1話 日常の終わり
俺こと、欲城 素直 [よくしろ すなお]の人生は最高の人生だ、これは表現の一種とかではなく本当にそうなのだ、俺はこの世界の誰よりも幸せで、誰よりも幸福な毎日を送っている。
その秘訣は欲望に忠実になること
特に、性欲 食欲 睡眠欲 の、三大欲求にはだ
朝、おきて 太陽に当たり
近くのコンビニで飯をかって食う、
そして出勤まで寝る
工場で労働、日に当たりながらちょっと昼寝
無理やりでも定時で帰り、帰宅後、飯とゲーム
寝る前に自家発電
そして
たまに友達とゲームしたり飯行ったりの生活。
だから今のこの状況で感じることは 虚無だった
よくわからない空間、どうやら俺は死んだらしい
寿命とか事故とかではなく、神のミスで。
女神と名乗った女性がなにか説明しているが話が入ってこない、
他の者たちは、転生特典やらなんやら言ってで賑わっている。
我先にとばかりで、早く転生したいようだ。
1人1人光の中に消えていき、最後は俺1人になった。
「最後はあなたですが、大丈夫ですか?」
こちらが動かないから心配してくれたんだろう、女神が話しかけてくれた。
現実と頭の整理ができない
こうなったら、いつものあれをやるしかないか、現状を整理する、超欲求的、問題解決法。
「女神様」
「はい、何でしょう」
笑顔でこちらを見つめてくる。
「俺は結構あの生活好きでした」
無表情のままたんたんと喋る、その声に宿る虚無は話が進むたびに感情が宿った
「朝になれば日の光を浴びて、飯食って、仕事いって、ゲームして、夜に散歩がてら買い食いして、たまに友達と遊んで」
声に感情がやどる、やるせなさかあるいは向ける場所の分からない未知のものか
「明日世界が終わるとしても、いつも通りの生活ができる、それぐらい常に満たされた生活でした、周りの人は金がないとか時間がないとか、言ってましたけど、俺は俺なりに選んで頑張ってきたつもりでした」
涙、悲しみからくるものではない、なぜ涙が流れるのか本人すらきずいていない
「それは…本当に申し訳ないことをしました」
笑顔が消え、責任をおう者の顔になる女神、そこにあるのは過去の反省ではなく、今この時、思いの丈を打ち明けてくれた目の前の人間へ敬意と覚悟
「いいんです、 おれ 人を責めるのにがてなんで、 多分怒れないです
ただ、 やるせなくて、寿命とか事故とかじゃなくて、俺たちよりすごい存在がミスしましって、そんな選択の余地のない終わり方がやるせなくて」
涙が流れ始める、怒りも悲しみも内包し同時に許しさえ与えてしまえる、自分へのどうしていいかわからない 虚無が流れ始める、
「すみません、こんな事、もう言っても、何も変わらないって、わかってるんですけど、」
「いいえ、いいんです、元々は私が招いた不祥事です。」
男のやるせなさが、涙となってながされる
「あの、一つお願いしてもいいですか」
「もちろんです、私にできる事なら、なんでも言ってください」
「抱きしめて、欲しいです」
願い、というからなにか転生の際に融通を聞かせて欲しいのかと思いました。
ギュ
優しく、しかし力強く、抱きしめる
泣く我が子を慰めるように
ーーーーーーーーー
「ふー、ひとしきり泣いたらスッキリしました」
やはり、感情の発散はいい、自分のいまの状況と考えを口に出すとスッキリするし、なにより、情報の整理もできる。
「それはよかったです、ふふ」
笑顔の女神様、なんか嬉しそう?
「他に何か、して欲しいことはありませんか?
頭なでなでとか、もう一回ハグとか」
「いえ、結構です」
「そ、そうですか」
へこんじゃったよ、何かして欲しい事って言っても、もう特に何も無いが、どうせなら相談にでも乗ってもらうか
「あの、転生について聞きたいんですけど」
「!ええ、もちろんです、転生した先でどのような生活をしたいかなど、ご希望はありますか!何かあればできるだけそれが叶うようスキルや出自などを
「チートハーレム無双がしたいです。」 、、、へ?」
ん?通じなかっただろうか?
俺なりに状況を整理して、現状をわかりやすく整理した結果。
俺死亡
女神のミス
異世界転生
特典もらえる
となったので、性欲 食欲 睡眠欲に忠実になった結果、導き出された答えは
「女の子にモテモテの、チート「あーあー」?」
「わかりました!わかりましたから!」
なんだ、伝わってたのか
「はぁ、誠実で正直な方だと思ったのに」
ボソッと呟く女神
おや?呆れられたかな?
「その前に、転生に関する説明をしますね」
そう言えばさっきまで情報量が多すぎてパンクしてたんだった、ありがたく聞かせていただこう。
「まず、転生先の肉体はこちらで用意したものを使っていただきます、記憶を持ちこすわけですから、どこかの家の子や、役目を終えた方の体になんて転生させられません、それから」
「あの、」
「っ、はい! なんでしょう!!」
「あまり、長文で話されると頭がこんがらがるので、端的にお願いしたいです。」
「なるほど、わかりました、では端的に」
ーーーーーーー
女神様の説明によると、
記憶は持ち越します、
体はこちらで用意します
特典あります、現地で受け取ってください
が、ざっくりとした内容だった。
「それから、先ほどのことですが、強欲すぎます、自重してください」
なんか、注意された、急に母親みたいなことを言い出す。
「女神に抱きしめてくださいなんてお願いするんですよ? 強欲じゃないわけないじゃないですか」
「しょ、正直すぎる」
女神様は苦笑いを浮かべたあと、少し真面目な表情になる。
「貴方が望むものはわかりました。ですが――」
「ですが?」
「そういった方面の願望に関しては、女神としてお力になれません」
「なんで!?」
思わず前のめりになる。
「そこ驚くところですか!?」
「いやだって異世界転生ですよ!? 普通もうちょっとこう……サービス的なものがあるんじゃ」
「ありません!!」
即答だった。
「特典と言っても生活の補助になる程度のものです、そもそもハーレムというものは、他者との信頼関係の積み重ねであってですね!?」
「急に現実的」
「現実です!!」
ビシッと指をさされる。
「女の子を大切にしてください!」
「なんか説教された」
「当然です!」
怒られた。
だが、言っていることは割と正しい気がする。
「では、一体どのような生活を考えたのですか?」
「え! ノープランですけど」
ズドォォォン!!
「えっ」
空間が揺れた。
いや、今絶対なんか落ちたよね?
女神様が机に手をつきながら、ぷるぷる震えている。
……机あったんだ。
「ノ、ノープラン……?」
「はい」
「チートハーレム無双したいのに?」
「いや、あれは“なれたらいいな”って願望というか」
「違うんですか!?」
「そりゃなれたら嬉しいですけど」
でも結局。
未来のことなんて、考えても仕方ない。
今あるもので、今できることをやるしかないのだ。
先を考えすぎても疲れるし。
「……なるほど」
女神様が静かに息を吐く。
「達観していらっしゃるのですね」
「多分、適当なだけです」
「そういうところですよ……」
呆れたように笑う女神様。
その時だった。
空間の奥で、淡い光が揺れる。
「あっ――」
女神様がそちらを見る。
「……もう時間みたいですね」
「お?」
「転生準備が完了しました。まもなく魂の転送が始まります」
へぇ。
いよいよ異世界か。
ちょっとワクワクしてきた。
そうだ、これはちゃんと言っておかないと。
「あー、あと」
「はい?」
「転生や特典くらいで今回のことが帳消しになるとは思わないようにしてくださいね」
「……へ?」
「今回はいいですけど、次会った時は体で払ってもらいますから」
「…………」
女神様の表情が固まる。
「じゃ」
次の瞬間。
視界が光に包まれた。
「え、ちょっ――待っ」
その声を最後に、意識が白い空間から切り離される。
残された女神は、その場で硬直していた。
顔は真っ赤。
額からは汗がぽたぽた落ちている。
数秒の沈黙。
そして。
「え、えぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!?」
白い空間に、女神の絶叫が響き渡った。




