そして今日も彼女は僕の部屋のカレンダーをめくる
今回はシリアス?かも知れませんが
自分ではちょっとよく分かりません。
「おはよう。」
あぁ、おはよう。
君は今日もはやいね。
いつもいつも僕の部屋に来て、僕を起こしに来てくれるんだから。
「ったく!早く起きなさいよ。」
君はそう言って僕の部屋のカーテンを開ける。
もう。僕はおきてるってば。
「相変わらず貴方の部屋何もないわね。まぁ仕方の無いことだけど。」
もう仕方ないって知ってるなら言わないでよ。ここは借りている部屋なんだからさ、好き勝手に物が置けるわけじゃないんだよ。
あぁ。今日も眩しいなぁ。最近暑くなってきて寝ているだけで汗でべとべとだよ。あ、君ちょっと今日香水つけてる?いつもとは違う匂いだ。
「そう言えば今日はいつもと違う香水つけてるんだ。気づいた?貴女も好きな匂いじゃない?ねぇ。貴女ちゃんと花の名前覚えてる?」
もちろん気づくよ。僕の大好きな花の匂いだね。確か...
「ラベンダーだよ。」
『ラベンダーだね。』
ふふっ。はもったね。ラベンダーはリラックス効果もあるって言うからね!君のことだからちゃんと細かいところまで考えてつけてきてくれたんでしょ?
「ちゃんと貴方のこと考えてつけてきたのに...もう少し反応してよ!もうっ!」
そういって君は僕の腕を叩いた。痛い痛い!ちょっともう少し加減してよ。でもありがとう。僕は君のそういうところも大好きだよ。
そしてふっと僕は笑う。
「...っ!どういたしまして。」
僕が笑うのはそんなに珍しい?君が僕のこといつも考えてくれるから少し頑張ってみたんだ。
「ねぇねぇ。少し暑くない?窓開けていい?」
いいよ。暑いからね!
彼女は部屋の窓を開ける。その瞬間夏の匂いとともに生ぬるい風が僕の髪を、そして君の髪を揺らす。遠くで蝉の鳴き声がきこえる。今年も夏がきたなぁ。やっぱり蝉の声がきこえると夏だなぁって感じるよね!そう思わない?
「あっつぅ...てか蝉うるさいなぁ。」
ごめん。えっと、ごめん。でも蝉って良くない?夏を感じれるよ?
「まぁこんな日も悪くは無いかな。」
はぁ良かった。君怒ると怖いか...
「ちょっと今変なこと考えなかった?」
...ごめんなさい。
これが女の勘かぁ。怖いなぁ。
そう思いながら暫く夏を堪能する。あぁ、今年も夏だなぁ。暑いなぁ。僕的に考えて夏は仕事をしすぎだと思う。毎年毎年猛暑なんだから少しは休めばいいのに。そうしたら夏もゆっくり出来る。僕らも涼しい。お互いいいことづくしなのになぁ。またそんなことを考える。
はぁ。でも直ぐに秋になるんだろうなあ。一年って早い。なんて僕が変なこと(自覚はあるんだ。)を考えている間彼女は何か別の考え事をしているようだ。
「もう夏かぁ...。」
おっと。君も僕と同じ考えだったようだね!僕は嬉しいよ。
「もう...2年だよ...。」
考え事をしてたと思ったらまたそんなこと考えて。答えの出ないことばっかり考えても解決しないよ。
「前さ、貴女言ったじゃない。
答えの出ないことばっかり考えても意味無いって。そんなこと考えるなら未来の話をしようって。」
うん。言ったね。
「でもね、それって簡単な事じゃないじゃない。」
うん。そうだね。
「考えないようにしても人って考えてしまうものじゃない。」
うん。分かるよ。
「そうやって私が悩んでいた時貴方はいつも隣に座ってくれて励ましてくれたじゃない。」
うん。覚えてるよ。
「大丈夫。大丈夫だよって。私はそんな貴方が大好きだったのよ。」
うん。知ってたよ。
「貴方が告白してくれた時のことなんか1度たりとも忘れたことなんてない。嬉しかった。嬉しかったの。貴方のことが本当に大好きだったから。」
うん。僕も大好きだよ。
「だから、貴方が事故にあって、目を覚まさなくなってから、毎日目が覚めますようにって祈ってるの。」
うん。ありがとう。
「毎日神様にお願いしてるの。早く貴方とまた一緒にお話できますようにって。」
うん。ごめんね。
「でもあなたは目覚めないじゃない?」
うん。ごめん。ごめんね。
「貴方がこれを聞いてたら凄く謝ってそうなんだけどね。ひとつ聞いて欲しいの。」
うん。なに。
「私は貴方をずっと待ってるから。目が覚めたら言ってやるの。このねぼすけさん!やっと起きたか!って。」
それは怖いなぁ。
「だから早く起きてね。」
うん。頑張る。だから...もう少し、あともう少しだけ待ってて。
「待ってるから。」
『ありがとう。』
まったく。君は強くなったなぁ。初めてあった時はあんなに泣いていたのに。そんな優しくて強い君を僕は何年待たせているんだろうね。僕も早く起きないと。君は怒ると怖いからできるだけはやく。だから、笑っていてね。僕はきっと君の元にかえる。君はきっと笑顔でおはようって言ってくれるんでしょう?
もう何回したかわからない会話。
けれどきっとこれが最後だよ。
そして今日も彼女が僕の部屋のカレンダーをめくる
音がした。