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プロローグ
私たちの生きる時代よりも少し先の未来。
人類は新しい人種を作り出すことをじわりじわりと始めた。
髪の色、目の色、肌の色。能力や得意なこと、性格の傾向などを親がオプションとして指定できるようになって、脳の処理能力も身体能力も旧来のオリジナルより遥かに優れた者が多くなった。
そういう人達はオプショナルと呼ばれたが、オプショナルはオプショナルで、オリジナルはオリジナルでと大まかに住み分けがなされ、それぞれはまるで別世界に身を置いていた。
オプショナルは不自然なほどの娯楽に満ちた世界に、オリジナルは貧困と退廃、そして不安にまみれた世界に。
“人間らしさ”がどこか狂い始める中、人類はなおも全てにおいてヒトに優る“完全なる新種”を作り出そうと、夢中になっている。




