大魔法使い
青年はジェンター、そして金髪の女性、マーザと共に軍用車に揺られていた。
こうなった経由はこうである。
ジェンターと共に青年は、基地の中の総司令に会いに行ったのだ。
総司令は、青年達が訪れた時には、パソコンのキーボードをせわしなくたたいていた。
そして、意外なことに、総司令は女性だった。
ロングヘアーの金髪で、その胸は分厚い軍服の上からでも、その大きさを主張していた。
いわゆるグラマラスと言うものである。
すこしきつめで細い目で青年を見るなり、ふっくらとした赤い唇を開いた。
「ジェンター、その子……ヒュートでいいかしら、その子を連れてダンバードの大聖堂に行きなさい」
「ヒュートですか……?」
「そうよ、ヒュート=ヒーロー。 名前はないと呼びにくいでしょう?」
「そういえば、確かに……」
「まぁ、そんなことはどうでもいいのよ。とりあえず大聖堂にいって、その子に魔法を与えてあげなさい。このままじゃないもできないでしょうから」
「私もそう提案しようとしていたところでした」
それを聞くなり、あら、そう。とだけ言い、回転椅子を回して、パソコンに向き直った。
「マーザでも誰でもいいわ、あなたの好きな部下を連れて行きなさい」
「了解しました」
そういうと、ヒュートの肩を叩いて、ジェンターは部屋から出て行った。
そして今に至るのである。
「それにしても気の強そうな方でしたね」
「あれくらいじゃないと、総司令は勤まらんのだろう。悪い人ではない」
ヒュートの頭には、総司令の顔が一度浮かび、その直後に大きな胸が頭に浮かんだ。
そうするとヒュートはすぐさま頭から煩悩を振り払った。
「それにしてもなんでこの名前なんでしょうか?」
「わからん」
そう簡潔にジェンターは答えた。嘘である。
「そうですか……」
「あ、あぁ……」
総司令は一体何の期待を彼にかけているんだ、そうジェンターは思った。




