墓穴を掘っていくエルフ。
私とチェルナ君を食べようとしたドラゴンは、チェルナ君によって口に氷を突っ込まれたせいで私達を遠くへ飛ばしてくれて‥、まぁそのお陰で私達を探していたラヴィさんが見つけてくれたけど。
助け出してくれたけど、ラヴィさんはすぐ動き出した私を叱りつけたけど、あの鍵!鍵が逃げちゃう!
「ラヴィさん、鍵が‥!」
「どこだ!?」
指差した先には氷を口に入れてもがいてるドラゴンの上でふわふわ浮いていた鍵。
ところが、突然空中に茶色の扉が現れた。
「「え」」
現れた扉に金色に光る鍵が、鍵穴に自身を差し込んで回すと、扉が開いてあっという間にその扉の中へ入っていってしまった。
「鍵が、と、扉‥に入っていった?!」
転移だけじゃなかったの?
ぽかんと口を開けると、ラヴィさんまで驚いた顔をしていた。
「お前、あの鍵はどんな「力」があるのか聞いているのか?」
「力?」
「失念していたが、原初の神といえ「力」があるはずだ。神が持っていたその鍵が何も「力」がない訳がない」
「そ、そうなんですか‥?」
とりあえず鍵を探して捕まえて、くらいしか説明されてないんだけど‥。
ラヴィさんを困ったように見上げると、ラヴィさんは遠くを見つめ、
「子供にわかるわけないか‥‥」
「あ、酷い!!何もかも丸投げされたこんないたいけな存在になんて事を言うんですか!」
「‥いたいけ‥という言葉は、お前にはふさわしくない」
「なるほど、か弱いって言葉がしっくりくると」
「お前のそういう前向き過ぎる思考は大したもんだよ‥」
ラヴィさんが呆れたように話した途端、私の腕に付けていた時計がジリジリと鳴った。
「え?!」
今まで動かなかった時計の針がグルグルと回り出すのを驚いて見ると、ラヴィさんが目をキラキラと輝かせ、
「‥異変が終わったんだな。恐らく元へ戻るんだろう。ヒロ、チェルナ!念の為手を繋げ!」
「は、はい!」
私とチェルナ君、そしてラヴィさんと手を繋ぐとグニャグニャとした風景から一転して、あのラヴィさんがアンカーなるものを打った場所‥、今は黄色のドアの前に私とチェルナ君、そしてラヴィさんが立っていた。
「戻った‥」
私がポツリとそういうと、腕時計はパッと腕から消えてしまって、チェルナ君がそれを驚いたように見て、
「も、ものすごい時計が!!」
「‥ラヴィさんみたいに言うね」
「それはそうだよ!だって時間を巻き戻せる魔法なんてないんだぞ?!それをそんな時計でツマミを回すだけで出来たんだろ?!ね、先生、すごいですよね!!」
「流石俺の弟子はよくわかっているな。その通りだ」
二人であの時計、欲しかったって言うけれど‥、なるほどそういう特殊な魔法なら確かに誰かに使われたら危険だよね。だから私だけしか使えないし、使ったらすぐ消えちゃうのか。その辺、神様ってすごいな。
「‥とはいえ、また鍵が逃げちゃった」
「まぁ落ち込むな。またすぐ現れるだろ」
「うう、ラヴィさんが珍しく優しい」
「ガチャももっと見たいしな!」
「そっちか、そっちが目的か‥」
呆れたように話しつつ、ぐるっと街中を見渡す。
「とりあえず、異変はなくなったのかな‥」
「そうだろうな。その腕時計が消えたのが証拠だろ。チェルナ、ギルドで俺とヒロの怪我の手当をしたい。救急箱を借りられるか?」
「もちろんです!すぐ用意します!」
チェルナ君はすぐにギルドの中へ駆け込み、私とラヴィさんはその後をついていく。‥そういえばラヴィさん色々魔法は使ってたけど、回復魔法は使えないのかな?それともこの世界にはないのかな。
「ラヴィさんって回復魔法ってあるんですか?」
「あるぞ」
「ラヴィさんは使わないんですか?」
「‥‥使えない。だから怪我はするなよ」
「もしかして、それで怪我を心配してたんですか?」
「‥‥だからなんだ」
いや、その優しさよ!!
なんていうか本当にわかりにくいその優しさがジワジワと胸の中に広がって、ポカポカと暖かくなる。視線だけ上げると、わかりやすいくらい照れ隠しでぶすっとした顔をするラヴィさんに笑ってしまう。
「‥ラヴィさんって、優しいですよね」
「はぁ!?」
「しかも可愛いし」
「か、可愛い??」
ぶすっとした顔から一転赤い顔をして照れるから大変面白い。
ちょっと傷だらけのラヴィさんの手を握ると、ラヴィさんが驚いたように私を見つめる。
「迷っちゃうかもしれないんで、手を繋いだんですけど。ダメですか?」
「う、あ、ええと、〜〜ああもう!!行くぞ!!」
自分で言いだしたのに‥、とことん自分で墓穴を掘っていくラヴィさんに笑いつつ、
「ラヴィさん、ありがとうございます!」
お礼を言うと、赤い顔でもごもごと何か呟くラヴィさんであった。
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