異世界でガチャを回せ!後日5
チェルナ君が妖精族が喧嘩したら黒雲が増えて、飲み込まれた!と話すので早速現場へ向かう事になったけど、そもそも現場はどこ?だとラヴィさんが尋ねると、
「女王の祭りをする場所です!」
「あそこか‥」
女王の祭りというと、いつぞや妖精さんとイモムシさんが巨大化して対決した場所かな?ちらりとラヴィさんを見上げると、まだ何も聞いてないのに「そこだ」と答えてくれた。‥なんでわかったんだろ。
「そこなら走って行った方が早いな」
「すぐ行く〜!!」
「‥チビは、念の為チェルナの後ろにいろよ」
「なんでだ!俺だって、少しは魔道具で戦えるぞ!」
「その前に王族だって事を思い出せ!」
素直に心配してるって言えばいいものを‥。
私はナズ君の頭をよしよしと撫で、
「ラヴィさんはナズ君をすごーーーく心配してるんですよ」
「‥ええ?!本当か?」
「なんだその疑わしい目は!!」
「先生ーーー!!!早く!早く行きますよー!!!」
チェルナ君に急かされ、急いで支度をすると皆で公園へと走る。
もう3年も前だけど、意外と道を覚えているなぁなんて思いつつ、公園へ近付いていくと、黒雲が入道雲のような形で蠢いている‥。皆逃げ出して、周囲から見ているけれど確かに傍目から見ても危険な感じしかしない。
「あ、あれ!?」
「ものすごい高いなー!兄様くらいか?」
「以前見た虫と妖精達のそれと同じくらいの大きさですかね?」
「‥‥うう、嫌な記憶が」
「ラヴィさんしっかり!あれは雲!ふわふわの雲ですから!」
ラヴィさんの手をしっかり握って励ますと、口を引き結んで頑張って奮い立ったようだ‥。虫は、変わらず嫌いなんだな。
ギルドの人達がこちらへ気が付くと駆け寄ってきた。
「ラヴィさん!魔法が効かなくて‥、あれって黒雲ですよね?突然増えて、俺達もどうすればいいかわからなくて‥」
「魔法が効かないのか?わかった。とりあえず色々試してみるから、付近の住人を避難させてくれ」
「わかりました!」
緊迫した空気の中、テキパキと指示するラヴィさんに頼もしいなぁ〜なんて思っていると、黒雲が突然入道雲のような形から姿を変え始めた。
「先生!姿を変え始めました!」
「何をしようとしているんだ‥?」
ふわふわな雲の形から、昆虫のような羽が突き出たかと思うと、まるで雲の中から孵化したかのように黒い蜂が姿を現した。
「「「「「蜂ーーーー!???」」」」」
思わず皆で叫んだけど、なんで蜂が生まれちゃうのかなぁ!??
大きな黒い蜂はこちらをギロッと睨むと、お尻から突き刺されたら即、死にそうな針を出してものすごい勢いでこちらへ向かってきた。
『光の精霊よ!我らを守れ!!』
ラヴィさんが叫ぶと、大きな光のカーテンが私達の前に現れ、黒い蜂の動きを光のカーテンが止めたけれど、蜂はまるで怒ったようにドカドカとカーテンにぶつかった。
「くそっ、力がすごいな!」
「先生、僕もやります!」
「頼む。しかし力が穢れの倍はあるな‥。オーリ、チェルナに魔法が強化できるように祝福を頼む!チビは何かの際に祝福できるようにオーリの後ろに、ヒロは‥」
ラヴィさんの視線に私はニヤッと笑って、ガチャのペンダントを握った。
「もちろん、ガチャでしょ!」
ポンと音を立てて、ガチャが大きくなると私はすぐにツマミを回した。
絶対こういう時は殺虫剤か、何かでしょと期待しつつ出てきたカプセルを取り出すと、よく見慣れた黄色のカプセル。‥蜂だからかこの色?
と、後ろからブブッと蜂の飛ぶ音が大きくなった‥?
振り返ると、大きな黒い蜂から蜂が飛び出してきた!そしてその蜂が私の方へ目掛けて飛んでくるではないか!!オーリさんやナズ君が慌てて手で追い払おうとするけれど、あ、危ないって!
「ヒロ、逃げろ!!」
「ど、どこに〜〜〜!!」
ラヴィさんに言われたけれど、大きな黒い蜂の動きを止めるだけで手一杯といった様子に、私はキョロキョロと周囲を見渡して、噴水のある場所へ一目散に駆け出した。
「ヒロ!?なんで噴水に‥!?」
焦った様子のラヴィさんの声が聞こえたけれど、私は流石に水の中まで来ないだろうと噴水に飛び込んだ。ううっ、ようやく春先だから水が冷たい!
水の中から水面を見上げると、黒い小さな‥と、いっても子犬くらいある蜂達が飛び回っている。怖い。しかもまだ帰ってきたばかりなのにあんまりだと思いつつ、カプセルを急いで回して中のガチャを取り出して私は目を丸くした。
だって中に入ってるの、オレンジジャムかなんかなの?
それが塗ってあるトーストのオモチャなんだもん。なんで!ジャムパン!なんだよ!?




