金井戸 美果
予定よりも早く投稿することにいたしました。
よろしくお願い致します。
私の外での振る舞いは、上品な美少女ということになっている。
しかし、家では結構ネットばっかりしてるだらしない人だったりする。
そんな私は小説家になろうでも、複数の気軽に読める作品をブクマして、最新話を追っていた。
読んでいるのは基本的に人気作ばっかりだった。
だから逆に、読まれてない作品はどんぐらい読まれてないんだろう?
とある日思った。
てきとうに探してみた結果、早速0ポイントの作品を発見。
ってこのペンネーム……。あの人じゃない?
私は学校では上品な美少女なので、あんまり地味な人とは話さないのだが、例外がいる。
私の友達の優音の幼馴染で、近所に住む一つ年下の藍の部活の先輩の、あの人。
あの人は割と自由に生きてる気がする。
何がすごいって、ちゃんと読んではないけど、配ってる部誌に、児童文学を載せちゃうような人。
いやすごい。
でも、それは煽りとかではなく、ほんとに尊敬している。
だって高校生になったら、普通自分は偽るものでしょ。
それなのにそんな偽らずに楽しいことやってるっていいよねって思う。
学校でも一人で漫画読んででも全然周りの目とか気にしないし。
私とかぼっちとか思われるの耐えられない人だから、ほんと信じられない。
ていうか自分が書いた小説ネットにアップするのもなんかちょっとキモいって思っちゃいそう。
私の友達なんかは。
私は絶対できないなあ。
そう思いつつ、あの人の小説、ちょっと読んでみようかなって思った。
読んでみると、そこそこ面白かったので驚いた。
でもはっきり言っちゃえば、面白いことにあんまり意味はないのだ。
私は基本的に、友達と話さないとダメな人だから。
面白いと思ってても、それを誰かと共有できないとダメ。
ブクマ0件なんて、何があったって誰とも共有できないじゃん? 意味な。
だから私はまあそこそこ面白いねーという超上から目線で、感想だけ残してあげた。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
あれから結構日が経った。
あの人とたまたま授業の実験のペアになってしまった。
「あ、そういや、やっぱなろう使ってるよな、金井戸さん」
「え」
「えだって、感想書いてくれた「みか」って、金井戸さんじゃないのかなって思ったんだけど」
溶液をかき混ぜながら、あの人は目の前でそう言った。
それって気づいたとして、こんな周りに人がいるところで言うもんなの? ほんと無神経。
でも。私の中で、面白い認定している人が、一人増えた。
まあ、ある意味不思議で、ある意味羨ましいというか。
そんな人といても悪い気分ではないんだな、と思った。




