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間違い探しとドラゴン。


ガチャで出てきた腕時計のつまみをぐるっと回すと、それまで街中にいた私達は気が付いたらラヴィさんの家の門の前に立っていた‥。



「も、戻った?!」

「‥恐らく家を出てギルドへ行く時間に、だな」

「え、なんでわかるんですか!?」

「そこの向かいの家の住人が、玄関の花に水をあげていた」



ラヴィさんがそう言って、向かいの家を指差すと丁度玄関先に飾ってある鉢植えの花に水をあげる女性がいて‥、ラヴィさんを勢いよく見上げると得意げにニヤリと笑った。


「つまみはどれくらい回したんだ?」

「目一杯回しました」

「つまり、ギルドに行く前から異変が始まっていたという事か‥」

「じゃあ、これから異変を探すんですね」


話は決まったとばかりに歩いて行こうとすると、ラヴィさんが私の手を慌てて掴み、



「だから!!迷うかもしれないのにさっさと一人で行こうとするな!」

「そうだった!!」

「‥人間はただでさえ脆いというのに」

「そんなヤワじゃありませんよ」



私の言葉にラヴィさんが「嘘をつけ!」と言ったけど、少なくともラヴィさんよりは私の方が健康そうだと思う。兎にも角にもラヴィさんと手を繋いでギルドまでの道のりを慎重に歩く。


どこかに異変はないか?

何か、おかしい所はないか?

キョロキョロと周囲を見渡すけれど、どこにも変化が見当たらない。というか、そろそろギルドに着いてしまいそうだ‥。



「あ、そういえば‥」

「なんだ!?」

「ドアに入ったチェルナ君、どうしたのかなって‥」

「ドア‥」



ラヴィさんがハッとして、周囲の建物を見回した。


「あそこだけ、ドアが違う!」

「え?」

「お前は知らないだろうがな、あそこの家のドアは真っ黄色なんだ」

「‥‥今は、赤ですね」

「明らかにおかしい。よし、そこに入ってみるか!」

「ええ?もう??」

「他に異変は見当たらなかっただろ」


そう言われたら、なにも言えねぇ。

どっちにしろこの街をよく知っているのはラヴィさんだし、ここは素直に意見を聞いて行動してみるか。



「仕方ない。一緒に行きましょう!」

「お前な!?日本人は控えめで謙虚と聞いたが?」

「個体差です!!」



そんな差があってたまるか!というラヴィさんの言葉を聞き流しながら、赤いドアを開けると‥、



そこは黒いボコボコとした岩に所々に緑の草木が生えていて‥、明らかにここではない場所が広がっている。



「ここって‥」

「恐らく隣国のデュエンだな。火山活動が活発でこんな黒い岩に囲まれた国だ」

「隣の国!??戻れるんですか?」

「この家の前にアンカーを打ち込んでおく」

「アンカー??」

「要するにポイントだ。アンカーを打っておけば違う場所に行っても、そこに転移できる」

「そんな事できるんですか?」

「俺は魔法使いだぞ??」



そういえばそうでしたね。

でもそんな魔法まで使えるのってビックリなんだけど‥。

ラヴィさんは手早く赤いドアの地面に手を当て、


『ここを戻る場所として記す』


そういうと、地面がパッと光ってすぐに消えてしまった。

魔法ってすごいなぁ‥と感心していると、立ち上がったラヴィさんが気持ち悪そうにしてる‥。



「うっぷ、本当この魔法も気持ち悪い‥」

「まだ移動もしてないのに気持ち悪いって‥」

「移動系は苦手なんだよ!」

「もうちょっとしっかり食べた方がいいですよ」



絶対腕だって私より細いと思うんだよね。

そう言いつつドアを潜ると、ドアは自動的に閉まってあっという間に消えてしまった。


「消えちゃった‥」

「だろうな。どこかで異変‥恐らく鍵を探せば解決する、と、思いたい」

「そんなふやふやでいいんですか」

「俺だってこんな異変は初めてなんだ。手探りでもやっていくしかない」

「それはそうですね」


二人で話しながらジャリジャリと細かい黒い砂や岩の上を歩いて、どこかに鍵がないか探してみるけれど見当たらない。



「ラヴィさん、デュエンって国はどんな国なんですか?」

「え」

「火山以外で。私、全然知らないので」

「ああ、そうだったな。ここは魔族とドワーフ族が主に住んでいる国だ。あとさっき見た黒いドラゴンが多い」

「ドラゴン‥」

「黒いドラゴンは寒さに弱いタイプなんだ。だから熱いこの国がいいんだろ」



へえ!ドラゴンって結局のところ爬虫類って事なのか?

あれって自分で体温上げるの苦手‥だったよね。そう思うと、ドラゴンがちょっと可愛く思える‥。



と、ズシン!!と聞き覚えのある音がして、私とラヴィさんの体が固まった。



「こっちだ!」



ラヴィさんが私をグイッと引っ張って木の後ろに隠れると、そっと顔を出して音のした方を見ると、そこにはさっき見たくらいの大きさのドラゴンがいて‥、私とラヴィさんで唾をゴクリと飲む。


さっきの前言撤回!

ドラゴンは可愛くない!めちゃくちゃ怖い!


そっと体を木の後ろへ更に隠そうとすると、何かをグニャッと踏んだ。



「ん?」



私がそちらを振り返ると、そこには黒い大きな尻尾をしたドラゴン。

‥私とラヴィさんで思い切り叫んだのはいうまでもない。




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