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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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ゴブリン共同討伐(1)

 昨日で指定された区画内は全て抜き終えたので、昨日のうちにサラに決めてもらった新しい区画で作業する。また朝早くから付き合わせたらかわいそうだからね。

 新しい区画は98本もあるけど、5日くらいで終わるかもしれない。というのも、ジークとジョンの力がついてきたようで作業効率が上がっている。二人は真面目だからね。黙々と穴を掘ったり、斧を振るったり、作業している。そんなに体を酷使しているとすぐにお腹が空くようで、朝昼晩の3食では足りず、10時くらいと3時くらいの休憩にもゴブリン鍋を食べている。

 自分は不思議とお腹は空かないんだよね。その二人より働いているのに。身体強化魔法を使っているからか、又は、種族特性だろうか。

 どんどん切り株がたまるので、自分は薪作りがメインになっている。卸先を探すのも面倒なので、前に薪を買った雑貨屋に持ち込んでいる。森の木漏れ日亭と同じ金額で全量引き取ってもらえることになった。売り物にならない薪は近所に配っている。労力に見合わない報酬だとは思うけど、筋トレだと思って心を無にする。まあ、斧を思いっきり叩き付け、木が割れて飛び散るのを見ていると、スカッとした気持ちになって意外に楽しいところもある。


 お昼を食べて少し休憩していた時、シルバーウルフのメンバーがとぼとぼと街道を歩いて帰ってきていた。それも3人。一人少ない。まさかお腹の傷が元で・・・なんて考えたくもないが、気になったので声をかけてみた。

「どうしたの?今日は3人?」

「あー、ビリーは今、フォレストワースに行ってて、明日帰ってくるんだ」

 エディが説明する。

「明日?何かあったの?確か怪我をしたのって、9日くらい前じゃ無かった?」

「それが、あっちに行く商隊がなかなか見つからなくて。俺たちだけだと危ないし。護衛を雇うのは高すぎるし。なんか、腕相撲大会の前にこっちに来て、終わってからあっちに行くヤツばっかなんだ」

「へー」

 平静を装って、相槌を打つ。

 まさかこんな所にそんな影響があったとは。たかが腕相撲大会なのに。

「俺たちは、行っても何もできないから、ビリーだけ行ったんだ。ずいぶん時間が経っちまったから、もう大丈夫なんだろうけど念のため。あいつの親もそうしろって」

「ふーん。それならよかった。ところでどうしたの?こんな時間に」

 いつものゴブリン退治なら、こんな時間に帰ってくるはずがない。

「あー、それが、ゴブリンが多くてさ。4匹よりおおいのばっかりで。危ないから、今日は諦めて帰ってきたんだ」

 そろそろゴブリン鍋も無くなりそうなので、ちょうどいいかもしれないと思い提案してみる。

「それじゃあ、みんなでゴブリン退治してみる?」

「「「「えっ!?」」」」

 エディ達だけでなく、近くで聞き耳を立てていたジーク達も驚く。

「シルバーウルフと、アイアンイーグルの合同。それならゴブリンが少し多くても大丈夫じゃないかな」

「俺たちはいいけど」

 とエディ。

「俺たちも」

 みんなの確認を取り終わったジークが、少し遅れて。

「じゃ、明日・・・」

 と言ってから気が付いた。明日は魔力草を取りに行く日だった。一週間が早すぎる。

「は無理だから、今から行こうか。いい?」

「・・・いいよ」

 一瞬、『今からかよ』と言いたそうな顔をしたエディだった。

「じゃ、先に行ってて。うちらはこれから急いで準備して追いかけるから」

 ジークの返事は待たなかった。ゴブリン退治好きだもんね。

「分かった」

 とエディ。

「じゃ急いで撤収。家に帰って着替えて来るよ!」

「オーケー」

 ジークはすぐにやる気満々で返事をしたが、他の連中は少し呆れている感じだった。


 急いで家に帰ると、みんな鎧を着るために3階に上がっていく。自分は汗だくのまま着替えるのは嫌なので、着替えと鎧一式を持って一階に降りシャワーを使う。

 ささっと済ませよう。頭は洗わない。パンツも穿き替える。しかし着替えていると何か忘れていることに気が付いた。ヒドラ革のシャツ。もうできているだろう、取りに行くのを忘れてた。とりあえず、それは帰ってきてからだな。

 脱いだ服を抱えて階段を上がっているとマリー達が下りてきた。

「あー!お姉さん一人だけずるい!」

 マリーはシャワーを浴びたことに気が付いたようだ。

「あー、そこはシャワーを買った人の特権という事で」

「急いでいたんじゃなかったの!」

「急いでいても、汗だくのまま着替えるのはちょっと」

「私も今から浴びる!」

「いいけど、急いでね」

「それをお姉さんが言いますか!」

 マリーはわきの下辺りをすり抜けて、ドタバタと階段を下りていった。

 2階の踊り場でこちらを見下ろしているジークと目が合った。お互いに肩をすくめてみせる。

 部屋に入る前、廊下でトムとすれ違う時、なぜか手元をガン見してくるので何かと思って視線の先を追うと・・・丸めた服からパンツがはみ出していた。これか。でも君たちのトランクスと同じ形だけど。色気も何も無いと思うんだが。


 荷車に寸胴鍋を乗せる。残っていたゴブリン鍋は土鍋に移して家に置いておく。網、まな板、塩等、いろいろ一式乗せる。スコップ、ツルハシ、斧等、ギルドから借りていたものを家の中に放り込んでいたら、ジョンが斧を手に持った。

「どうしたの?」

「これで戦ってみようかと思って」

「そうね。せっかくあるんだし。使っちゃおう」

 盾を使う距離なら斧も悪くないかも。

「お待たせしました」

 マリーの服は横にずれて首の位置が真ん中では無かった。急いで着たんだろう。それも汗に濡れた服を。マリー達は着替えを持っていないから。プレゼントしてあげたいけど高いんだよなぁ。マリーの服をちょいちょいと引っ張って直してあげる。

「これでよし」

「あ、ありがとうございます・・・」

 マリーは何か珍しいものを見たというような顔をしていた。

 自分でもそう思った。


 小走りで走ること数十分、シルバーウルフに追いついた。

 荷台の上では荷物が跳ねまくってとんでもない事になっていた。特に鍋の攻撃力が高く、打ち所の悪かったまな板は割れてしまっていた。残念。

「「「はぁはぁ」」」

 自分は軽く汗が(にじ)んだ程度だが、体力のないマリー達は息を切らして大汗をかいている。大きな盾と斧を持ったジョンは、かなりしんどそうに見える。

「みんな、まだまだトレーニングが足りていないようね」

「「「・・・」」」

 言い返す気力も無いようだ。

 ここに来るまで、索敵魔法の練習がてら川向こうのゴブリンを探っていたが、確かに以前より増えているような気がする。集団も5、6匹から10匹くらい。たとえ少ない集団を見つけて戦ったとしても、その間に周りから別の集団が寄ってきてしまう可能性は高そうだ。

 もうすぐ浅瀬付近に到着するが、この分だと浅瀬のすぐ近くにゴブリンの集団がいるかもしれない。

「お待たせー」

 エディ達に声をかける。

「走ってきたのかよ。夕暮れまでには時間有るのに」

「トレーニング。冒険者は体力が基本でしょ」

「そうなのか?」

「そうなの」

ここは強めに念を押しておく。

「ふーん。そうなんだ」

「10匹のゴブリンの集団に追いかけられたら、体力無いと追いつかれて死んじゃうよ」

「・・・。そうだね」

 なんか、ジーク達もそうだったけど、強くなりたいと思っているのに訓練しないのは何だろうか。

「強くなるために、トレーニングとかしないの?」

「え?ゴブリン倒せば強くなるじゃん」

 そっちかー!!!

 そりゃ、レベルが上がれば強くなるけど。ジーク達も、ろくな装備もなくゴブリン退治に行こうとしていたのはそれか。

 低レベルであるほど簡単に強くなれるけど・・・。ポーションがあるから怪我をあまり恐れないというのも問題だよなぁ。意識改革が必要か。でも、何が本当の正解なのかは分からない。これは今すぐじゃなくて、この世界での常識が分かってきたからでもいいかな。とりあえず、この子たちが死なずに成長してくれれば。


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