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エルフ、からかわれる。


皆でポトフを食べ終えてから、私達はチェルナ君をギルドまで送る事にした。



「お前も世話になるかもしれないしな‥」



と、言うラヴィさんの有り難い提案だけど、できればお世話になる事なくサクッと帰りたい。なにせ私だってやりたい事も、やらなくてはならない事もあるのだ。主に勉強とか?嫌いだけど‥。



チェルナ君と黒い石壁にオレンジ色の屋根というちょっといかつい建物の近くまで行くと、後ろで歩いていたラヴィさんが「あれがギルドだ」と教えてくれた。



「結構大きい建物なんですね」

「小さな自警団は街のあちこちに点在しているが、ここが本拠地だからな」

「自警団と、あと何をしてるんですか?」

「簡単に言えば何でも屋だな」

「‥先生、それはかなり乱暴な説明ですよ」



じとっとチェルナ君に睨まれたけど、ラヴィさんは気にする事なくガヤガヤと人でごった返すギルドの中へ入って行くと、そこかしこに見た事もない大きな人がいたり、綺麗な人がいたり、ごっつい鎧を着ている人もいる。


「‥色々いる」

「ま、そりゃそうだ。仕事も斡旋してるからな〜」


チェルナ君はそんな事を言って掲示板らしきものを指差した。


「あそこに仕事内容が貼ってある。もし異変があれば、あそこに張り出されるからチェックしておくといいぞ」

「ありがとう!早速見てみる!」

「こら、一人で行くんじゃありません!」


ラヴィさんがお母さんみたいになってる‥。

ブツブツ言いつつ付いてきてくれる辺り、大変面倒見の良いお母さんだな。

一緒に掲示板の前に立つと、なるほど色々仕事があるようだ。



『溝掃除』

『水路の工事』

『薬草の剪定』



他にも色々あったけど、チェルナ君が「大体ヒロがやるならこの辺り」と説明してくれた。確かにお金の事を考えると仕事した方がいいよな。


「そうだな〜〜、工事は力仕事だし、薬草はよくわからないし、溝掃除かなぁ」

「なんだと!?鍵はどうするんだ!」

「そりゃ探しますよ。でも私限られたお金しかないし、いつまでいるか分からないんだから稼がないとですよね?」


私がそういうと、ラヴィさんは「まだ来て2日しか経ってないのに‥」と不満そうだ。でもずっとお世話になりっぱなしもまずいでしょう‥。



溝掃除の紙をもっとよく見ようと背伸びをすると、バタバタとこちらへ駆けてくる足音が聞こえた。と、ギルドの職員だろうか男性が赤い紙をバシンとその溝掃除の上に紙を貼った。


「えっと?」

「何かあったらしいな」

「え」

「異変や、困った事案が起きた時には赤い紙で重ねるように貼られるんだ」


チェルナ君が教えてくれたけど、という事は何かあったって事?

赤い紙を見上げると、



『山火事発生!魔法使い、至急大募集!!』



と、書いてある。


「‥これ、ラヴィさん案件ですね」

「俺は嫌だ。昨日の掃除で疲れて動けない」

「どんだけ虚弱体質ですか‥」


思わず突っ込んでしまうけれど、隣にいるチェルナ君がラヴィさんを見上げて、



「先生、魔法使いは昨日の魔の花の処理もあって手薄ですからご協力お願いします」

「‥チェルナがやればいいだろう」

「山火事は範囲によっては、ずっと水を出さないといけないじゃないですか。僕の魔力量じゃ無理ですよ。それにヒロを拾ったんだからちゃんと育てないとダメですよ!」



またもや動物のように言われてしまった私。

しかしラヴィさんは私をチラッと見ると、大きくため息を吐いて赤い紙を指差す。


「‥すぐクエスト入りする。あとこいつも連れて行く」

「え、私も行っていいんですか?」

「‥子供を一人にはできないだろ」

「もうちょっとで成人ですけど。あと子供でもこいつでもなくてヒロです」


じとっとラヴィさんを見上げると、ラヴィさんは困ったように私を見たかと思うと、赤い顔で目をウロウロと泳がせる。



「‥‥‥あとで呼ぶ」



って言うけど、なんでそんな名前を呼ぶのに躊躇うのだ?

すると私の横にいたチェルナ君が、



「先生は女性に耐性がなさ過ぎです。名前くらい呼べないと、女性と一生話もできませんよ」

「で、できるぞ!」

「じゃあ、ほら名前を呼んであげて下さい!」

「〜〜〜〜〜〜ううっ、ひ、ヒロ」

「はい」



私が返事をすると、ラヴィさんはますます顔が赤くなった。

‥このエルフ族は大変面白い。

手とか握ったらどうなっちゃうんだろう。むくむくと起きたイタズラ心が赤い顔のまま、目を未だに泳がせているラヴィさんの手を取った。


「なっ!??」

「チェルナ君、手続きってカウンターでするの?」

「うん、こっちだよ」

「じゃ行きましょう、ラヴィさん」

「いや、その前に手、」

「子供なんで手を繋いで下さい」

「なっ!!?」


いけしゃあしゃあと言い放つと、ラヴィさんはもう耳まで真っ赤だ。

これは大変楽しいな。



ラヴィさんの反応にギルドの人は驚いているようだったけど、私は構うことなくチェルナ君とカウンターへ移動したのだった。



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