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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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飴と鞭

 夕方になるとマリー達が森から帰ってきた。

 そして唖然としている。

「おかえり」

 そんなマリーに声をかける。

「あの、お姉さん。これ全部抜いたんですか?」

 そこには4つの切り株が転がっていた。

「こっちもこれで上がろうと思っていたところ。ちょっと待っててよ。一緒に帰ろうか。ジーク。トム。準備はいい?」

「「はーい」」

「ファイトー!」

「「いっぱぁつ!」」

 メキメキメキ。本日6本目の切り株が抜けた。

「何そのかけ声・・・」

 マリー達、薬草採集組は呆れていた。


 家に帰って夕食後、会議が開かれた。

 午前中5人で薬草採取した分が70Cr。

 午後3人で薬草採取した分が50Cr。3人でここまで稼げたのは頑張ったからと言うことなのだろう。

 しかし、午後3人での切り株抜きが60Cr。ふむ、勝った。とか子供みたいに思ってしまった。

「分かりました。みんなで切り株抜きします」

 マリーが折れた。そして、薬草採取組のジョンはともかくアレンの落ち込みようがひどい。

「でも、お姉さんが居なかったら、ここまで抜けないと思いますけど」

 マリーの懸念もごもっとも。

「そうかもね。なので、私が参加するときだけでもいいです」

 そう言うと、みんなあからさまにほっとしていた。まあでも、この後爆弾を落とすんだけどね。

「明日はまず、ゴブリン狩りに行きます」

「えっ、ゴブリン狩り!?」

「やりぃ」

「よーし、鎧を買ってからの初ゴブリンだ」

 君達、あんな目に遭ってもゴブリン討伐は好きなんだね。だがどうかな。

「ただ、鍋を買って持って行くので、みんなは河原で魚取りの準備して待っててね」

「よおっし、さっかなっ!さっかなっ!」

 ジーク達はよく分かっていないようだな。

 しかし、マリーは何かを察したらしい。急に真顔になった。

「糞魚の鍋ですか?まさか、お姉さん。またゴブリン鍋を作るとか言いませんよね」

 マリーが恐る恐る聞いてくる。

「マリー。なかなか鋭い。今度はもっと美味しく作るから大丈夫」

「えー、絶対にいやですよ!あれは食べ物じゃ無いです!」

「そうだそうだ!」

 マリーもアレンも猛抗議してきた。

「ねぇ、朝晩、串焼きだけじゃお腹すくでしょ」

 それを優しく諭す。

「そうだけど・・・」

「力仕事したら、今以上にお腹減るよ」

「・・・」

「別に串焼きは禁止とかしないから。鍋は、お腹が減って食べたい人だけが食べればいい」

「そういう事なら・・・」

 まあいいかという雰囲気になった。よし。

「それと、ゴブリンを食べてくれた人には、ポーションプレゼント」

「はあ?なにそれ。怪我もしていないのにポーション飲むなんておかしいでしょ。そんなことでは釣られないんだから」

 マリーはうちらがお昼にポーションを飲んだことを知らない。

 負荷をかけた筋肉は放っておいても回復するが、強制的にポーションで回復させてしまう。これぞ異世界流の迅速な体の鍛え方。ポーションは高いので普通の低レベル冒険者ではこんなお金のかかることはできないが、自作できるからこそできる手法だ。薬草も今日採集してきたし、これから毎日夜はポーション作りだ。

 まだ実験段階だが、昼にポーションを飲んだ感じでは三分の一でも十分な効果があったような気がする。今から飲むのはそれ以下だ。さてどうだろうか。

「今日は特別に、みんなにプレゼントします。はいはい、飲みたい人はコップ出して」

「えっ、やりい。飲んでみたかったんだ」

 アレンが調子のいいことを言う。ジョンも無口にコップを出す。ジークとトムは迷いが無い。コップを出していないのはマリーだけとなった。

「えっ!?みんな飲むの?まぁ、只なら飲んでもいいかな・・・」

 マリーも結局コップを出したので、自分の分も含めて1つのポーションを六等分にする。そして一口でのむ。結論からすると六分の一でも十分に効果はあるようで、筋肉痛からは解放された。

「あっ、あざが消えた。擦り傷も治ってる」

「口内炎が治った」

「割れてた爪が治ってる」

 アレンもジョンもマリーも何かしら実感したようだ。それにしても万能だね。すごいよ魔法薬って。

 ちなみに、森の中の探索と違い、切り株抜きは日陰の無い炎天下での作業となる。そのため結構日焼けする。しかし、それも魔法薬で治ってしまう。そして、種族の特性なのかあまり黒くならない。最高だ。日焼け止めを塗る必要が無い。いや、日焼け止めなんて見かけないけど高級店にはあるかも。しかし、歳を取った時にシミやしわの原因になるかもしれないからなるべくなら日焼けはしたくない。ある探検家の伝記を読んだ時に、顔の油は天然の日焼け止めだったとエスキモーから学んだと言っていた。なので自分も朝起きた時、顔は洗わない。決してものぐさではない。おっと、話を戻そう。

「それと、大ニュースがあります!」

「なんですか、もう。もったいぶって」

「なんと、うちに、シャワーがつきました」

「は?」

 どうやら意味が分からないようだね、マリー君。

「魔道具のシャワーです」

「えっ!?」

 分かったようだが半信半疑のようだね、マリー君。

「毎日、温かいお湯のシャワーで汗を流せます」

「えっえっえっ、いつのまに。本当ですか!!!!」

 いきなりテンションが振り切れそうになっているようだね、マリー君。

「午前中にね。もう設置済み」

 バタバタと足音を立てながら水場に飛んでいったマリーが叫び声を上げた。

「あ゛――――!!!本当に付いてる!」

 その後をついて行った男共も口々に歓声を上げた。

「まじで!?」

「うぉーすげー!」

「ちゃんとお湯が出るぞ」

 お隣さんにお邪魔したとき使わせてもらったから、使い方は分かっているようだ。

「あ、でもなんか勢い無くない?」

「文句があるなら使うな!」

 あ、マリーが怒っている。

 最後にゆっくりと水場に移動し説明する。

「お隣さんの高級品とは違うから、水の勢いは我慢してね。それと、今からお姉さんが最初に使いまーす」

 腕相撲協会の会議に遅れそうだけど、今日は汗だくになったので軽く流してから行きたい。


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