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サッカーなんて、ただの調教よ  作者: やしゅまる


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12/21

第11話『ドM再臨!シエラの愛とセーブ』

「……お久しぶりですわぁぁあああッッ!!!」


開幕から悲鳴のような声がグラウンドに響き渡った。


「神凪シエラ、三ヶ丘学院ゴールキーパー!本日、黒江カリン様の“真なる進化”を拝みに参上つかまつりましたあああぁッ!!」


土曜の交流練習試合、相手は関東の中堅校・三ヶ丘学院。再会の第一声がこれだった。


「また来たのか、あの人……!」


前回対戦時、カリンの“豪快ミドル”を浴びて開花した覚醒ドMゴールキーパー・神凪シエラ。その存在は、もはや試合の枠を超えたショーの域にある。


「黒江カリン様……この半年で、あなたはどんな“愛”を覚えたのですか……?さあ、私にぶつけてくださいましぃぃいい!!」


「……ぶつけません」


「えっ」


即答。


「もう私は“力でねじ伏せる”スタイルは卒業したの。チームで崩し、連携でゴールする。支配ではなく、導く。それが今の私よ」


「い、今の……カリン様……!」


顔を紅潮させ、涙を浮かべるシエラ。観客席の一般生徒たちは完全にドン引きである。


「なんだこの試合……」


「え、これ公開調教とか言ってたけど……え、見てていいやつ?」


だが、試合は本気だった。カリンはシエラの挑発に乗らず、ボールを持てば即パス、即展開。高速のパスワークで三ヶ丘ディフェンスを翻弄していく。


「ヒナ、上がって。……ミオ、左から抜けて!」


「了解っ!」


ミオがカットインからカリンのパスを受け、ワンタッチで振り抜く。シエラ、反応——遅れる。


ボールはゴール左下に吸い込まれた。


「ッッああああッ……カリン様……今のは、わたくしの全てを超えた美……ッ」


シエラ、倒れながら悶絶。


「うわぁ……試合に勝ってるのに、なんか負けてる気がする」


ヒナが冷や汗まじりに呟く中、試合は2-1でこちらの勝利。


試合後、握手を求めてきたシエラは満面の笑みで言った。


「カリン様は……もう“力”だけの人じゃない。支配を捨ててなお、強く、美しい……。わたくし、この日を日記三十冊に書き記しますわ……♡」


「……お好きにどうぞ」


カリンが疲れたように応じると、シエラはスキップしながら帰っていった。


試合の狂気が収まった後、部室で待っていたのはもうひとつのイベント。


——地区予選の抽選結果発表。


「初戦の相手、清水南女子。超守備型の5バック。全国常連じゃないけど、守備に関しては県内トップレベルらしい」


「ええー!?難敵じゃん!」


「つまり……崩すの、めっちゃ大変ってことね」


「パスワーク、磨き直さなきゃ」


やる気と緊張が入り混じる空気の中、カリンは静かに口を開いた。


「いいわ。この進化した“私たち”のサッカーで、鉄壁ごと撃ち抜く」


次なる相手は、“守りに徹した壁”。


だが、今の彼女たちは恐れない。なぜなら、心にヒールを履いた女王たちだから。


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