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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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誤解

 家に帰ってからまたシャワーを浴びる。

 そして、自室にこもってポーション作り。

 それが終わるとやっと一息付けた。

 ベッドに腰かけ、昼に買った鏡を手に取る。改めて自分の顔をよく観察してみた。

 シミ、しわ、ほくろも無し。日本人顔とはかけ離れているので、何歳に見えるかと言われても自分ではよく分からないが、40歳の顔じゃない。

 瞳は金色。瞳の色は濃いほうが良かったな。薄い色だと冷たい印象がある。

 整った顔立ちのおかげで、本当に人形に見えてくる。これが自分の顔だと思うと違和感しかない。両手でほっぺたをつまんだり、口角を上げたり下げたりしてみる。すると鏡の中の虚像も動くわけで、自分の顔であると認識するしかない。

 歯並びは・・・、整っている。舌を出してみる。鼻をなめることができない・・・、まぁ普通だな。耳は、エルフ耳だが・・・、こいつ動くぞ。ぴくぴく動かして遊んでみた。

 ひととおり顔を確認し終えたところで、おもむろに服を脱ぐ。

 胸は・・・ノーコメント。全身を確認したいが、手鏡では限界がある。姿鏡が欲しい。当初、筋張った手を見た時に細マッチョだと思ったけども、あばらや骨盤の浮き出し具合を見るとやせ過ぎだとおもう。魅力的な体とは言い難い。やはり健康的にウェイトアップするのがいいと思う。ふとももなんかを見ると特にそう思う。細すぎるせいで足を閉じても股間に隙間がありすぎる・・・。

 ふむ。まずは落ち着こう。

 これは今、自分の体だ。うん。

 右手には、やっと手に入れた鏡が握られている。

 薄い毛に隠された場所も確認しておいた方がいいだろう。

 そりゃ毎日排泄のたびに手で水洗いしているから、知っているよ。頭では。

 でも見なければ分からないこともある。ほら、色とかね。別に色を知っていたとしても、だからなんだという話なのだが・・・。

 今日は抜かりない。カギは間違いなく掛けてある。

 だいたいこんなとき、なぜか毎回マリーがやってくる。運の悪さは学習したよ。

 震える左手をあの場所まで動かし、人差し指と中指を使いVの字を造ろうとした。

 コンコン。

 予想していたのだが、ビクッと反応してしまった。

「お姉さん。ちょっといいですか?」

 ほらね。やっぱり来たよ。

 まずは落ち着け。

「ちょっと、」

 に続けて『待っててね』と言おうとしたのだが。

 バキッ!

 嫌な音がした。

 カラン、カラン、カラン・・・。

 金属片が転がる音が続く。

「あのー・・・」

 振り向くと、マリーと目が合った。

「「あっ」」

 二人とも固まっていた。

 ほんの一瞬だったが、ものすごく長い間だったように感じる。

 バタン!!!

「ごめんなさーい!!!」

 再起動したマリーは大きな音を立てて扉を閉め、そして叫んだ。

 ドバタバタバタ・・・。

 階段を駆け上がっていく音がする。

 このタイミングで鍵がこんな壊れ方するかね。

 ゲームだったら幸運値がマイナスに振り切れているんじゃないかと思う。

 いやー、どうしよう。

 次、顔を合わせづらいなんてもんじゃない・・・。

 どうしよう。

 ここまでぶっ飛んだ状況に陥ると頭がうまく回らない。

 あー、もう。

 なるようにしかならないだろう。

 カギの代わりに椅子を扉の前に置いて、そして・・・、寝た。


 コンコン。

 次の朝、ノックの音で目が覚めた。

「お姉さん・・・ちょっといいですか?」

 音量を抑えたマリーの声だ。

「ふあぁ・・・。はい、どうぞ」

 背伸びをした後に上半身を起こして布団を手繰り寄せる。

 ガタガタガタ、バタン!

「あっ・・・」

 昨日、扉の前に置いた椅子が大きな音を立てて倒れた。

 マリーはおそるおそる顔半分を出して倒れた椅子を確認した後で、扉をそれ以上開けずに狭い隙間から部屋に入ってきた。

「き、昨日はごめんなさい・・・」

 マリーは赤い顔で謝罪する。

 なんて声を掛けたらいいのか、しばらく考えていた。寝起きだし。

「ほんとうに、ごめんなさい」

 マリーは下を向いたまま視線を合わせない。

「あれは、仕方ないでしょ。タイミング悪く鍵が壊れてしまっただけだから」

 うん。この様子だと、何とかなりそう、かな?

「これからはちゃんと、返事を待ってから開けるようにします・・・」

「そうね・・・。そうして」

 確かに、そうしてくれていたなら、あの悲劇は起きなかったかもね。

「それと、あの・・・、あの・・・」

 マリーは何か言いたそうにして、もじもじしていた。

「なあに」

 先を促すと、マリーは意を決したのか、初めて目を合わせた。

「お手入れが終わったら、次、私にも貸してください」

 目をつぶり早口でそう言うと急いで出て行ってしまった。

 ん?

 お手入れ?

 ・・・。

 あーそう。

 そう来たか。

 そう誤解してくれたなら、そういう事にしておこう。本当にそう思ったのかどうかは分からないが。

 ふむ。

 なら、急いで毛抜きも買って置かないと。


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