表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/115

みごとな連携

 次の日、チーム暁とともに魔力草を取りに行く。

 今回は特にトラブルもなく順調だった。

 帰りに索敵魔法でオークを探し、3体ほど仕留めた。その取り分が2000Cr。やはりオークは儲かる。フォレストウルフとは比べ物にならない。依頼の報酬で2000Cr。そして消耗品代として200Cr。今回は矢を一本しか放ってないのに太っ腹だ。一日で合計4200Cr。

 そして、冒険者ギルドで換金予定だったオークの魔石を2つ、売値の200Crで融通してもらう。お店で買うと2~3倍の値段になってしまうので。魔石はいろいろ使い道があるから少し持っておくと便利なのだ。例えば魔道具の動力源とか。

 丸一日、急ぎ足で山道を移動しなければならないのでかなりしんどかったが、躊躇(ちゅうちょ)せずに自作ポーションを飲んだので、今日は疲れているけれど明日の筋肉痛は無いはず。


 次の日、昼前からポピーナでエールに炭酸を追加している。

 魔法を使っているときは集中しなければならないので非常に疲れる。特に長時間というのは。1樽15分だとしても10樽だと150分だ。そんなぶっ続けはしんどいので休憩させて貰いながらやっている。だいたい今すぐ全部追加しても午後にはだいぶ炭酸が抜けてしまいそうな気がする。気密容器というわけじゃないし。

 先週は夕方から炭酸追加をさせられて時間もなかったので弱めに追加していたが、今週は強炭酸だ。なぜかって?それは自分が飲みたいから。


 今日は午後から予選会をやっている。参加者が一気に倍増したので。

 前回大会で一回戦を勝った人は予選免除となっている。

 自分は予選免除の8人。

 残りの8人を決めているが、商業ギルドが金儲けの機会を放置するはずもなく、毎試合賭け事をやっているので一試合に時間が掛かる。まあそれでも3時間以内には終わるだろうけど。予選を勝ち抜いた8人にはポーションが配られることになっている。多少の疲れはどうしようも無いが、なるべく予選を戦った不利益が無いようにとの配慮だ。

 そんな試合を、ソーセージを食べながらボーっとみていた。

 ここのソーセージはとても太い。直径が30~40mmくらいある。一本で十分に満足してしまう。おそらくオークの腸だろう。

 この街に家畜はほとんどいない。壁の外で育てたら魔物の餌にしかならないからだ。最近は川のこちら側ではほとんど見ないそうなので放牧も可能かもしれないが。

 街の北側には川沿いにある平地に細々と畑が広がっている。南側にも川沿いに平地があり牧草地帯。最近うちらがウサギを狩っている場所だ。切り株が大量に残っていて、その処理が終わったら畑になる予定らしい。その切り株の除去依頼が冒険者ギルドに貼られている。しかし、誰も受けない。安いから。低ランクの依頼を受けるのは力のない子供たちが多いが切り株の除去は重労働だ。それなら牧草狩りや薬草採集の方がよっぽど金になる。誰があの依頼を受けるんだろう。

 そんなことを考えながら泡エールをあおる。昼からお酒って最高だ。エールのアルコール度数は現代地球のビールより低い。だから水代わりに飲めるのだろうけど。しかし、全く酔わないかといえばそうでもない。

 お昼の食事は(まかな)いという事で無料になっていた。只酒だよ。最高だ。

 しかし、そんな幸せは長く続かない。

「リューさ~ん。次の樽、お願いしま~す」

 若い女性の店員から声をかけられてしまった。

 さて、仕事に戻るか。

 長時間の魔法行使は精神的にしんどいが鍛錬だと思って割り切ろう。


 空が夕焼けに染まる頃になると大通りを通る馬車も無くなり、そこにテーブルと椅子が並べられていく。そういう雑用はジーク達だ。今回も一日中、店の手伝いをしている。

 自分はといえば炭酸追加に疲れ果ててVIP席に突っ伏していた。まさか20樽もやらされる羽目になるとは思わなかった。テーブルには前回と同じメンバー、アーサー、モーガンと、予選敗退したサラが座っていた。

 今回の大会は噂を聞きつけて隣街のフォレストワースからトップランカーの冒険者が多く参加している。そして、尋常じゃないほどに飲み食いする。そんな盛り上がっているテーブルの脇を通ろうものなら、こんな貧相なお尻でも手を出してくる奴がいるのだ。そんな時は容赦なく鉄拳制裁をくらわしてやるのだが、それを見てみんな大笑いしている。殴られた奴も鼻から血を流しながら笑っている。そしてジュースのような気軽さでポーションを飲む。頭おかしいんじゃないだろうか。奴らはレベルも高いから殴ったこっちのこぶしも結構痛いんだよ。全く。

 それというのも絶対に服装が良くないと思う。今日はメラニアさんからスカートを手渡されていた。先週のパンツからスカートに、ボトムだけでも変更するという。同じ服で出るのは良くないという事で押し切られた。そういうものですと言われてしまうと返す言葉もない。新しい服なんて用意してないし。抵抗はあったが膝下まである長めのスカートだったので助かった。


 大会は前回と同じように、つつがなく進行していった。

 もちろん会長挨拶なんてしないよ。場違いだし。しなくても全く問題無いのでしない。しないったらしない。

 テーブル上にはメニューの書いてある板が置いてある。そこには少しお高い料理も書いてあった。どうやら、いよいよポピーナだけでは店が回らなくなったのか、近くの店と提携したらしい。

『オーク肉のポワレ 40Cr』

 オークの肉で4000円は高いが、今日は頑張ったご褒美ということで注文した。すると、しばらくしてポピーナではない制服を着た店員が料理を運んできた。この制服には見覚えがある。サラと一緒に行ったことがある中央広場にあるお高いレストランだ。

 お肉は150gも無さそうだったが、おいしそうなソースが掛けられていて野菜も添えられている。ポピーナでは絶対に出さない料理だ。既に切り分けられたお肉にフォークが添えられている。あそこのお店は確か金属のナイフとかも出していたはずだが、さすがに紛失を恐れたのかな。皿も陶器じゃなくポピーナでおなじみの木製だ。

 いい匂いにつられて、一口サイズに切り分けられたお肉を上品に口へ運んだ。

 うん。おいしい。肉も丁寧に筋が取り除かれていて柔らかく、オークの臭みが全くない。

「それ、とてもおいしそうですね」

 隣に座っていたアーサーが珍しく物欲しそうにしている。

「あ、あげませんよ。少ししかないんですから。自分で頼んでください」

 お皿を持ってアーサーから遠避ける。しかし、そこではたと気が付いた。昨日一日で4000Cr以上稼いでいるし、今日も炭酸追加でそれ以上の稼ぎだ。それなのにここで40Crの料理に固執するなんて、なんだか自分がとても狭量に思えてきて心がちくりと痛んだ。

 すると反対側から声がした。

「おっ、差し入れか?うまそうだな」

 振り返ると司会をやっているスティーブが肉をつまんで口に放り込むところだった。

「うわぁ、ちょっと!なにやってんの!それ差し入れじゃないし」

「そうか、じゃ、返すよ」

 スティーブは開けた口を閉じて、つまんだお肉をお皿に返そうとする。とてもいやらしい笑顔で。

「うわぁ、やめろ!もう、それあげるから」

 急いでお皿を引っ込めた。そんな指でつまんだ肉食えるか!

「サンキュー。お、これうまいな!」

 スティーブは指をしゃぶってから前を向く。ちょうど投票中の暇な時間だったようだ。司会の立ち位置もこのテーブルのすぐ近く。

 油断も隙も無いな。

 軽くため息をついてから皿を確認すると肉が減っている。

 まさかと思ってにらみを利かすと同じテーブルに座っているアーサーとモーガンは視線をそらした。口はモクモグと動かしている。そしてサラは困った顔をして固まっていた。

 アーサーにはさらりとかわされそうなのでモーガンに狙いを定めて凝視する。逃げる視線を追いかけるように顔を近づけると、面白いように視線が泳ぎ、顔は赤くなり汗が浮かんできた。口元からはかぐわしいソースの臭いがする。まさかおとなしいモーガンまで犯行に及ぶとは思わなかったが、その意外性により一瞬芽生えた殺意は氷解した。(あせ)るモーガンが面白かったので。

「・・・もういいよ。サラさんもどうぞ」

 テーブルの真ん中に皿を置く。

「あ、ありがとうございます」

 サラは自分のフォークでお肉を刺して口に運ぶ。

「んんっ!?おいしいです!」

 目を見開いた後の満面の笑顔。

 これからは自分もこういうバカ騒ぎに慣れて楽しめるようになっていきたい。

 自分も一口食べてエールを飲み干した。うん、最高。

「あはは。ごめんごめん。少しからかいすぎた」

 と、急に笑顔になるアーサー。

「いいですよ。もう、こんなところでパーティの連携技を見せなくてもいいのに」

「実を言うと、ルイスもつまんでたんだ」

 アーサーの指先を視線で追うと歩き去っていくルイスがいた。サムズアップしている。ルイスは確か警備を手伝ってくれているんだったかな。それでうろちょろしていたのか。

「い、いつの間に」

「で、お()びと言っては何だが、このお店の料理を一通り注文するからみんなで食べよう」

「え、私もいいんですか?」

 サラは目をキラキラ輝かせている。

 稼いでいる冒険者と違ってギルド職員の給料ではなかなか手が出せない値段の料理だ。

「もちろん」

「やった。では、私、注文してきますね」

 サラは席を立ち、急ぎ足で店員さんのところに向かう。待ちきれないようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ