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ダンジョンリザード・ライジング  作者: 藍色ノ鰐
二章 『砦町と魔王と森とダンジョン』
39/44

◆転生者:華山純太郎の物語 【前編】

その日は大雨だった。


参ったねえ、コンビニでビニール傘買ったってのによ。

びちょびちょだぜ…。


ぐあ、バカ車め!歩行者がいる場合は速度落とせよ!

マナーだろう?


自動車学校からやり直せや!


ったくよ。あ~あ、安アパートまで距離がまだあるぜ。




「だれか~うちの子を!うちの子を!」


は?橋の上でなに言ってやがる。

そんな慌てるくらいならよ~携帯電話でもかけろや。

そして、救急隊員でも待っとくんだ…な?

おいおい、なんであんな所に子供が居やがるんだよっ!

馬鹿じゃねーのか親は?

どうやったらあんな所にいるんだよ…無事か?

怪我とかしてねえか?


「おいっ!どうなってやがる!テメーが親だな?説明しろ!」


助けを求めるために声を上げる女性に聞く。


「知らない男性が娘を…娘を突き飛ばしたんです。

うう、突き飛ばした男性はすぐに逃げてしまい…

私は娘から視線を逸らすわけにもいかず、それどころか通りがかる方々は無視するばかりで、先ほどスーツ姿の女性がやっと救急に連絡してくださったのですが…」


おいおいおい!何だそのクソやろーは、それに無視だと!?


それどころか面白そうに写真とってるクソなやろうまで…なにが「助からんね♪」だ!

となりのクソビッチもなぜそこでクスクスと笑っていられるんだ?


お前らの命の方がいらねーだろう?


がああああああああああああああああああああああああああああ!

ムカツクムカツクムカツク!動けや!散れや!観客共!


「人間ってやつはどこまでもクズどもばかりだな…

はっ、アンタの子ども、見殺しにできそうにはねーわ。」


「な、あなたは…」


「そう言うわけで、この傘やるわ。大事に持っとけよ?

おれがタダであげたんだからな。」


おれはそう言うとわき道に入り、写真野郎のケツを勢いよく蹴り上げる…


「邪魔だごみクズ共!消えろや?な?

見苦しいぞ?お前らの姿もちゃんと写真にとられているんだからな?

ネットで叩かれないように気をつけとくんだな?

てか、こんな所でもらすなよ。くせーぞ?」



男は大を女は小を漏らしましたとさっ!けっ!



河川の堤防を俺は勢いよく下り、少女の元へと急ぐ…


草木が茂ってるねえ~手入れしとけよ。


そして、着水。

はっ、もうぬれてたからあんまし気にならねえや。


ぐ、進みづれぇな…増水して水位が上がってきてやがる。


ザバザバといわせながら少女のもとに辿り着く。

打ち所が良かったのか?

流木がクッションになったのか分からんが合羽から覗く肌には目立った外傷は無い。

だが、冷たい水に浸かっている所為か血の気が悪く青ざめているようだ、唇の色も紫に近い。

だが、俺がその子の顔をのぞくと…


「あっ…」っと言いながら頬に朱が差した。

おいおい、こんな時に色っぽい顔してんじゃねえよ、おませだね~将来有望?

助けがいがあるぜ!はっ!


「掴んどけよ?タンクトップだからあんまり掴む所ねーかもしれんがよ。

おれも、はなさねえからな?」


おやおや、そんな顔すんなよ、ストライクゾーンには程遠いぜ?


しっかり抱きついたのを確認し、俺もしっかりと抱き寄せる。

そして、陸を目指して移動を開始。

無事に堤防までつくぞ、はは…良かったじゃねえか。

助かるぞ。


少女を下から支えながら堤防を上る。


参ったね。アパートまでこのままの格好か…よし、登りきった。ん?



ヒュンッ!



ゾブッ!



「ぐ、…あ、が?」


何かが少女の頭部めがけて飛んできたので体全体で庇ったのだが…ははっ、腹から矢じりが生えてるぜ?おれ。


「え?お、にい、さん?」


まいっ…たね。



ゾブッ!



今度は足狙いか、おれは仰向けに倒れる、その時視界にボウガンを構える男が、ここは日本だよな?

めちゃくちゃじゃねーか!


ゴスッ!っと、堤防のコンクリートにおれの後頭部が当たり、そのまま川に…



バシャン!!!


遠くから「キャー!!!」と声が聞こえる。

はは、意味わかんね…これで終わりかよ?


水の中で意識が遠のく…



そして、おれ 華山はなやま純太郎 は22歳でこの世界を去ることとなった。
















………


……



っは!おれは!って、水中!?息がっ!


ざぱ~ん!


「え?」


え?


目の前に二本足で立つ犬がいるんだが?フサフサで…愛らしい。

シベリアンハスキーを思わせる感じを受けるが、果たして…犬と呼んでいいのやら。


声が女の子?まあ、若い女性の声だよな…


だが、何よりモフモフなのが俺の意識を奪い去る。

耳の先から尻尾の先に到るまですべてがモフモフ。


だめだ、辛抱ならんっ!いざっ!モフモフ!


もふもふもふもふ…


「ちょ、やぁ、はああん、だめ!あ、あたし!ああっ!え、そんなところまで!あっ、あっ!あ~!!!」


……


ふう、満足満足。


だが、わん子のほうは涙とよだれでぐしょぐしょである…

ついでに、下のほうも…いや、これ以上は止しておこう。

いけないことをしたみたいだ。そう、水でぬれたんだ。そうに決まってる。うん。


おれはただ己の意思に従ってモフモフしただけだ。

他意はない。だがおれの…だめだ、理性がもたねえ。


「うう、お嫁にいけない…。

水浴びしにきただけなのに…あたし、穢されちゃった。

人族の男に…うう。」


ボロボロと涙を流す様はおれが何をやらかしたのか伝えてくる。



…もろにセクハラじゃねーか!!!

いたいけな少女?を襲いひたすらモフモフするだなんて…

おれってやつは…うう、天国に居るかあさん。ごめん。おれは道を違えたらしい。


ああ、襲ってしまった。とても、激しく。


「でも、気持ちいいと感じてしまうなんて…。知らない男にただひたすら蹂躙されたというのに…」


なぜだろう…おれはモフモフしただけだよ?この言い方は誤解を生む。


「なあ、おれはモフモフしただけだよな?」


おれが言うと キッ と鋭い目つきで睨む。だがカワイイ。

参ったな…マジで おれ の おれ がヤバイ。


人間に失望していたおれは彼女のその姿に何かが壊れた。


そして、そのままモフモフなどではなく模写できない行為へと到達した…。








先ほどまで日が出ていたような気がしたが、いつの間にか沈んでしまった。

いい汗をかいた。時を忘れるほどに…

元々用意されていた焚き火に木の枝を放り込みながら空を見上げる。


あの後は激しかった。

陸地での運動の後に湖に浸かりなおすこととなったのだが、彼女の水に浸かる姿に我慢できず、またもや運動へと至ってしまった。


「うう、あたしはじめてだったのに…。その後水の中でも…うう。」


「なら、おれが残りの生涯責任持つよ。お前…あ、何てことだ…名前しらねえや。」


タオルのような布にくるまる彼女が恨めしそうに見てくるが、おれのおれがまたその気になりそうでヤバイ。

視線をそらすことにしよう。


「ニニアン。まあ、ニニでいいわよ。

で、あたしの自称・旦那様は?

え!?ちょっと、またなの…。スゴイ元気ね?呆れちゃう。」


ちょ、そんなに真剣におれの下半身を見ないでくれ!ニニアン。


毛で覆われているはずなのに、表情やらがよくわかる。

そして、口ではそう言うものの尻尾がね…左右に揺れている…

おれにどうしろと?誘っているのかよ…。


「おれのなまえは純太郎。くそっ!嫁さんが可愛すぎて辛い!」


「よ、よよよ嫁だなんて…本気なのね、ジュンタロウ。この場で初めて遇ったのに…。それに、カワイイだなんて…。」


はちきれんばかりに振られる尻尾。だめだぁ~そんな表情は卑怯だぞ!


「なに言ってやがるんだ。我慢できないくらい魅力的な子だったからモフモフ以上に到達してしまったんだ。

これは運命だったんだと諦めるんだな…てなわけで、無理そうだ。」


きゃ~♪と言いながらわざと押し倒される。


参ったな…



死んだかと思ったら女神のような理想の女性と出会うこととなるとは…






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