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かまちょ


『ねえ、なんで勉強なんてしてるの? 意味わかんない!』


「テスト期間だから勉強をする。普通だろ?」


 テストまであと一週間。

 科目は国語と古典と英語2種類に社会、数学IIIと化学と物理、その他保健体育などの技術系だ。


『湊くんにとっては、さくらよりも勉強の方が大事なんだ?』


「まあ、そうだな」


 ──よし、化学はここまででいいか。休憩がてら漢字でも覚えるか。


『うー。やだ! つまんないよ!』


「おい、やめろ!」


 勉強机に向かう僕のデスクチェアが急降下する。

 このイタズラ、地味にイラッとくるんだよなぁ。


 けど、いちいちツッコミを入れててもさくらの思う壷なので、僕は心を無にして勉強を続ける。


『ひーまひまなのはー。ひーまわりのたねー』


 僕の背後から首に抱き着くさくら。

 スキンシップは嬉しいけれど、今じゃない!


 僕は耳許で囁かれたやたらと耳に残る歌をどうにか忘れようとしながら、机に向かう。


『湊くん、漢字のお勉強なのに書かないの?』


 書かない。

 僕は基本的に勉強を音読でする。

 目と耳で覚えた方が、忘れづらい──気がしてる。


 さすがに数学や物理はペンを握らざるを得ないけれど。

 暗記系は基本これだ。

 英単語帳ペラペラする感覚で教科書ペラペラしてるってわけだな。


『へぇー、変わってるね。覚えるのに時間かかりそう』


「まぁ、かかるよな。けど、1回覚えたら忘れない」


『え? 何今のドヤ顔? かっこいいと思ってやったの? ねぇ、今かっこいいと思ってドヤ顔したの?』


 うぜぇーーー。


 僕はただ、勉強がしたいだけなのに。

 無駄なやり取りをしている間にもう10分間経った。

 

「わかった、さーちゃん。僕に30分だけくれ。終わったら今日は寝るまでずっと付き合うから」


 このまま無策に時間を費やすのは勿体ない。

 勉強は後で風呂でやればいい。


『じゃあ、待ってるから』



 ──30分後



「よし、いいぜ! 一段落着いたわ」


『あー、ごめんねもうちょっと待ってて、結構いい所だから』


 漫画にハマってて草。


 まぁ、僕からすればこれは好都合でもある。

 引き続き勉強ができるんだしな。


 古典やるかー。

 教科としては一番好きな教科だけれど、1番苦手。

 僕はおばあちゃんを山に捨てに行くお話を読み進めていく。


 ──更に15分後


『うううぅぅぅ〜。グリ男〜。グラ子を守るため一人で敵陣に挑むなんて……うるうる』


 あー、さくらのやつ『グレたグラ』一気読みしたのか。


 そりゃ泣いちゃうわ。 

 確か、その後病院で告白するんだよな。


 僕はタンスからハンカチを取り出してさくらに差し出す。

 そう言えば、桜は先輩に告白されたのだろうか。


 ──ちーん。


 ハンカチでお鼻ちーんってする人、都市伝説だと思ってた。いるんだな、本当に。

 

『チェスしながらグレたグラ語ろうぅぅ』


「はいよ」


 僕はチェスをしながらグレたグラを語りつつも、頭の片隅に桜のことが残った。


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