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ガチャでスライム。


ガチャン。


黄色の球体が機械から出てきて私はそれを取ると、ガチャの機械はあっという間にペンダントに戻ったので急いで首に掛けてから、黄色の球体を開ける為に力を入れる。


と、それを興味津々で私の肩からじっと見つめているラヴィさん。


「‥回して開けるのか?」

「あ、はい。そうです」


パカッと音を立てて開けると、そこには小さな透明のカップに入っている黄緑色のスライム。



「スライム‥?」

「魔物が入ってるのか!?」

「あ、いえ、魔物じゃなくてこれは私の世界ではただネバネバしているオモチャでして‥」

「何故ネバネバしている物をオモチャとして遊ぶんだ???」



完全に意味がわからんって顔をしてるけど、まぁ感触が面白いからとしか言いようがない。ちなみに机の中に置きっ放しにして完全にゲル化して悲惨な状況になるって説明したらもっと意味がわからないって顔をしてた。面白いな。


「‥とりあえず開けてみますか」

「本当に大丈夫なのか?お前を襲ったりは‥」

「これで私を襲ったら、全知全能の神はこの世にいないと世界中に叫びますよ」


透明なカップの蓋をパカッと開けると、黄緑色のスライムがぷるっと体を動かした。



「「え?」」



二人で透明のカップの中の黄緑色のスライムを見ると、プルプルと動き出しカップからポンと飛び出たかと思うと、馬と同じくらいの大きさになって目を見開いた。隣で一部始終を見ていた騎士さんが慌てて剣を抜いて「下がってください!」と叫んだ。


え、やっぱり襲ってくるの?

騎士さんとスライムを交互に見ると、ラヴィさんが騎士さんに「待て」と声を掛けた。


「何か、言っている」

「え?」


スライムを見ると、



『何、食べる?』



と、小さな声で話してる!

っていうか、食べる?何を??食べる為に出てきたの?

混乱しつつ、黒い煙が風向きでこちらへ流れてきた。ゴホゴホと思わず煙に咳き込んだその時、魔の花のことを思い出した。



そうだ‥、魔の花!



「魔の花だけ、食べて欲しい!」



私がそう言うと黄緑色の大きなスライムはプルプルと体を動かすと、



『花、食べる!』



何も知らないはずなのに、スライムは一直線に花畑の方へものすごい勢いで這っていく。騎士さんもラヴィさんも驚いてぽかんとその光景を見ていたけれど、ハッとラヴィさんが正気に戻る。


「おい!他の騎士と魔法使いに黄緑色のスライムを倒さないように言って回れ!俺はスライムを追う!」

「は、はい!!」


ラヴィさんの言葉に騎士さんはすぐに仲間の方へ走っていくと、ラヴィさんはスライムの進んだ方へ私と一緒に馬で走っていく。すると黄緑色のスライムは地面を這いながら白い花を確かに食べているのか、スライムが通っただけで白い花だけが跡形なく消えている。



‥神様ってやっぱりいたんだ〜〜。



こんな所で神様の出したガチャに感心してしまうとは‥。

なんていうか世の中不思議なことがいっぱいだ。

そんな事を馬に乗りつつ思っていると、ラヴィさんは感動したようにスライムを見て目をキラキラさせている。



「あのスライム、命令を聞いた上に的確に魔の花を食べている!!だとしたらとんでもなく素晴らしいぞ!一生飼えないかな」

「いや、前に解説したじゃないですか。消費したら終わりって‥」

「消費の定義は?!どうやったら飼える?」

「‥神様に聞いて下さい」



この状況だって何が何だかわかってないのに定義なんてわかりっこない。

けれど、ものすごい勢いで白い花を食べているスライムを見て、どうにかなりそうな事だけはわかる。あとは鍵だ。鍵。


キョロキョロと周囲を見回すと、遠くの方でふわふわと金色の光が飛んでいる。



「ラヴィさん、あの金色の光って何かわかりますか?」

「え?」



視力の良いラヴィさんが目を凝らすと、



「あれは、鍵?」

「え!!鍵?!ラヴィさん、あっちへ早く行きましょう!」

「ちょっと待て!魔の花があっちにも咲いているんだ!スライムが食べているとはいっても、迂闊には近付けない」

「なんで?だって咲いてるだけじゃ‥」

「お前は気が付いてないがな、すでに魔の花が出す毒から魔法で守っているんだ。あっちは更に奥だからものすごい毒が出ている。死にに行きたいのか?」

「毒?!!」



全然息を吸えてますが、毒なんて流れてたの?

って、ちょっと待て?その毒が出ている魔の花をバクバク食べてるスライムってすごくない?私はラヴィさんを見上げて、



「‥確かに飼えたら良いですね」



と言ったら、深く頷いた。




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