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生活スタイルと擦り合わせ。


結局、ガチャの説明をしたら泣いてしまった私に慌てたラヴィさんは歯磨きさせると、さっさと空き部屋に押し込んで「今日は寝ろ!」と扉を閉めてしまった‥。


お風呂入りたかった‥。


でも、あのキッチンに部屋だ。お風呂場もきっと悲惨なものになってるだろう。明日掃除をしよう。



ちょっとカビ臭い布団の中、顔を真っ赤にさせて頭を撫でてくれたラヴィさんを思い出すと心の中がほんわりと温かくなって、不安や寂しさがいつの間にか落ち着いて‥気が付いたらぐっすり眠り込んでしまった。



「ん‥」



ぱちっと目を覚ますと、分厚いカーテンの隙間から小さく光が溢れていて、向こう側から鳥の鳴き声が聞こえる。



もう、朝か‥。



のそのそと体を起こして、積み上がった本や木箱を避けつつ分厚いカーテンを開けると、昨日見た街並みが並んでいて‥、思わず見惚れてしまう。やっぱり異世界にいるんだな。


昨日よりはちょっと事態を飲み込めている自分にちょっと驚いたけど、これならいきなり泣き出すことはなさそうだ。



換気も兼ねて窓を開けると、ふんわりと緑の木々の香りと花の甘い匂いがする。


街中なのに‥?

ふと窓の下を見ると、キラキラと朝陽を浴びて金色の長い髪をピカピカと光らせているラディさんが草花を手入れしているのが目に入った。昨日も植物がいっぱいあるなぁって思ったけど、ラディさんお世話できるのか。虫が嫌いなのに‥。



「‥植物より家の掃除をするのが先決だと思うんだけど」



思わず呟いてから、私は一階の階段を降りて行くと、



「あれ!?なんか綺麗になってる!??」



キョロキョロと辺りを見回すとやたらとあった木箱やよくわからない器具がない!あと床の面積が明らかに増えた!驚いていると、玄関の扉が開いてラディさんが私を見るなりニヤッと笑う。



「まぁ、俺にとって掃除など造作もない事だな」

「だったら毎日やって下さい。あとおはようございます」

「‥毎日は忙しいから無理だ。あとおはよう」



なぜこうも子供相手に言い返すのだこの大人は。

私は呆れたように「はぁ」と返すと、ラヴィさんはちょっと自信に満ちた顔でキッチンを指差し、


「あちらも多少片付けた」

「それは素晴らしい事で‥」


ズンズンとキッチンへ向かうラヴィさんの背中を追いかけると、確かにキッチンの方が綺麗になっている。うず高く積まれていたお皿はないし、タオルも綺麗になっている。シンクの中はまだちょっと汚いけど、頑張って掃除したのはわかる。



チラッとラヴィさんを見上げると、まるで褒められるのを待っている子供のような瞳で私を見ている。エルフ族って可愛い生き物なんだな。



「ラヴィさん、やればできる子なんですね」

「なんだか馬鹿にされている気分になるな‥」

「ふふ、ちゃんと褒めてますよ。‥ちゃんと約束守ってくれたんですよね。ありがとうございます」



面白い人だなぁと思って笑ってしまうと、ラヴィさんの顔がまたもみるみる赤くなっていく。白い肌だからものすごくわかりやすいな。



「や、約束など‥、したな。確かに!まぁ、それくらいは容易い事だ」

「ところでお風呂に入りたいんですけど、」

「え!?三日に一度じゃないのか?!」

「日本人はお風呂が大好きなんですよね」

「だが、あまり入らないと聞いたが‥」



‥だからどの時代だ。


確かにお風呂が嫌いな人は存在するけれど、私は毎日風呂派だ。

ラヴィさんと私の一瞬の間があって、私はお風呂場へダッシュすると、ラヴィさんが慌てて追いかけてきて、「ちょっと待て!!そこはまだ待て!!」と言うけれど知るか。



バンとお風呂場を開くと、藻だらけのお風呂場に悲鳴を上げた。



どうやって体を綺麗にしていたのだ‥。

あまりのショックに涙目になってラヴィさんを見上げると、またも慌てた様子で「泣くな!!掃除するから!!!」と必死にタオルで顔をゴシゴシと拭かれた。顔より浴槽を掃除しようか?




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