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美味しいものは最高である。


火が消えたので火炎茸を分けてもらってからギルドへ報告しに戻った私とラヴィさん。


ギルドへ戻ると、カウンターの向こうで仕事をしていた白い猫の獣人チェルナ君が私の姿を見るなり、椅子から立ち上がって手を振ってくれた。



「ヒロ!大丈夫だったか?」

「元気一杯だよ〜〜!ありがとう」

「そっか、良かった。先生もお疲れ様です」

「‥まったく、子供はすぐ仲良くなるな」

「何ぶすくれてるんですか。はい、報告書下さい。審査が通ったらお金にしておきますから、今度は受け取りに来て下さいよ」

「はいはい」

「ラヴィさん、はいは一回でしょ?」



私とチェルナ君に言われてウンザリした顔をするラヴィさんに、思わず私とチェルナ君で顔を見合わせて笑ってしまった。


「もう俺は疲れた。当分働かないと言っておいてくれ」

「無理だと思いますけどお疲れ様でした」

「‥大人しく研究だけさせてくれ」


チェルナ君に書類を渡すと、ヒラヒラと手を振ってサッサとギルドから出て行くので私もチェルナ君に手を振って、急いでギルドから出て行く。



「ラヴィさん、キノコは好きですか?」

「‥なんだ突然。キノコは嫌いじゃないが火炎茸はまずいと言ったろ」

「絶対食べてみたら違うと思うんだけどなぁ‥」



腕に抱えた大きな火炎茸を見てそう言うと、ラヴィさんが「調理するなら気をつけろよ」と指差した。この人はなんだかんだいって優しいよなぁ。


「それより約束守って下さいよ」

「約束?」

「美味しかったら、ちゃんと名前を呼ぶんです」

「‥‥そうだった」


そしてうっかりだな。

ラヴィさんと家に戻った頃には、もう夕方だ。

辺りの家からいい匂いが漂ってきて、私のお腹がぐうっと鳴った。



「お腹減った〜〜〜」

「まったくだ。ああもう、まだ体から砂が出てくる」

「ラヴィさんお風呂に入って来たほうがいいですよ」

「‥‥風呂」

「もしかしてお風呂嫌いなんですか?」

「‥‥面倒なだけだ」



それは嫌いって言うのでは?

家事全般嫌いでお風呂も嫌いで虫も嫌い。‥なんという面倒な大人であろう。これでよく私を家に招いたな。ともかくラヴィさんの背中をグイグイと押して、スライムによって綺麗になったお風呂場へ突っ込んだ。


「絶対綺麗に洗ってから出てこないと、チェルナ君に言いつけちゃいますからね!」


と、言い含めてからお風呂場の扉を閉めた。

清潔感はイケメンにとって大事な要素なのに、なんと勿体無いことをしているのだ。



キッチンに行ってから、私は買ってきた食材を取り出した。

チェルナ君に色々聞いてから買ったけど、食材はどうやら私の世界と似ているようで安心した。今度の買い物もチェルナ君に付き合ってもらおう。ラヴィさんは戦力外だ。



もらってきた火炎茸は、ギルドの人曰く「火種にもなるし、油で調理すれば美味しい出汁が出る」との事だったので、細かく切ってフライパンに入れて、そこにニンニク、鷹の爪、お肉、トマト、なんか美味しいって言ってくれた緑のお野菜を入れて油と塩を入れて、グツグツと煮る。



ええ、アヒージョです。



キャンプでお父さんがよく作ってくれた、簡単!美味しい!料理である。

ちなみに私も好きなので、家でよく作って食べてた。これに買ってきたパンとお昼にラヴィさんが怪我をしながら作ってくれたポトフと一緒に食べれば完璧だろう。


ふんわりといい香りがしてくると、ラヴィさんが綺麗な金髪の髪をタオルでゴシゴシと乱雑に拭きながらこちらへやってきた。



「‥いい匂いがする」

「もう少しでできますよ」

「‥すまん、子供に作らせて」

「まぁ、これくらいは一人でも作りますから。それに今日はラヴィさんに美味しいって言わせないとだから」



ニンマリ笑ってラヴィさんを見上げると、ラヴィさんが顔を赤くする。

本当に面白いし可愛い人だな〜〜。


「よし、できたし食べましょう!」

「スープはよそるぞ!!」

「ぜひお願いします〜。私はアヒージョを持っていきますね」

「あひーじょ?」

「私の世界の料理ですよ」

「!!食べる!!」


ワクワクした顔で宣言したけど、美味しいって認めたら私の名前を呼ばなくてはいけない事をすっかり忘れているな‥。鍋敷きを敷いて、フライパンを置くとスープを持ってきてくれたラヴィさんがキラキラした瞳でアヒージョを見つめた。


パンを切ってお皿に並べ、椅子に座って「いただきま〜す」と言うと、ラヴィさんは驚いた様子で私を見てから、「いただきます?」と真似してくれた。



「パンにちょっと浸して食べると美味しいんですよ」



そう言いながら私はパンに火炎茸をのせてパクッと食べると、


「あ、美味しい〜〜!!エリンギに似てる!」

「エリンギ???」


そう言いつつラヴィさんも火炎茸をパンにのせて食べると、目を見開いた。



「どうですか?」

「‥‥美味しい、ぞ。ひ、ヒロ」

「そうですか。それは良かったです」



ニコッと笑うと、もそもそと食べつつラヴィさんは赤い顔をして「もっと欲しい」と言うので、パンにキノコをのせてあげた。はい!美味しい頂きました。




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