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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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ゴブリン共同討伐(2)

 浅瀬に到着したころにはジーク達の息も整っていた。

「戦いに関してだけど、お姉さんから提案していいかな」

「ああ」

「うん」

 返事をするエディとジーク。

「ゴブリンが多いようなので、視界が悪いところでの戦闘は避けようと思う。なので、ゴブリンをこの河原におびき寄せます」

「どうやって?」

 エディが聞いてくる。

「方法は、お姉さんに任せて。それから、君たち突然連携して戦うのも無理だと思うから、右側にシルバーウルフ、左側にアイアンイーグルという陣形でいきます。エディ達は、何匹まで同時に相手できる?」

「んー、3匹かな」

「では、そのくらいになるように、ゴブリンが川を渡ってくる間に弓で間引くから」

「わかった」

 エディの了解を取ったので、次はジークの方を向く。

「こんな感じでどうかな」

「うん。いいと思う」


「ではいきます」

 索敵魔法を使う。

 川を越えて向こう岸へ。

 魔力を絞って索敵するようにしていたら、高低差がずれると探知できなくなることが分かってきた。それだけ絞れているんだろうけど。これ意味あるのだろうかと不安になってきた。この程度でも結局、相手にも気付かれてしまう事に変わりが無いから。

 今は少しずつ索敵距離を伸ばしている。すると川から100mほど入ったところにゴブリンを見つけた。やっぱり気付かれているのか、しばらく立ち止まった後にこっちに近づいてくるという動きを見せる。

 その後、ぽつぽつと索敵範囲内にゴブリンが入ってきた。なので、索敵範囲を少し広げてその周辺を探ってみる。すると10匹のゴブリンの群れだった。

「近くにゴブリン見つけたよ。10匹。ちょっと多いけど、大丈夫でしょ」

「すごい、索敵魔法?」

 エディが小声でジークに話しかけているのが聞こえてきた。

 しばらく誘導も兼ねて周辺を探ってみたが、付近に他の群れは居なさそう。

「そろそろ出てくるよ。みんな準備してねー」

 そう声をかけた数十秒後、対岸の崖上の茂みが揺れてゴブリンが現れた。

 ゴブリンは崖を降りてくる。間違いなく10匹。武器を確認すると一匹が弓を持っていた。出来の悪い弓のように見える。これなら川を越えてこちら側までは届かないかもしれないが、危険な奴はさっさと排除しよう。

 矢を(つが)える。ゴブリン相手なら安い汎用品の矢で十分。風のエンチャントとホーミングは無駄かもしれないが、時間的余裕もあり、魔力も問題無いし、練習にもなるので手は抜かない。みんなの前で外したら恥ずかしいから、という訳ではない。念のため。

 放った矢は、弓を持ったゴブリンの胸を貫いた。

「すげぇ、この距離で・・・」

 エディの独り言が聞こえてきた。

 なんか新鮮でいいなぁ。

 マリーの方を見ると既に矢を番えていた。

「マリーは、しっかり当てる自信のある距離まで待ってから放つこと」

「は、はい」

 ゴブリンの数が多いから少し緊張しているようだ。

 ゴブリンはすぐに川を渡ってくるかと思っていたのだが、手前で止まった。

 川の中では戦いたくないので、さらにもう一本矢を放つ。

 怒ったゴブリンは石を拾って投げ始めた。この石が意外にも川を越えて飛んでくる。

「みんな後ろに下がって!」

 河原の端まで下がると、さすがに届かないようで、落ち着いてもう一射。

 これで3匹仕留めた事になる。残りは7匹。

 すると、ついにゴブリンは川を渡り始めた。

 当然、矢を放った自分に向かってくる物だと思い少し後ろに下がる。そして、渡り終えるのを待っていると、7匹すべてがシルバーウルフの方へ近づいていった。

「ジーク。タイミングを見て後ろの3匹をこっちに引き寄せるよ」

「う、うん」

 偉そうに指示しているけれど自分にとっても初めての事なので自信があるわけではない。

「こっちに来なかったら、ゴブリンの後ろから襲う感じで」

「うん」

 一匹目、二匹目は、シルバーウルフの方へ、三匹目が自分に向かってきたのでアイアンイーグルの後ろに回り込んでジーク達に任せる。

 四匹目、五匹目とまたシルバーウルフの方へ向かっていったので、アイアンイーグルの更に左側から五匹目を射殺す。

 目の前で倒れた仲間を見て、六匹目、七匹目は見事に自分の方に方向転換したので、そのままアイアンイーグルの後ろに隠れる。

 振り分けは上手くいった。

 その後はみんな特に問題無くゴブリンを倒した。

 マリーも矢を当てられたようだし、ジョンも斧でゴブリンの頭をかち割っていた。おかげで返り血を盛大に浴びていたようだが。ジークもアレンも危なげなく対処して、トムだけやることが無かったほどだ。

 シルバーウルフも毎日ゴブリンの相手をしているだけに、一人欠けたくらいでは連携も乱れず慣れた動きで3匹を倒していた。


 素材も手に入ったし、ゴブリン鍋を造ろうかと準備をしているとエディが話しかけてきた。

「あの・・・、もう終わり?」

「そのつもりだけど」

「できれば、もう少しだけ、倒したい」

「ジーク、どうしようか・・・って聞くだけ無駄か」

 ジークはキラキラした目でこっちを見ていた。

「じゃ、もう一回だけやってみようか。近くに居なかったら終わりという事で」

「ああ、それでいい」

「ジーク。向こう岸のゴブリンお願い。死体は全部投げ込んでいいから。あと、矢尻も忘れずに」

「おーけー。じゃ行ってくる。ジョン手伝ってくれ」

 向こう岸には、3匹の死体が転がっている。魔石と討伐証明部位を切り取ってきてもらうのにナイフを手渡した。


 処理の終わったゴブリンを淀みに放り込む。

「埋めなくていいのかよ」

 エディはしかめっ面だ。まじめなようだね。

「見てろって」

 アレンが得意げに言う。

 ザバー!!!

 水面が盛り上がり、浮いていたゴブリンの姿が消える。

「な、な、な、な、なんだよアレ!!!」

 エディは尻もちをついて驚いていた。

「俺たちのペット。かわいいだろ。良く食うんだぜ」

 アレンはエディをからかっている。

 そして、ゴブリン鍋用の2匹を除いて全て淀みに放り込まれたが、巨大魚は今日も食欲旺盛でゴブリン8匹全てを飲み込んだ。

「・・・」

 シルバーウルフの面々は口を半分開けたまま水面を遠くから眺めていただけだったので、彼らが倒した分もアレンとトムが投げ込んだ。

 アレンは普通ならここまで自発的に動いたりしないのに、よっぽど楽しかったようだ。


 その後、索敵魔法を使用すると範囲ギリギリで7匹の集団を発見。これも川まで誘導して討伐した。今回は特に何もしないで見ていられた。川向こうのゴブリンをみんなで挑発して、渡ってきたところをチーム単位で押したり引いたりしながら討伐する。そんなに明確に分断しなくても危なげなく各個撃破していった。

 今回、一番成長したのはジョンだろうか。斧を頭の上に構えた状態で敵の攻撃を盾ではじくように受け流し、そのまま斧を振り下ろしてザックリとやってしまうパターンがはまったようだ。例え手で防がれて一撃で仕留められなかったとしても、隣にいるジークかアレンがすかさず致命傷を与えるので全く危なげが無い。トムも棒の先にくくりつけたナイフで上手く牽制して前衛が囲まれないようにしていたし、マリーの弓も致命傷は与えられなかったにしても、ちゃんと当たるようになっていた。


 シルバーウルフは、その後帰っていった。

 自分たちは解体した2匹のゴブリンの内臓を餌に魚を補充してから帰路に就く。でも魚はあまり捕れなかった。

 魚を捕る前に、巨大魚に7匹のゴブリンを献上したのだが、食べに来なかったので全て糞魚が平らげていた。そんな事だから、網の近くに現れる魚が少なくなってしまったようだ。


 街の近くに戻ってから河原でゴブリンを煮込む。使うのは売れない薪。魚も開いて天日干し。交代しながら家に帰って着替えたり、おいていったゴブリン鍋を持ってきて間食したり。日暮れまで切り株抜きをした。アレン、トム、マリーも少し真面目に取り組むようになっていた。多分、成長したジョンを見て触発されたのだろう。いい傾向だ。


 仕事終わりに冒険者ギルドに顔を出す。ゴブリンの討伐報酬はマリーに任せて、自分は荷車を返却する。

「なんだこの斧、少し臭うような・・・」

 トーマスが斧を持って独り言を言っている。これは、ジョンがゴブリンの頭をかち割っていた斧だ。綺麗に洗ったつもりだったが。

「気のせいじゃないかなー。じゃ」

「ちょっと待て」

 立ち去ろうと思ったら普通に肩をつかまれた。

「きゃー。男性恐怖症なのにー」

「演技、下手すぎだっての・・・」

 ちっ、ばれたか。仕方が無いので振り向いてトーマスの手を払った。

「なに」

 ちょっと不機嫌なような言い方になってしまったが、わざとではない。

「これ、ゴブリンに使ったろ」

「凄い。正解」

 もう、開き直ってみた。

「これは、切り株を抜くために貸し出してんだよ」

「別にいいじゃん、ゴブリンに使ってはダメとは言われてないし。切り株抜いている途中に襲われたら使うしかないじゃない」

「あそこで襲われたのか!?」

「え、違うけど」

「・・・」

 トーマスが眉間を押さえて黙りこくる。

「どしたの?」

「ゴブリン狩りに行ったのか?」

「まぁ、そうね。そうだけど」

「最近、ゴブリンが増えているという話があって、明日辺り調査に入るから。結果が出るまではやめといた方がいい」

「ふーん」

「おめえさんは、ゴブリンの群れに襲われても逃げ切れそうだけどな。ガキ共は無理だろ」

「まぁ、確かに。じゃ、明日の魔力草取りも中止とか?」

「そんな話は聞いていない」

「それは残念」

 もう炭酸追加だけでも十分稼げるから行きたくないんだよね。

「で、話は戻るが、斧でゴブリン狩りするな」

「けちくさいなぁ」

「臭くなるし、痛むんだよ。メンテナンス費用も(ただ)じゃ無いんだ」

「そうか、それは仕方ない」

 ジョンが気に入っていたようなのだが、いつまでも木刀というわけにも行かないし、買うしかないよね。いくらするんだろ。マリー達に買えるかな?


 その後、忘れずにヒドラ革のシャツを取りに行ってきた。

 その夜は、みんなで森の木漏れ日亭で夕飯を食べた。

 マスターにこっそりと炭酸追加を頼まれ、お礼に一杯貰ったが、マリー達の視線が痛かったのでみんなにも奢る。15Crの出費となったが、ポピーナの泡エールを飲んだと思うことにしよう。それよりちょっと高いけど。


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