6話 「戦闘」 ゴブリン (2)
これは、なんと言いますか・・・
(自滅?)
呆けてしまった。なんだかな~
ん?先ほどのコウモリとは違いゴブリンは輪郭自体が崩れ始め、そして霧散した。
霧散した魔素?がこちらに向かって集束される。
そして、俺の体に染み込むようにして消えた。
(これは、俺が倒したと言うことになったのかな。)
他の2体は折れた木のこん棒を手放し唖然としてこちらを見ている。そして
ポ~ン
おや、この音は先ほども
<個体名:リューイ のMPが発動条件の回復量(100)に到達しました。>
は?発動条件ってなんだ。てか、リューイになったのか俺の名前。
それにしてもスゲー電子的な声だな、頭の中に直接聞こえてくるぞ。
ま、まさかこちらに呼ばれたときに魔改造されたのか・・・
<条件に到達したので、メッセージを再生します。>
『やっほー!元気ー?もう私に会えなくなって何日か経ってたりしない?
それとも私の声が聞きたくてがんばってすでに魔物とか倒してたりしする?
そりゃー魔物倒せば近くにいた場合はMPが回復するけどさ・・・
流石にね・・・どうかと思うよ。』
・・・。おい、これは本当にメッセージ再生なのか?
『少しの猶予さえいらないとは、
働き者だね竜一?りゅーくん?そ・れ・と・も、リューイ?
多分「これ本当に再生か?」っとか言ってそうだけどね。
経過時間によって内容が変わるようにセッティングしてあるのだよ、岸崖君。
すごいでしょ?』
無駄が多いな~自分で声かけとかできんのかね。神様だろ?
『こらそこ!「無駄が~」とか言わない!
どうせダンジョンの中にでもいるんでしょ?男の子だもんね!
しょうがないのよ、これが地上での事なら少しは話せたのにな~チラッ』
俺が悪いわけではないのだがね。いや、運が悪いっちゃ悪いのか・・・
てか、守護しないといけない相手は攫われてしまったしな・・・無力すぎる
『むむ・・・。何か問題が発生したのかな?なら、私も少しばかり無理しますかっ』
ザザザザザザザ・・・・・
『やっほー。
時間が余り取れないから無駄な話は無事にダンジョンから出てからしましょう。』
おや、これは・・・地声?再生ではないな・・・
『ソウダヨー。
手短におねがいね。無理をして繋げてるから』
そうか、了解した。攫われた。
『・・・さすがに短すぎるよ。えっと』
俺を召喚したイルマという女の子が 亡骸背負い と呼ばれている大きな蜘蛛の魔物に連れ攫われ、俺はその後を追いかけたが階段を転げ落ちて体勢を立て直してる最中にゴブリンたちに攻撃された。
『な、その子可愛い?』
ん?天使だよ。ああ、あの寝顔は天使だった。
『ぐ・・・、あたしが眠ってる時は呆れた顔でため息ついたり、じと目で見てきたりするのにっ!』
それは、お前が悪い。あからさまな寝たふりが多かったしな、寝言もどうかと思う発言が・・・
『ああ、もうっこんな話をしている暇はっ』
・・・。なあ、カミナよ自分から脱線したではないか?
『ぐぬぬ・・・。わ~か~り~ま~し~た。
この件はその子を救出、ダンジョンからの脱出してからじっくり。』
了解。
『にしてもどうやってゴブリンを・・・。』
俺を攻撃したら硬かったのか武器が折れてな、それの折れた武器が頭に刺さって霧散して吸収した
『え、ちょっとどういうこと!アナタもしかして無意識に周囲の魔力を操作したの!
そして吸収って・・・。』
なんだ、さすがに折れただけの武器が深々と刺さってたもんな頭蓋骨にそう食い込むのはおかしいと思っていたよ。おかげで呆けたし。
『カウンターで倒すとは、お見事ね。そして、吸収だなんて。
ドロップアイテムも無しとは・・・完全に吸収したのね。』
ああ、俺の体に吸い込まれていくようにして消えたよ。
『なるほど、ステータスオンっ!』
その声が響いた後何かが現れる
な、なんだこれ?本が空中に浮かんでいる?
『それは、あなたを呼び出した本のようね。
その中にアナタのステータスが書かれていると思うわ。』
本を開くイメージをすると、開き白紙が顕になるが、光ながら文字が浮かぶ
【HP】1300
【MP】 102
≪スキル≫
【魔力視】
【魔力操作】
【魔素吸収】
と書かれているようだ。日本語だろうか?そうでないようにも感じられる。
『ん~認識・理解ができるようになってはいるけど、この世界の文字よ。
精霊文字って言うの。
この大陸ではもっともポピュラーね。』
ほー。なるほど、にしては、自分で見れたのですね。
イルマが自分で見ないのかと聞いてきたが、うん。しょうがないね、知らなかったんだから。
『イルマね・・・名前覚えたわ・・フフフ。
最初から魔力視か、やるわね。
操作と吸収は後から手に入れたみたいね。心当たりは?』
あ、多分上の階で休憩している時に ポ~ン って聞こえたやつだな。
『なるほど、その時点で戦闘はしたことがあったのね。』
ええ、無力でしたが。1ダメージはいけた
『・・・。多分、そのとき無力だと思った気持ちが作用したのでしょうね。
それで、大体は把握できた』
すごいな把握できたのか。
『我が愛を受けし守護者に与えられし加護を今、開放する!』
ふぉっ!なんだか良く分からんが俺の体と浮いてる本が光ったぞ。
『本来は、時間をかけて説明したかったんだけどね。まだ魔物だってそばにいるだろうし、あなたを呼んだ子を救出するのに心もとないからね。今、アタシの加護がスキルとして加わったわよ。』
そういわれて確認する。
【カミナの加護】
ん?肉体改造?構築?生成?
なんだか、スキルが一つだけ増えているのだが、その一つのスキルがそれだけで複数の効果・能力を持っているように感じる
『そのスキルはアナタの意思によってさまざまな効果を発揮してくれるわよ。
そろそろ時間ね。試しに倒した魔物から手に入れた魔素を使ってみなさい。
今回は、ここまでね。守護者よ、どうかご武運を・・・』
そう言うとカミナの気配が無くなり場の雰囲気が、周りの時間が
元に戻ったような不思議な感覚を覚える
とりあえず、次のページを開くようにイメージする。
・ゴブリンの魔素
そのページにはそれだけ表示される。
(イメージ、イメージだ魔素の利用、操作、そして自身への使用。)
目を瞑りながら魔素を纏うようなイメージをし、形を持たせる。
「きー」「ぎぎゃ?!」
2体のゴブリンの驚く声が聞こえ目を開く。
目線の高さが上がっている。そして・・・
(ああ、手だ。マエアシなんかじゃないぞ!)
手の甲には鱗があるようだが確かに前足とはかけ離れている。
背丈はゴブリンたちとそう変わらないようだ。シッポあるけど・・・
手をグーパーグーパーと動かし感覚を確かめる
(よし、いける。どのみち切り抜けるには戦うしかないなっ)
そう言うと同時にしゃがみ込み折れている石斧を右手で拾い上げる
そしてすかさず驚くゴブリンの片方を斬りつける。
生々しい感覚が手に伝わる。それを振りほどくかのように左手に意識を集中する。
何かを纏っているような感じがし始めたところで手刀をもう片方のゴブリンの首元に横一線に与える
「ぎぎぁ!」
と、石斧で切られたゴブリンは胸元を両手で押さえながら叫び転げまわる
「・・・。」 ドサッ
もう片方のゴブリンは無言のまま咽喉から魔素を噴出しながら後ろに仰向けに倒れこみ、霧散した
転がるゴブリンに近づくと石斧を両手で持ち直し、左足で肩を踏み、転がるのを抑えると共にその胸元に振り下ろした
「が、が・・・ぎ。」
そして静かになった。
「が、ああ、うん。言葉が喋れるようになったな。」
なんと言いますか、コウモリの時は亡骸が残ったからか忌避していたが、ゴブリンに関しては手にしていたもの以外何も残らないからなのか余り負担を感じない。いや、どうしてか加護によってこうなったのだと思えてしまう部分もある。
「いや、今は考えてもしょうがない。この階層を調べてみよう。ゴブリンなら今みたいに戦えばいけるだろう。」
そして、ゴブリンたちがやってきた方の通路から探索を開始する
途中先ほどのように3匹かたまって行動しているゴブリン達を3組ほど仕留めた。
本の白紙のページに通路をイメージして描き足し、マッピングしながら進む。
「行き止まりも多かったが、もしやこれは、宝箱か?」
また行き止まりかと思っていると足元に木でできた箱が・・・
何となく石斧を叩きつけるっ
接触すると同時に木箱は消え・・・
≪リューイは、 ナイフ+1 を手に入れた。≫
・・・。手に入れちゃったよ。どういうこと?
「ま、まあダンジョンの中だからかな?それとも何かしらの能力かな?」
手に入ったナイフ+1とやらは本を確認すると【格納武器】のページができておりそこに書かれていた。
取り出すイメージをすると、本が淡く光りナイフが現れるそれを左手で掴む
代わりに今まで使っていた石斧を格納する。
ナイフを右手で持ち直し・・・
「常に、本が浮かんでるってのもあれだな、オンであらわれた本なら、ステータスオフっ!」
その声と共に、本は掻き消えた。
「頭の中だけでの表示もできると思うんだよな・・・。」
そう思い、地図を書いてるページをイメージする。そうすると確かに見ずに確認というか把握することができた。
「こちら側は通路が埋まったし階段のあった場所まで戻らないとな。」
足に力を集約するイメージをし、勢いよく駆ける
「はは、こりゃ早いな。」
階段の前まで到着し別な通路を探索していく
時折、2~3匹のゴブリンを狩る。
宝箱があれば回収もした。まあ、ナイフばかりだった。
「ん~、後はここだけだな。」
そうして通路を歩いているとついに開けた空間へとたどり着く。
そこで目にしたのは
「ギッうう・・・」
複数のゴブリンから攻撃されてズタボロのボロボロになっている髪の毛の生えたゴブリン
そしてその光景を腕組しながら見ているバンダナらしきものを巻いたゴブリンがいた
「なんだよこりゃ・・・。」
俺のつぶやきにバンダナを巻いたゴブリンが顔をこちらに向け目を細める。
「バンダナ野郎は明らかに知性があるな。」
ああ、自分の群れに異物が生まれたのだろう。
異なる存在は、目障りになる前に処分すると・・・
ひでー野郎だな。あえて痛めつけるとは、その短パンのベルトにさした大振りのナイフなら一瞬にして刈り取れるだろうに。
不愉快な気持ちになり、俺はナイフを構え腰を落とし・・・
「はああぁぁっ!」
声と共に駆け出した。
ゴブリンだけで(3)までいきます。