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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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新しい商売

 次の日、朝から焼き魚とゴブリン鍋を食べた。黒パンはやめたようだ。マリーもアレンもゴブリン鍋を食べていた。

 アレンとトムは二人で水汲みをしていた。切り株抜きの作業で汗だくになるので、みんな服を毎日洗濯する。水の消費量が多いのだ。というのも汗臭い場合は遠慮無く臭いと言っていたら、みんなこまめに洗濯するようになってくれた。石けんの消費量が増えたようだが、そのくらいは目をつぶる。決して安くは無いのだがマリー達に請求はしない。


 自分は要所でマリー達を手伝いながら主に売り物の薪を作る。勢いよく斧を振り下ろすと薪が盛大に飛び散り危ないので、大きな切り株を抜いた穴の中で薪を割った。身体強化魔法も使っているので勢いが半端ない。

 そして、腐ってスカスカになった部分や、細い根っこ、曲がった部分等を取り除き、比較的状態のいい薪を荷車に乗せていく。

「これちょっと売ってくるから、誰か手伝ってくれる?」

 マリーの他にも何人か手を上げたようだったが、マリーがにらみを効かせたようだ。

「はーい」

 マリーのご機嫌な返事だけが帰ってきた。

「・・・じゃ、後ろから押してね。薪が落ちないように押さえながら」

「はーい」


 荷車を押して森の木漏れ日亭に到着した。

「ふむ。これか」

「どうですか?」

「まあ、切り株といっても悪くは無さそうだな」

「良さそうな物だけを選んできたので」

「で、安くしてくれるって?」

 薪は小売りで一束3Crだった。この荷車には、10束分ほど乗っている。そのままなら30Crだが。

「20Crほどでどうですか?」

「ふむ、そうだなぁ・・・」

 考えたか、やっぱり30Crよりはもっと安い値段で買っているのだろう。こっちの方が低品質だから、この値段だとそんなに安く感じないのだろう。低品質といっても見栄えだけと思うのだけど。

「では、15」

「よし、買った」

「まいどありー。また持ってきてもいいですか?」

「そうだな。じゃ、2日に1回頼もうか」

「ありがとうございます。ところで、今まで購入していたお店との付き合いとか、大丈夫ですかね」

「そんなことを心配するなら、売りに来るな。大丈夫だ」

「あはは、そうですね。ではでは」


 夕方、冒険者ギルドに荷車や道具を返しにいくと、トーマスに話しかけられた。

「昼間に薪を積んで荷車を押しているのを見かけたんだが。あの薪って切り株だよな」

 なんてことだ。見られていたとは。いや別に見られてもいいんだけど、荷車を別の事に使っているのを怒られたりするのかと思って身構えた。

「そうですけど」

「あれ、売っているのか?」

 やっぱり切り株持ってこいとか言われるのだろうか?

「そうですけど・・・」

「いや、そんなに警戒するなよ。別にそのことに関しては、うちのギルドからなにか言うことは無いけど。木こりギルドとか商業ギルドには話してあるのか?」

「えっ?」

「あー、やっぱりな。確か問題無いはずだが、一応、木こりギルドに話は通しておいた方がいいぞ。それと、新しい商売を始めたなら商業ギルドにも」

「えー、面倒くさっ」

「面倒くさがるな、森の中の暮らしとは違うんだからよ」

「ギルドねー。あっちもこっちも金の亡者共の巣窟だな」

「そう言うな。領主様によっては、いろいろな税金がかかっていたりするから、必ずギルドで確認したほうがいいぞ」

「そういう事か、税金か」

「そういう事だ。衛兵に捕まりたくは無いだろう」


 仕方が無いのでトーマスに場所を聞き、さっさと木こりギルドに顔を出す。

 入り口で説明するとしばらく待たされた後にギルド長の部屋に案内された。なんで?

 扉を開けるとバーナードが座っていた。ゲゲッ!?

 そういえば、『木こりギルドのトップ』って腕相撲大会の時にスティーブが紹介していたのを思い出した。いやがらせとかされてしまうパターンだろうか。嫌な予感に冷や汗が流れる。

「話は聞いた。切り株を薪にして売るのは、問題無い」

「あ、ありがとうございます」

 バーナードが落ち着いた語り口だったので、ほっとした。

「俺の方からも礼をしなくちゃな。あの依頼を受けてくれてありがとよ。大半のギルド員がフォレストワースに行っちまったんで、人手が足りなくてどうしようもねぇんだ」

「そうでしたか」

「それと、もう一つ」

「もう一つ?」

「俺のための腕相撲大会を提案してくれたそうじゃないか」

「・・・」

 別に、そういう意図で企画した大会じゃないんだけど、そこは何も言わないのが吉。

「リベンジしようと思ったんだがな、あんな冒険者連中相手じゃ予選すら通らなくてな。諦めていたところだった・・・」

「頑張ってくださいね」

「ああ、まかしとけ。カタギ相手なら負ける気はしねぇ。しっかり盛り上げてやるからよ」

 うーん。冒険者はカタギでは無いらしい。ま、剣とか持って歩いている人を見かけたら、普通に考えて近付きたくないね。

 その後も少し話をした。

 一昨日、アナベラさんが訪ねてきて、冒険者ギルドで初めてレベルを測定したそうだ。そのレベルは10。その時に次回大会の話を聞いたらしい。

 木こりギルドは、基本的に切り倒す木の地域や、本数の割り当てを管理していて、残った切り株はどうでもいいとのこと。

 最後に紙を渡された。それにはバーナードさんのサイン入りで、切り株を好きに抜き、それを販売しても構わない事が記されていた。そして、『特別ギルド員章』って書いてあるのは何でしょうか。勝手にギルド員にしないでほしいところだが、機嫌のいいバーナードさんが気を利かせてくれたようなので、何も言わずありがたく受け取っておくことにした。

 その後、アナベラさんのような美人で有能な秘書を自分のギルドでも雇うと熱く語っていたが、そんな事はどうでもいい。早く帰してくれ。仕事がつかえているんだ。


 その後の商業ギルドでも確認したが、自分はギルド員だったので店舗を持たない販売は特に問題無かった。薪も木を切り倒したときに木こりギルドが税金を払っているという扱いなのでそれも問題は無かった。やっと終わったよ。面倒な事が。ほんの小遣い稼ぎのつもりだったのに。


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