーい、それより宏樹になにか起こりそうだけどなー」

「言うな、俺が見ないようにしてた現実を。二人も何か感じたら教えてくれ」

「じゃあ俺らにも結城さんの連絡先もらってもいいか?」


 そう言って三人が連絡先を交換したところでチャイムが鳴り、午後の授業が始まった。


 


 放課後になった。

 

「今日は学校で用事があるので先に帰ってて」

「わかった」

 

 というわけで今日は一人で帰ることになったが。

 凄い視線を感じるな。特に男子から。


「君が宏樹君?」


 なんだこのギャルは。

 隣のクラスの姫野だっけ。

 金髪ピアスで授業も寝てたり、携帯をいじってたりするのにテストの点数はいいらしい。

 学校でも人気な方だ。

 こいつまで近づいてくると新しい問題が出てきそうだ。


「そうだけど、なんか用?」

「んー、今からカフェいかない?」

「そうか、わかった」


 人前じゃ話せないらしい。

 ただのお茶のお誘いという可能性もあるが。

 そうでないのならこいつは頭が切れそうだ。

 

 自分が周りからどう思われているかをしっかり理解し、こんな接触の仕方をしてきた。

 カフェでの相談が面倒でも、面白ければ良いんだが。

 いろいろ考えてるうちにカフェに着いた。

 席に着き注文を終えると、今日の本題に入るようだ。


「綾瀬さんとはほんとに付き合ってるのー?」

「うん、そうだよ」

「そっかそっかー、あの綾瀬さんと付き合うってことは君はどれだけ隠してるのかな?」

「なんのことだ?」

「いやー綾瀬さんってね、男に惚れて付き合う人じゃない気がするんだよねー。才能と将来性を見てる気がするって言うか」


 こいつよく見てるな。

 表面じゃなくて内面を見るタイプか。


「お前は何ができる」

「私?人に取り入ることは得意だねー」

「それを俺に言うのか。買いかぶりすぎだな」

「いやいや、全く驚いてないくせにー」


 俺にも取り入ろうとしてるくせに得意と言ってきた。

 ということは自分が利用されることをわかってて近づいてきたということか。

 いや、されてもいいというとこか。

 まあこいつが何のために近づいてきたかわからんが。


「じゃあ俺の連絡先渡しとく。それにしてもお前みたいな可愛い奴まで俺に近づいてくるとなると面倒だな」

「面倒とか言わんといてー!」


 少しテンション上がったな。

 まあいいか。


「今日は解散でいいか?」

「そうだね!じゃあまた後で連絡するね!」

「おう」






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