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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第二章 王都への旅路

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山賊(急転)

 馬車は峠道をガタゴト進む。この辺りまで来ると植生も少し変わり、林の中の見通しも良くなってくる。

 街道は大体4m程あり、馬車がすれ違えるようになっている。しかし、この峠道は所々狭い場所もあり、道の真ん中に落石と思える石や岩が転がっている事もある。轍の上は前を行く馬車の誰かが掃除してくれているのか、邪魔なものは無くなっているのだが。

 左側は崖、右側は山の急斜面、目の前に遅い馬車。

「なんだか前の馬車、遅いですね」

 隣を歩くスティーブに声をかけてみた。

「そうだな」

 前の馬車は、あの面倒な冒険者達がいる馬車だ。荷物満載で重そうに見えるのに、平地ではスイスイ進む馬車。今は見た目通りに重そうに進んでいる。態度の悪い護衛の冒険者達も真面目に馬車を押しているように見えるのだが、時折笑い声も聞こえる。


 遅い馬車の前の間隔は大分開き、ついにはその前の馬車が見えなくなると、うちらの後ろの馬車の冒険者達からクレームが入った。

「おい! もっと早く行けよ!」

「おせーぞ!」

「なんだと!」

 そのクレームに敏感に反応する柄の悪い冒険者達。馬車を押すのを辞めてしまうものだから、馬車は停止するしか無い。ますます遅れていく。

 そこに仕方なくアーサーが間に入った。

「まあまあ、落ち着いて。遅いのは仕方が無いので、僕達を先に行かせてくれないかな?」

「なんだと!俺達を置いて先に行くって事か!」

 面倒くさい連中だなぁと思いながらも、馬車の後ろからそのやりとりを傍観していた。

「では、馬車を押すのを手伝おう。それでいいか?」

「えっ!?」

「ああ」

「まぁ」

 アーサーの申し出に、少しおかしな反応を見せる柄の悪い冒険者達。

 その申し出を待っていたんじゃ無いのか?

「では・・・、モーガン頼めるか?」

「ああ」


 モーガンが押し始めると、馬車はスイスイと進み始めた。

 自分は馬車の真後ろからモーガンが居た位置にスライドし、馬車を押している。右後ろなので前の馬車も半分見える。

 (しばらく)くするとモーガンが馬車を押しながら後ろを向き、アーサーに話しかけた。

「なんか、この馬車軽いぞ」

 そのとき、柄の悪い冒険者達が目配せをしたように見えた。

「モーガン!」

 ルイスの警告は間に合わず、モーガンは太ももをナイフで刺されていた。

 ガツッ。

 ナイフを突き立て飛び退こうとした柄の悪い冒険者の頭をそれより早くモーガンの裏拳が捉えた。

 吹き飛ぶ冒険者。

 しかし、それに合わせて反対側の冒険者がナイフでモーガンの首筋を狙う。

 そこにルイスが投げた剣が間に合った。ナイフを持ち、伸ばされた手に刺さる剣。

 次の瞬間にはアーサーの剣が振り下ろされ、右手首もろともナイフが宙を舞った。

「ギャア!!!」

 悲鳴を上げた冒険者の首をアーサーは躊躇(ちゅうちょ)無く切り飛ばす。

「チッ!」

 馬車の前方に居た冒険者は盛大に舌打ちし、馬と馬車を剣で乱暴に切り離すと、坂の上から馬車を転がり落とそうとしてきた。

 それを馬車の前に回り込もうとしていたアーサーとルイスが押しとどめる。

 しかし、奴らの目的は違っていた。

 ルイスを軽く牽制(けんせい)し、馬車から手を離した隙を狙って馬車を山側に横倒しにする。

 その前には、既に馬車の積み荷から煙が上がっていたのだが、それが横倒しになると爆発的に燃え上がった。

「うわっ!」

 飛び退るアーサーとルイス。

 自分は、スティーブと共にモーガンの元に駆けつけていた。

 剣を抜き放ち、逃げていく2人の冒険者と、1人の商人。

「そっちは任せた」

 しかし、逃げた冒険者を追うため、燃える馬車の横をすり抜けようとしたアーサーの前の地面に矢が突き立った。

 またしても飛び退り上を見上げるアーサー。

「リュー、頼めるか!?」

 急に声をかけられたのだが何が何だか分からない。

 ちょうどモーガンの様子を診ようとしていたところなので。

「山の上の方にアーチャーが居る!」

 そして、また駆けだした。

 その後ろを付いていくルイス。

 頼めるかと言われても、距離があるので矢の当たり所が悪ければ相手は死ぬだろう。

 先ほどアーサーは冒険者の首をはねている。その首の無い死体が(かたわ)らに転がっていた。首はどこかに転がっていったはずだが、確認したくは無い。

「殺しちゃってもいいの!?」

「相手は山賊だ!躊躇(ためら)わずにヤレ!!!」

 そう言い残して駆けていく。

『ヤレ』って事は『殺れ』って事だよな。こんな言葉遣いのアーサーは珍しい。

 アーサー達には、また数本の矢が降り注いでいた。時間は無い。

 視線を前方の山肌に向けてみるが、すぐに山賊は見つからない。

 モーガンの事はスティーブに任せて背中の弓と矢を取る。流れるような動作と当時に索敵魔法、風のエンチャントとホーミングを発動。

 索敵魔法にかかったのは3人。まず弓を持った山賊を狙い放つ。アーサー達を狙っていた山賊の1人に矢が吸い込まれるのが見えた。何処に当たったのかは分からない。しかし、倒れたようだ。

 ガガン! ドゴッ! ゴロゴロ!

 音のした方を見ると、アーサー達の前に大量の落石があり、またしても足止めを食らっていた。

 見つけた3人の内一人が、板でせき止めてあった石の山を次々と落としている。

 2射目はこいつにした。全く警戒していなかったようで、見事命中。新たな落石は無くなる。

「リュー! 逃げた奴らをヤレるか!!!」

 一度立ち止まっていたが、未だ落ち着ききらない落石の中を走りながら叫ぶアーサー。

 逃げた奴らに視線を向けると曲がり角の先に消えようとしていた。

「一人だけなら!!!」

 こちらも落石の音に負けず、アーサーに聞こえるように声を張る。

 燃え盛る馬車を避け、崖側に移動してから第3射。それは太もも辺りに刺さったらしく、倒れるのが見えた。

 逃げていた残り2人は見えなくなった。アーサー達はその後を追う。その間にもルイスは矢を剣で器用に払い落としていた。

 索敵魔法で発見した最後の1人は、まだ矢を放っている。そこに第4射。しかし、それは当たる直前、手前にあった枝に運悪く突き刺さった。

 山賊はこちらを認識し、互いに狙い合う。いやなシチュエーションだ。早く放ちたいという気持ちを抑え、きっちりと風のエンチャントとホーミングを発動した後に第5射。

 互いの矢が空中で当たるなんて燃えるような展開にはならない。なにせ矢の軌道が違うから。

 同時に放たれた矢は、こちらの方が先に命中する。

 しかし、相手の矢の軌道が悪い。自分には当たらないが、スティーブとモーガンの方に飛んでいく。

 腕が悪すぎだろうと、内心頭にきていたが、矢の到達まで時間は十分にあるので、しっかり平常心を心掛けながら防御魔法を発動する。

 どこかに跳ねてしまっても不味いので、形は平面、山側に傾けて斜めに配置する。

 キン!

 矢は想定通りに弾かれ、道脇の斜面に突き刺さった。

 このとき時間があると思ったのは、無意識に思考加速の身体強化魔法が発動していたらしい。ありがたい事だ。


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