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ダンジョンリザード・ライジング  作者: 藍色ノ鰐
一章 『ダンジョンから始まる異世界』
26/44

24話 「試練のダンジョン最後の日」

ダンジョンマスターは断末魔を上げるまもなく破壊され、そして吸収された。


≪初見のボスキャラにはきをつけねーとな、即死技持ってたりするもんだぜ。≫


今は亡きダンジョンマスターに向けそう言葉をこぼすジュンタロウ

そして、俺のほうがボスキャラなのね…


「なあ、何か言っていたわりにはダンジョンに変化が起きないな。」


魂を組み込まれているなどと言っていたが…もしかして違ったのか?


『ヤッパリ変よね…。それに、光ってる扉がまだ残っているわ。』


炎を纏っている状態を切る。消費し続けるからね、こまめな消火がコスト削減に繋がるのだよ。

キュベレ姉さんが言うように光る扉が見える。だがそれより…


「ソールさん!大丈夫?」


壁際にひっくり返っているソールに近づく…


「はあ、こんな感じな役割なのかね私は…世の中広いな。

会議室のほうに戻りたいのだがかまわないかな?リューイ君のダンジョンの外じゃさすがに修復がきかないようだ。」


首の時はどうにかなったみたいだが、流石に鎧は修復できないわな。俺は頷くとソールの肩に手を置き…


「あの、どうすればいいんだろう?」


困っている時は助言をくれるキュベレ姉さん。


『なんだかわたし都合のイイ女みたいなきがするんだよ…。はあ、簡単よ。あそこに見えているように光の扉作るのよ。会議室から出るときに作ったでしょ?それの簡易バージョンを一時的に展開するのよ。あそこのはダンジョンの中にあるから消えないのでしょうけど、リューくんの場合は常に移動するからね。簡易版なのが道理なのよ。会議室側のほうはダンジョン内固定だから毎回作らなくていいけど。』


ありがとうございます。お姉さま!


『はいはい、機嫌取りはいいからとりあえずやってみて。』


そう言われたのでイメージする。非常口みたいな感じでいいか…

まあ、何かしらキュベレ姉さんに恩返ししたい気持ちがあるんだがな、姿すら見えないからどうしていいのやら。


「おお、あの時みたいな勝手に動く扉とは違うのだね…。さて、失礼させてもらうよ。」


起き上がったソールは足を引きずりながら光る非常口へと消えていった。

それと共に非常口も消失する。


「ふーむ。これは便利だね。ちなみに、普通に人とかを招き入れたりとかは?」


『それは、リューくんが許可すれば可能だとは思うわよ。』


それは良かった。イルマをこんな場所で歩かせるには行かないからね。

なるべくは休んでいてもらいたいし。


『それじゃ、光ってる扉に向かいましょうか。ダンジョンマスターが出てきたということは、コアが置いてある場所の可能性が高いわ。』


頷くと光の扉に近づく、そして足を踏み入れようとして…



むぎゅっ!



何か柔らかいものが抱きついてきた。視線を下げると…


「イ、イルマ!無事だったんだね?」


ん?なぜだろう…す~は~す~は とキコエテクルヨ。

イルマさんそんなキャラでしたかね?

なんだか心配になってきた…もしや偽者!


「ご無事で何よりです、リューイさん!」


こちらがいぶかしんでいると…急に顔を上げ万遍の笑みを見せる。

嗚呼、天使が目の前に居た。こちらがそう思っていると…


「私は天使じゃないですよ?ミツバ様も私を見るなり『マジ天使』と仰っていましたが…

どちらかといえば魔族と鬼人族のハーフですし…」


衝撃の真実!イルマは人ではなかった!天使でもなかった!鬼でした。


「そ、そんな…だとすると俺、この世界に来て人と一度も会ってない。」


え?ミツバは?って、彼に関してはダンジョンマスター族って書かれてました。

他の人たちは?ゴブリン、オーク、ヘルハウンド、リビングデッド、オーガ…

人だった(過去の話)だもんな。


「証拠はありますよ?」


そう言いながら俺の腰に回していた右腕を離すと、手をおでこに持っていき…

前髪を上げた…そこには白く愛らしい小さな角が二本…うん、角だ。


「可愛い角だな。」


俺はそう呟くと、イルマの頭に左手を置き優しく撫でる。

頬をなで上げながら親指で愛らしい角に触れる。ほんのりあったかい。

あの時俺は無力なトカゲだったが今はこのようにイルマの頭を撫でることができる。

感無量である!ああ、生きてて(転生して)良かった!幸せだな…


『ぐぬぬぬ…わたしだってわたしだって!ナデナデしてもらいたいわぁっ!』


「えへへ~あたたかくて幸せです~。」


対照的な声をありがとう。そうだな、キュベレ姉さんの頭も撫でたいな…


『ふふふ~♪言ったわね。期待しとくわよ~』


お安い御用で、まあ、後々どうにかなるでしょう。そのダンジョンから出れば~

が口癖な姉さんだ、何かしらあるのだろう。

おや、イルマさんはおねむのようだ…流石に疲れたのだろう。

俺はうつらうつらとしているイルマの背とひざの裏に腕を通しお姫様抱っこをする。

イルマは幸せそうに俺の胸板に頬ずりした。髪の毛がくすぐったい…


よし、あれを試してみるか。そう思いイメージすると…



ポ~ン



<リューイのダンジョンに『寝室:【1】』が追加されました。カスタマイズが可能です。>



おお、できたできた。そんじゃ、ちょいと寝かしてきますか。

非常口を展開し、入るイメージをしながらまぶたを閉じる。

次に開けたときはまるで自分が暮らした家の寝室だった。


『ん~カスタマイズね。簡単に言うと、今後宿屋や民宿なんか利用する機会があるとするでしょ?

そんな時にね、魔素を部屋中に拡散させてスキャンしてダンジョンにコピーできちゃうのよ。

もちろん家具や、寝具だけをコピーとかもできるわよ。

雑貨や小物なんかもある程度は可能かもしれないわね、持ち出しはできないでしょうが…

豪華な部屋なんかスキャンした日には最高でしょうね。

でも、今回の部屋はリューくんの寝室か…特に物は置かない性質なのね。

それはそれでいいわね…。安眠できそうだわ~』


へ~そりゃすごいな。さすがダンジョンな俺、常識の範囲外を突っ切っているな!

ベッドにイルマをおくと…

イルマの方は名残惜しそうにしていたが顔を上げ、俺の顔を見て驚いた顔をした。


「リューイさん!人族だったのですね!」


いや、それ会った頃にも言った気が…


「流石にあの時は半信半疑でしたよ…今は信じるしか他にはありませんが。」


そう言いながらはにかんだような笑顔をこちらに向ける…

そして視線が下半身に…

おい、露骨に残念な顔を…なんだ、異世界のレディはオープンな性格してんな。


「いえ、ベッドで…ごにょごにょ…年齢的に可能性が無きにしも…」


年齢って…ん?そういえばイルマの年齢は…


「え、15ですが?ですので地域や部族なんかによっては結婚なんかもOKだったり…」


俺としたことが、ここまでとは…

参ったな、小学校高学年か中学成り立て位の年齢を想像していた。

顔が童顔だからなのかな…うん、そう言うことにしておこう。


「い、いまからですよ!今からオトナな女性になれることを信じてるのです!」


「信じてる。」いい言葉だ。だが、非情な言葉でもある。



≪お~い!いちゃいちゃするのは勝手だが、場所わきまえようか?≫



いちゃいちゃって…まあ、イルマまでピンクな部分があるのは良く分かった。

種族なんぞ関係ないということだな、うん。


「それじゃ、イルマ。ゆっくり休んでいてくれ。今からダンジョンを止めに行ってくる。」


俺がそう言うと、イルマは何かを思い出したのか…


「そ、そういえばですね。ミツバ様はダンジョンに関する神と自らをそう呼ぶ男にここに縛り付けられたそうです。魂をコアに組み込まれたそうでダンジョンの外に出ることさえ叶わなかったそうです。

そして、このダンジョンは捻じ曲げられてしまったとも言っておりました。」


とても悲しそうな顔をしながら教えてくれた。


≪だから言っただろう?被害者だと…≫


ああ、そのようだ。自らを神と呼ぶ男か…

ここまで聞くとソイツの顔をとりあえずぶん殴ってやりてえな…


『これも私の信仰が弱まった所為なのだと思うわ…。

だから、他のやつらに好き勝手されてるのよ。神だ何だといわれても無力よね』


信仰が弱まっている…


『ええ、問題が起こればね…私の所業になるのよ。だからね、ダンジョンが関係している物事の被害を私の所為にして悪神の様に考える子達が増えたの…

そしたら、私の今までの加護が弱まるでしょう、そして更なる被害が…

それが他の神の介入によって起こされたことであっても…

惨めよね。このダンジョンに介入できたのは実は

ウナちゃんの家系が私をずっと信仰してくれていたからでもあるのよ。

他のダンジョンではもうできなかったでしょうね。

わたしの残された時間もはっきり言うと少ないのよ。

このダンジョンでお仕舞いかもね…』


そんな…まさか今回のダンジョンのように邪神のような輩によって捻じ曲げられたダンジョンの被害による信仰の低下をそこかしこで行っていると言うのか…

キュベレ姉さん、それで「せめてこの地だけでも…」と言っていたのか。


『プラスに考えるのよ、これでわたしもやっと、やっと神の責務から解放されるわ…』


その声は少し震えていた…

ロッカさんを眷族から外したのも、終わりが近づいていたからなのか。

あ~無力だなぁ俺…


『こら、リューくん!神様をどうこうできると思わないことね!

だから、そんなふうに申し訳なくしないでよね…」


≪…。なあ、仕舞いにしようやこのダンジョン。せめて、神様に見届けてもらおう…。≫


ああ、そうしよう。

扉から元の試練のダンジョン内へと意識を戻す。


「さて、扉の向こうには…」


俺はそう言いながら光る扉に足を踏み入れた…





そこはダンジョン内を見られるようにか複数の画面があった。

だが今は機能していないようだ。この部屋の主人がいなくなったからだろう。

寂しい部屋だった。でもこの場には確かに暖かい世界があったのだろう…

自分の家を守ろうとしただけ…そう言っていたよな。


≪この場に100年くらい居た訳だよな…

ダンジョンマスター族とやらは造られた存在なのだな。

改めて思うが、ふつうの神経じゃ持たないことだろうよ。≫


この空間には色が無かった。

ただそう言ってしまえば終わりな気がしてしまうほど…虚しさが広がっていた。


『…とりあえずスキャンして頂戴。その後は、焼いてあげましょう。

遺体亡き火葬にはなってしまうけど…それくらいはしてあげたいわ。』


魔素を部屋に薄く広げるイメージをする。

おや、隠し部屋か?そう思い壁の一箇所に触れる…すると扉が現れ…

『ステファニーの部屋』そう書かれた札がノブに下げてあった。

ゆっくりと扉を開ける。



その部屋は、温かさを持っていた。

だが、この部屋もまた住むものを失ったことにより寂しさがある…その一角に


『ダンジョンコア…

彼のダンジョンマスターの消失により確かに機能の一部が正常に作用していないわ。

でも、逆に言ったらただそれだけ。他は何も問題が無い、いえ。

問題が無いように作り変えられているというべきかしらね。』


彼の100年は一体なんだったのだろう。


俺は無意識に左の拳を握り炎を開放していた…


「終わりにしよう。」


無言の肯定だった。


そして拳をコアに向けて振り下ろした。







その日、試練のダンジョンは機能を停止した…
























◆?????



む?あのダンジョンが停止してしまっただと!?

あ~あこの私がわざわざ指導してきたというのに…

本当に残念なダンジョンマスターだよ。

もっと強欲でいて欲しかったね!

それなりにコストを消費したのに魔物の一匹も残っていないとは…




やれやれ、もう一方のプロジェクトに回すことさえできない。

でも、あちらのほうもそれなりに進んでいるからね。

そろそろ、町のひとつでも飲み込ませるか…




ふっふっふ~たのしみだね~









これで一章は終わりとなります。

閑話、人物?紹介等をはさんだ後、二章を始めたいと思います。




※ご意見、ご感想ございましたらよろしくお願いいたします。

 読んでくださった皆様方、これからもどうかよろしくお願いします。

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