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気ままに生きたい異世界転生 ~元おっさんエルフ、チートは無いはずなのに目立ち過ぎて困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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SS:ガルフ

Side story

 俺はガルフ。

 マデリンで活動する冒険者だが、その腕を買われてアルバイトもしている。

 ぶっちゃけるとそのアルバイトの方が本業より収入が良い。

 こうなるとどっちが本業か分からなくなってくるな。


 最近は専(もっぱ)ら、とある人物を尾行していた。こいつはやたらと勘が良いので近づけないんだが、遠くからでも視認性は抜群なので全く問題が無い。

 そして奇行が目立つ。


 この前は、スラムの子供達と仲良くなって歩いていた。そこに絡んできたチンピラを追い返す。

 それはいいんだが、ついこの前まで、人さらいにさらわれそうになってピーピー喚いていた女とは思えん。

 それにそんな中途半端な追い払い方では、恨みを買うだけだろう。


 その夜、チンピラを尾行すると案の定、仲間を集めて仕返しの相談をしていた。

 仕返しと言っても子供の喧嘩じゃない。ゲスな男共が女相手に企むことだ、その内容は察しがつくだろう。俺の雇い主によるとこの時点でアウトの基準に達するらしい。

 事後報告で構わないと言われているのでさっさと害虫駆除する。

 後は報告すれば、お掃除は別の人間がいるらしく、次の日には綺麗さっぱり何も残っていない。

 これで何人目だったかな。


 その後、猿・巨人の討伐では共闘した。

 近くで戦いを見たが、すっかり冒険者らしい顔つきになっていた。

 あの獲物を狙う目が痺れるねぇ。


 最後、巨人の投げた土砂に突っ込んで活路を開いたのは俺なんだが、全く気が付いていないようだったな。

 槍を構えて、俺に向かって突っ込んでくる神々しい姿は最高だった。

 特等席で伝説の一幕を鑑賞したようなものだ。


 だが……、彼女は王都に旅立ってしまった。

 残念だ。近くでもっと見ていたかったのに。



 そんな俺は今、巨人との戦いの跡地にいる。

 その広場の中央に立つ白い巨大な骨。これは巨人の肋骨の1つだ。

 その表面には、以下のような文面が刻まれている。

 ―――

 聖歴四〇一年五月二〇日、サイクロプス 強化種 討伐。

 尊き命を投げ打ち、討伐成功に多大なる貢献をした者の名をここに記す。

 ・勇敢なる戦士:ブライアント

 ・友の盾となり命を救った:ネイサン

 ・明るく振る舞い皆に勇気を与えた:アシュレ(お調子者)

 ―――

 誰だか知らないが、括弧を付け足したヤツがいるな。明らかに字体が違う。


 こんな場所にあるから、誰も見る者がいないと思ったのかもしれないが、残念ながらサイクロプスの骨は全身骨格標本として売却されることが決まった。だから今その回収作業中だ。

 どうするんだろうなこれ。

 削り取らない限りこの碑文(ひぶん)は消えないぞ。


「くそっ、でかい石がゴロゴロしていて根元がしっかり固められていやがる! こりゃ簡単には抜けねーぞ!」

「おいっ、ガルフ! サボってんじゃねー!」

「はいはい」

 考え事をしていたら怒られちまった。


 この肋骨は、その、とある人物が購入したものだ。

 何に使うのかと思っていたが、こういうことだったとは。

 頭がいかれてるという専らの評判だったが、確かに、こんなことに私財を使う冒険者はいない。ここに記されている名前も、全く知らない他人だったはずだ。

 エルフの文化なのかね。


 ちなみに、この作業は盗みではなくギルドからの正式な依頼だ。

 代わりに同じ碑文を刻んだ石碑を建てて帰らなくてはならない。

 その石材はギルドの大容量マジックバッグに詰め込んで持ってきてある。

 とはいえ、とんでもなく重かった。

 今日は泊まりだとして、明日で作業が終わるのか?

 肋骨は1m掘ったのにまだ抜ける気配がない。


 俺も冒険者だ、仲間の死はこれが初めてというわけじゃない。

 しかし、何度経験しても慣れるものではないな。

 俺も今日明日、突然に野垂(のた)れ死(じ)ぬかもしれない。


 なあアシュレ、お前は幸せだったのか?

 仮にもお前はここに名を刻むことになった。

 人知れず帰ってこなくなった奴らとは違って。


 俺は、生きた証を残したいのか?

 まさか死んでしまった仲間に嫉妬している?

 自分の事なのに、よく分からない。


「おいっ、ガルフ! 何処見てやがる、いいかげんにしろ!」

「すまねぇ。ちょっと小便」

 いや、俺はまだそんなことを考えるような歳じゃなかったな。

 あいつの分まで、生き抜いてやるとするか。


 用を足していると、広場の外れにある茂みからガサガサと音がした。

「おいっ! 南の茂みになんかいるぞ!」

「ちっ、くそっ! 忙しいな」

「この依頼、割に合わねーぞ!」

「ギルバートの野郎! 帰りはバッグに何を詰めてきても構わないとか、上手いこと言って乗せやがって!」

 仲間達が、穴から飛び出してくる。

 俺も剣を握ったが、股間がじんわり温かい。

 しまうのを急ぎ過ぎた。

 歳を取るとキレが悪くなるんだよなぁ……。

 ああ最悪だよ。


 男達の怒号と、魔物の咆哮が入り交じり、山間に響き渡った。


第一章 完です。

つたない文章で申し訳ないのですが、

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


また、評価していただき、ありがとうございました。

モチベーションになりました。

これからも応援していただけると幸いです。


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