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異世界で家事遂行。


ラヴィさんが家が狭いって言ってたけど、狭いはずだよ!

なーーーんも片付いてないんだもん!

服は脱ぎっぱなし、本は山のように積んであって当然汚い。キッチンもちらっと見せてもらったけど、お皿がうず高く積まれてて絶句した。



「‥エルフ族って片付けできないんですね」

「失礼な。ちゃんと部屋は綺麗だぞ」



そういって二階にあるラヴィさんの部屋を見せてもらったけど、確かに、若干綺麗‥?その横の空き部屋を使わせようと思ったらしいけど、絶対倉庫みたいな部屋を空き部屋とは言わないと思う‥。



後ろを振り返ると、ちょっとドヤ顔のラヴィさん‥。

え、待って?本当に意味がわからない。



「よくこんなんで私を迎えようと思いましたね」

「‥ちょっと片付けができないだけだ」

「その自信たるや天晴れですが、さっさと片付けましょう。必要か必要でないかは全くわからないんですけど、外に小さな倉庫がありましたよね。そこに物を一旦全部運びましょう」

「全部!?」

「あと洗濯物って、こっちの世界ではどうしているんですか?」

「魔法で洗ってる」

「じゃあ、洗濯物は全部洗います」



私の言葉にラヴィさんが「本気か?」って言ったけど、本気です。

パーカーを腕まくりして、私は早速籠を見つけたので、そこにどんどん物を放り込んでいく。これ、今日中に寝られるんだろうか‥。どこか遠い目をしながら物を拾っていくと、ラヴィさんは大きくため息を吐くと、



『本は本棚へ。洗濯物は洗濯槽へ入れ』



そう呟くと、落ちていた本達が一斉にふわりと浮いて本棚へ次々と戻っていく。落ちていた服もふわふわと浮いてキッチンの横にある洗面所の方へ飛んでいった。え、すごい!!目を丸くしてラヴィさんを見上げる。



「魔法!?魔法ですか?!!」

「‥移動魔法だ。初歩中の初歩だ」

「え、すごい!!すごい!!」

「そうか。じゃ早速ガチャとやらを‥」

「ダメです。まだ床が見えてないんで」



ラヴィさんが綺麗な顔で「くそっ」と呟いたけど、私はあえて聞かないふりをした。だって本と服は綺麗になったけど、なんだかわからない物で床が埋め尽くされているんだもん。


「っていうか魔法が使えるなら、さっさと魔法で綺麗にすればいいのに」

「物を元の場所へ戻すことならできるが、それ以外の定位置がない物は無理だ」

「‥定位置を作って下さい」


じとっと睨むと、ラヴィさんは素知らぬふりをしてガラス瓶を棚の中へ押し込んでいた。‥大丈夫なのか、それ?



ともかく物を倉庫に運び、洗った洗濯物を綺麗に畳み、空き部屋になんとか私が寝られるスペースを作った頃にはとっぷりと日が暮れていた‥。



「‥まったく、すっかり夜じゃないか」

「でもお陰で部屋は広くなりましたよ」



ようやく見えた床を指差すと、ラヴィさんは「少しな」って言ったけど元凶は貴方ですからね?と、お腹がぐうっと鳴って、ラヴィさんを見上げる。


「夕飯っていつもどうしてます?」

「店で食べる」

「‥キッチンがあれですしね〜」

「お前は何か作れるのか?」

「‥家庭科で作った物くらいなら。何かあります?」


魔窟みたいになってるキッチンを見て、一応尋ねると木箱から卵とパンとベーコンかな?お肉を取り出した。



「これならある」

「‥朝ご飯みたいな夕飯なら作れそうですね」

「作れるのか?!子供なのに!?」

「‥多分、ラヴィさんよりは私のが絶対生活力あるなって思ってます。子供だけど」



驚くラヴィさんにそういうと、「店でもいいぞ」と言ったけどもうお腹も減ったし作りますよ。コンロはボタンを押すとじんわりと火が強くなっていくもので大変有り難い。魔法がなくても使える事に安心すると話すと、ラヴィさんがしれっと、


「魔法が使える人間はそんなにいない」


と、教えてくれた。



「魔法を使える人って少ないんですか?」

「元々この世界は5人の魔女によって作られた世界なんだ。エルフ族はその魔女から「魔法」を使える力を与えられた」

「お、おお‥。じゃあ人間は?」

「人間は使えないが、時に「祝福」という形で使える者もいる」

「へええ〜〜〜」



やっぱりここは異世界なんだな。

そんなことを思いつつ、なんとか発掘したフライパンの上でこれまた発掘したナイフでベーコンを切って、火にかけた。パチパチとベーコンの油が溶けてきて、美味しそうな匂いがする。


「ここは、やっぱり異世界なんですね」

「お前の世界は魔法は使えないんだろう?」

「そうですね。魔法はおろかエルフ族もいません」


卵を豪勢に4つフライパンに流し込んでから、火を落として蓋をしている間にパンを半分に切って、綺麗に洗濯されたタオルでお皿をよく拭いた頃にはベーコンエッグの完成である。蓋を取ると、いい感じに焼けた目玉焼きがツヤツヤしている。



「‥子供なのに、すごいな」



ラヴィさんがあまりに感心したように言うので吹き出した。

まぁね、子供ですけどすごいでしょ。




火起こしは任せろ!!な人間なので、目下の悩みは

震災でも起きたらどこで火起こししようかな‥です。

(目の前が公園なのでそこだな‥)

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