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2日目
今回は特に短めです。
「また来たんですか」
俺は思わず言ってしまった。目の前には、どこぞの美術教師。
「今日は歌わないのか」
「歌うと、あなたが来ると思って」
そういう訳で歌わなかったのではない。単に、歌わずとも掃除に集中できると思っただけなのだが、この先生にはこれくらい言っても大丈夫だろう。
「それで、何用ですか」
「用事を頼みたいのだが」
「左様でございますか」
「その様になっております」
「どの様な用なのでしょうか」
「要するに、雑用の様ですよ」
笑顔で目を合わせること十数秒。
「それで、何をしろと?」
俺は、不機嫌そうな顔で柳を見上げた。
「勝ったな」
「勝敗がついているなら先に言ってください」
「先に言ってたら景品でももらえたのかな?」
「そうですね。冷たい目線と全力のチョップどっちがいいですか?」
すると柳は
「どちらも遠慮しておくよ」
と忍び笑いを漏らした。
「それで先生、結局雑用って何なんですか?」
柳の笑いが一段落ついてから、俺は改めて聞いた。
「まあ、そうだな…とりあえず、ついてきてくれないか」