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エルフと齟齬すり合わせ。


騎士さん達にもお礼をしてから、私とラヴィさんは馬に乗って街へ戻ることになった。



「お前、馬には乗れるか?」

「乗ったことありません」

「日本人は馬に乗って移動しているんじゃないのか?」

「それいつの時代ですか。今や移動は車か電車、自転車ですよ」

「‥あとで詳しく教えろ」



ラヴィさんはそう言ってから連れてきた馬に乗って私に手を伸ばした。


「一緒に帰るぞ。乗れ」

「無茶苦茶言ってる‥」


私はラヴィさんの手をちょっと躊躇いつつ掴むと引っ張ってくれたけど、



「重い」

「ちょっと!?泣きますよ?私は標準体重ですからね」



単純にラヴィさんが非力なのでは?

なんとか二人で協力して馬に乗ると、ラヴィさんは「今度は自分で乗れるようになれ」と言った。そんな無茶な‥。


「ガチャで自転車出ないかなぁ‥」

「自転車‥。その口ぶりからすると乗り物だな」

「そうですね。前と後ろに車輪があって、その真ん中に座席があってそこに座って運転します」

「車輪が2つしかない乗り物!?」

「便利ですよ〜。どこでも行けるし。メンテさえすればずっと乗れます」


私の言葉にラヴィさんは感心したように私を見て、



「子供なのにそんな乗り物を乗りこなせるのか」

「しみじみと子供って言わないでください!来年には成人です!」

「だがどう見ても13歳くらいだぞ?年齢を誤魔化しても意味がないぞ‥」

「ええい!実年齢だって言ってるでしょうに!」



この人の家にお世話になる予定だけど、こんなんで大丈夫かな‥。

そんなことを思っていると、森を抜け、目の前には大きな街が広がって見えた。オレンジ色の屋根が街を染めている風景に息を飲む。


「異世界‥ですね」

「お前にとってはな‥」


街に入る手前に大きな門があって、その迫力に圧倒されてしまう。本当に異世界なんだな。ラヴィさんが門番に声を掛けると大きな扉が開いた。



「すごい大きな門ですね‥」

「魔物に対抗するにはこれくらい大きくないと危険だからな」

「え」

「‥今は魔術でそもそも街に近寄れない。心配するな」



‥この人は優しいんだか、なんなんだかわからないな。

というか私を子供だと連呼してたけど、ラヴィさんだってどう考えても若いと思うんだけど‥。あ、でもエルフって言ってたから相当年寄りってことも考えられる?


大きな門を潜りつつ、そんなことを考えているとガヤガヤと人が行き交う様子に目を見開いた。



人だ!!

人がいっぱいいる!!

あとラヴィさんがエルフは別に珍しくないって言ってたけど、本当だった。耳が尖った人達がちらほらだけど見えたし、なんなら尻尾とか耳が生えている人もいる!



「色々な人がいっぱいいる‥」

「ここは王都よりも少し規模は小さい街だが、確かに多いな」

「へ〜〜」



東京の街中よりは少し少ないかなって思うけど、それなら納得かも。

キョロキョロと周囲を見回すと、クリーム色の石壁にオレンジ色の屋根の色はどこも同じっぽい。だけど店はちょっと工夫していいのか、壁の色がちょっと緑だったり、黄色っぽい色だったりと面白い。


「綺麗な街ですね」

「そうだろう。テルンはなかなか良い街だ」


なんだか誇らしげなラヴィさんが微笑ましい。

と、途中で少しくすんだ灰色の建物の前まで来ると馬から降りた。


「馬をここで返して、帰りは歩くぞ」

「はーい」


まだ歩くんだ。

というか馬を貸し借りできる場所もあるんだな。

私一人では上手く降りられなくて、ラヴィさんが手を貸してくれてなんとか降りられた。‥神様、次のガチャでは絶対自転車を下さい。



更に街の中を歩いて行くと、賑やかな喧騒から一転、静かな街並みへと変わる。途中には小さな公園や人が一人通れるくらいの石の階段なんかも見えてちょっとワクワクしてしまう。‥こんな事態でなければもっと楽しめたんだろうけどねぇ。



「ここだ」



ラヴィさんの声に顔を前に向けると、石で出来た壁が目の前に見えて茶色の大きな木の門に鍵を差し込むと、重そうな扉がぎいっと開いた。ラヴィさんが扉を開けて中へ入ったので、私も続けて入ると扉はバタンと自動で閉まって鍵まで掛かった。‥もしかして、これって魔法?



ラヴィさんに聞こうとして顔を真正面に向けると、

二階建ての白い綺麗な石壁に少しくすんだオレンジ色の屋根の家、そして小さな畑とハーブだろうか色々な花が咲いている。



「なんか想像した以上に素敵な家なんですけど?」

「そうか?狭くてなぁ‥もう少し広い所に住みたいんだが」



これ以上に広い家?

と、ラヴィさんが玄関のドアを開けたその途端、どさどさと玄関から本が崩れ落ちてきた。


「本!??」


驚く私を尻目に本をひょいっと跨いで家に入ったラヴィさんと家の中へ入ったけれど、そこら中に物が落ちている。いや、積まれている‥。



「とりあえずお茶でも飲んで話を‥」

「掃除!!!まずは掃除です」



こんなんでお茶なんぞ飲めるか!とついでに叫んでおいた‥。

エルフ族って掃除できない民族なのか?




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