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勤勉な弟子とのんびり師匠。


花束を持ってギルドへ行くと、すでにチェルナ君がカウンターでテキパキと仕事をしていた。


オーリさんに続いてチェルナ君まで仕事してる‥。

あの二人の体力すごいな。

無言でラヴィさんを見上げたら、まだ言ってもいないのに静かに頷いて、


「俺と違って勤勉だ」


と、言うので思わず吹き出してしまった。



「あ、先生!ヒロ〜〜!!」

「チェルナ君、おはよう!昨日の今日なのにお疲れ様」

「ふふ、ヒロや先生だって同じなのに。花束可愛いね!先生と買って来たの?」

「これはオーリさんが出かける前に届けてくれたんだ〜」

「‥‥先生、何やってるんですか」

「チェルナ、ちょっと黙ってなさい」

「え?何?なんで??」



二人が目で会話してるけど、私だけ蚊帳の外ですか???

交互に二人を見ると、チェルナ君が小さくため息を吐いて「先生、先手を打つのは大事ですよ」と言いつつ書類を差し出した。


「こちら、今回の報奨金です。あと先生が帰る前に処方してくださった薬を近隣の体調の悪い方に配ったところ、落ち着いたようです。今はこちらの医療魔術師が村を回って診療していますが、すぐに落ち着くだろうと話していました」

「そうか‥。それなら良かった」


帰る前にそんな仕事までしてたの?

オーリさんやチェルナ君の働きぶりにすごいなぁって思ったけど、ラヴィさんも相当頑張ってたんだな。


そう思うと、テントまで最後は用意してくれて‥。

ラヴィさん逆に働き過ぎでは?まじまじとラヴィさんを見上げて、大丈夫かなぁ?なんて思っていると、



「領主の方はまだ見つかっていないようですが、時間の問題では‥と言われてます。その辺りも情報が入り次第お伝えしますね」

「わかった。色々ありがとう」

「ヒロは?これから買い物にでも行くの?」

「うん!テントをラヴィさんが立ててくれてね!外でご飯作って食べる予定なんだ〜」

「え、先生が??!テントを??」

「うん?」



私が頷くと、チェルナ君がラヴィさんを感心したように見上げ、感無量ですとばかりに微笑んだ。


「先生、よくできました‥」

「おい!?」


二人のやり取りに笑うと、ちょっと赤い顔をしたラヴィさんが、



「別に大した事はしてないからな!夕飯、どうせ外で適当に焼いて食べる予定だ。チェルナも特に予定がないなら食べに来い」

「‥そこは二人で楽しむべきでしょうに。ちなみにデザートにはモチモチがオススメです」

「もちもち?」

「あ、白くてふわふわと甘いお菓子なんだ。焼くとちょっと蕩けて美味しいんだよ〜」

「マシュマロみたいなものかな?ラヴィさん!買って帰りましょう!チェルナ君、遠慮せず食べに来てね!モチモチ買っておくから!」

「ふふ、じゃあそうしようかな」

「‥なんでヒロの言葉は素直に聞くんだ」



ラヴィさんがブスッとした顔でチェルナ君を睨んだけど、チェルナ君は涼しい顔で報奨金をテキパキ用意して手渡してくれた。


「じゃあ、また後でね!」


私が手を振って挨拶すると、チェルナ君も嬉しそうに手を振ってくれて‥、なんだか少しずつ自分の居場所ができているように思えて嬉しく感じる。けれど、いつかはここを去るんだ。そう思うと、さっきまで嬉しかったのに今度は寂しく感じる。


まぁ、そもそも鍵も見つかってないから当分帰れないんだろうけど‥。


お店で色々買っていると、不意に露店に石や鉱石が売っているのが目に入った。水晶のような透明な石もあれば、ピンクや緑もある。思わずまじまじと見つめていると、



「どうした?」

「あの青い石って、その後大丈夫なんですか?」

「ああ。あれはちゃんと今も青く光っているらしい」

「‥鍵を祝福したのに力が衰えないってすごいですよね」

「そりゃ、魔女の力が常に流れているからな。ただ、水を浄化するだけだと思ってたんだが、祝福まで出来るなんて思わなかったが‥」

「そう考えると、ナズ君すごい発想ですよね」

「そうだな。それを実行するお前も大概すごいと思うがな」



え、褒めた?

ラヴィさんが褒めた?

驚いてラヴィさんを見上げると、ジロッと睨み「だが今回はたまたま運が良かっただけだ」と釘を刺された。そういうとこ、本当厳しいんだから‥。


「他にも石ってあるんですか?」

「国によって数はまちまちだな」

「そうなんだ〜。他に何か魔女の物ってあるんですか?」

「物‥、というより使い魔はいるな」

「使い魔!!」


いきなりファンタジーきたぞ!!

いや、すでにファンタジーな世界なんだけど。

ワクワクした顔でラヴィさんを見上げると、屋台を指差した。



「その前にモチモチだ。そら、そこの白い枕みたいなのがあるだろ。これがモチモチだ」

「これが‥!おじさん、二個下さい!!」

「二個も食べるのか?相当大きいぞ」

「若者の胃袋舐めないで下さい。あとでお野菜も買って帰りましょうね」



ビシッと指をさすとラヴィさんは、うんざりした顔で「肉がいい‥」と遠くを見つめて呟いた。




熱で倒れてて更新できなかった‥。

皆様どうぞお体大事にして下さい。

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