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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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依頼料がインフレしすぎ

 

 ―――話は、リューが出て行った会議室に(さかのぼ)


「なんだあいつは。血が出たくらいどうって事無いだろうが」

「まあまあ、冒険者になって一ヶ月も経たない初心者と自分を比べてはいけませんよ」

 未だにオズワルドは納得いかないようなので、ヘクターが宥めていた。

「初心者じゃないだろ。絶対に何かやっている」

「その前は、狩人をやっていたらしいですよ」

「なら同じじゃねーか」

「違いますよ。狩人が(ねら)うのは動物です。魔物じゃありません。動物はめったに襲ってこないですからね。狩る側から狩られる側に変わったからびっくりしたんじゃないですか?」

「それにしたって、サルが投げる石ころだろ。簡単に避けられるだろ」

「何言っているんですか、ロックレインモンキーにはBランクも含めて3パーティも全滅しているんですよ。たまたま逃げ帰れたから縄張り一帯を立ち入り禁止にできたんです。ちゃんと資料を読んで下さい。せっかく用意したんですから」

 ヘクターがテーブル上の資料をトントンと指でたたく。

「にしてもこいつら見ろ。暁は全員ピンピンしているじゃねーか」

 ここで、アーサーが口を開く。

「それは、リューさんが集中攻撃を受けていたからです。うちらは、それを必死に守って逃げてきただけなので。体を張って庇ったりしたので、多少怪我もありましたが」

「・・・そういう事かよ」

「あと、魔物に襲われて怖くなったから、街に出てきたと言っていました。付けてた胸当て。あれ、元はお腹の方まで覆っていたらしいですよ」

 アーサーの話を聞いて、オズワルドは考え込む。

 そこに、いつの間にか帰ってきていたギルバートが話しに加わった。

「そういえば、初めて登録に来たとき、鎧も鎧下ごと何かに食いちぎられたようにボロボロでへそ出してましたよ」

「おっ、ギルバート。どうだった?」

「Aランクは望み薄ですね。聞き込みもしましたが、こっちに来ると言っていたパーティは無いそうです」

「ちっ、しょうがない。商隊が到着するのを待って、集まったメンバーを見てから作戦を練るか。いったん解散」


 ―――話は、再集合した会議室に戻る


「よく来たな」

 オズワルドの第一声。

「・・・」

 返事に困った。どういう意味だ。

「まずは、話を聞いてくれ」

 会議室には、昼に集まったメンバーがいた。みんながこちらを見ている。

「どうぞ」

「作戦はこうだ。まず遠距離攻撃持ちを一人と盾持ち数人のグループを10個作る。そのうち8つはサルを囲うように配置。2つは、サルの石が届かない距離に配置する」

 オズワルドは、テーブル上に駒を置きながら説明を続ける。

「2つの長遠距離攻撃グループは、常にサルを狙撃。木に隠れるようなら、周りに配置したグループからそれを攻撃する。その長遠距離攻撃グループの一つをおまえさんにお願いしたい」

 オズワルドは、こっちを見た。

「他に、人は居なかったんですか?」

「いたさ。もう一人の長遠距離攻撃担当は、引退したじいさん魔法使いだ。腕はいいが、数が打てない」

「私も、矢は20本も無いですよ」

「特注の矢は準備できないが、普通の矢なら100本でも200本でも用意する」

「それに、あいつらの石が届かないほど遠くからとなると、100発100中とは行かないですよ」

「ふっ、攻撃が届くだけでも十分なんだよ。サルが隠れてくれるだけでもな。後は、こっちに任せてくれていい」

「・・・」

 反論材料を探して考え込んでしまった。

「護衛には、暁を付ける。どうだ。引き受けてくれないか」

 遠距離からの狙撃ね。そこまで配慮してくれるならまあいいか。

「わかりました。でも調査はいやですよ」

「よし、やってくれるか」

「でもっ、高いですよ!」

 大事なことを忘れるところだった。

「いくらほしいんだ」

 さて、どのくらいが相場なのか分からない。先週は、魔力草採集と大会で10000Cr以上の収入があった。それに危険手当もプラスしてと。

「2万」

 オズワルドが目をむいた。高すぎたのかもしれない。

「分かった。3万出そう。これで文句ないな」

「え!?」

 今度は、こっちが驚く番だった。一日で金貨300枚。300万円だと!?

「その代わり、今後も魔力草採集をすること。いいな。Dランクの相場は100Crだという事を踏まえて、これは他には言うなよ」

 コクコクと頷くことしかできなかった。

 後でアーサーに聞いたことだが、Aランク冒険者一日当たりの相場が3000Crくらいで、フォレストワースからの移動で2日、往復4日、討伐1日で、15000Cr。そこにイヤイヤながらも引き受けてくれた感謝の分などが乗っているのではないかという話だった。一人だけ呼ぶわけにも行かないから、Aランクパーティ全体だとかなりの依頼料となるらしい。

「調査依頼も行ってくれるなら、10万出すが?」

 その後、オズワルドはさらにぶっ飛んだ金額を提示してきたが、そこは固持した。あのサルが逃げ出すレベルの魔物がいるに決まっている。そんな死地には、お金を積まれても行きたくない。

 神様にチートを貰っていたら、木を駆け上ってサルを切り伏せたり、魔法一発で森ごと吹き飛ばしたりできたのだろうか。


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