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スライムの使用法。


ちょっと離れている場所に金色の光に包まれた鍵がある。

すぐ側にあるのに、魔の花が放つ毒で迂闊に近付けない!

くそ〜〜〜!!帰りたいのに、なんでそっちにいるのだ!ていうか、鍵のくせに移動するな!!



「ラヴィさん、私に魔法を掛けて下さい。一人でそっちへ行きます!」

「アホか!一人で死にに行こうとするな!!」

「だってラヴィさんをこれ以上巻き込めないでしょう!」

「子供が一人でなんとかしようとするな!大人を頼れ!」



そんなことを言ったって、すでに色々お世話になってるのにこれ以上お世話になるのも気が引ける。そもそも鍵は自分の世界の神様のうっかりのせいなんですが。


私が言葉に詰まると、ラヴィさんは頭をガシガシとかいて、


「アイテムに、何か魔法を付け加える事は出来るのか?」

「え?」

「というか、そういった事は禁止事項になっているのか?」

「いえ、そんな事は一言も‥」

「なるほど。それなら可能かもしれないな」


そういうとラヴィさんは両手をスライムに向けると、ブツブツと何かを言い始める。



『原初の神の万物に、祝福の魔女から力を授ける。その体よ更に巨大になれ!』



手から白い光が発光するように光って、ラヴィさんの瞳が緑から青に変わっていく。私はその光景に目を見開くと、空の上から光が矢のようにスライムに落ちた。



「光が‥!!」



スライムは一瞬、びくんと体を跳ねさせたかと思うと、体が馬のような大きさからどんどん広がって学校のプールくらいの大きさに変わった。


「大きくなった!!」

「魔の花を吸収する度に更に大きくなる」

「そんな魔法があるんですか?」

「俺しかできない」


ちょっと自信満々に話すラヴィさんの瞳はもう緑に戻っている。

一瞬青かったけれど、あれは気のせいだった?

ともかくラヴィさんの言った通り、魔の花を取り込むほどにスライムの体は大きくなっていき、ふわふわと浮かぶ金色の鍵の方へどんどん近付いていく。



「よし、行くぞ!」

「は、はい!!」



馬に声を掛けたラヴィさんと一緒に浮かんでいる鍵の方へ走っていく。

スライムが金色の浮かんでいる鍵へ迫っていくのを見て、これで帰れる!と、思っていると、



パッと鍵が跡形もなく消えた。



「「え!??」」



私とラヴィさんの声が重なって、何もなくなった空間に呆然とする。



鍵が消えた‥。

消えた!???



「‥‥なるほど、飛んで移動するのかと思ったら、転移までするのか」



ラヴィさんがしみじみと話したけど、転移って何!?

なんで転移するの!??鍵でしょ?そこにいろよ!!!私はわなわなと体を震わせ、


「意味がわからない!!なんで転移?!今やGPSだって付いてる時代なのに!!」

「ジーピーエス?あとで意味を教えてくれ」

「ううう!!!!鍵、鍵がぁああああ!!!」

「まぁまぁ、とりあえず姿は覚えたから、今度はもう少し早く見つけられると思うぞ」


ラヴィさんが私を宥めてくれたけれど、私はがっくりと項垂れた。



すると鍵がいなくなったからか、魔の花が急に萎れ始めた。



「え、魔の花が‥」

「本来ここは清浄な土地だから咲く事はないんだ。それが突然咲き出した。だから異常事態だったんだ」

「そうだったんですね‥」



スライムも魔の花が急に減ったからか、段々と小さくなっていく。

その光景に驚いていると、ラヴィさんが「貴重なスライムが!!」と悲鳴を上げた。そこ驚くんだ‥。


急いでスライムの方へ駆け寄って、ラヴィさんが馬から降りた頃には当初の小さなスライムになっていて‥、手の平に乗せたラヴィさんが、悲壮な顔で私を見上げた。


「まだ、まだ、生かしてやってくれ‥」

「生殺与奪権を私に委ねないで下さい‥」

『まだ、食べたい‥』

「スライムにまで訴えられた‥」


どこか遠くを見つめた私達の元へ、一部始終を見ていた他の魔法使いや騎士さん達が駆け寄ってお礼を言ってくれたけど、ラヴィさんは手の平のスライムのお陰だと皆に話し、スライムはなんだか誇らしげだしラヴィさんも誇らしげだった。‥何もかもおかしいな?



とにかく魔の花は綺麗に食べられ、他は萎れたので大丈夫だろうと判断してラヴィさんの家に戻った。



ちなみに『まだ、食べたい』とご不満そうなスライムは汚い藻だらけのお風呂場へ連れていき、たんまり食べろと話すと、風呂場の藻やらカビを綺麗に食べ尽くすと満足そうに微笑み(?)鍵のように跡形も無く消え、ラヴィさんは慟哭を上げた。



「可愛い俺のスライムーーー!!!!!」

「誰のスライムですか、誰の」



と、いうツッコミもついでに入れておいた。




私は机の中に入れてドロドロに溶かしてカビさせた女‥。

(横でラヴィさんに冷たい目で見られている気がする)

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