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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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ちょっとした日常

 商業ギルドでの打合せ後、家に帰ってくると皆リビングでくつろいでいた。暖炉で魚を焼いている。せっかく干物(ひもの)にしたのに数日でなくなりそうな予感がする。

 男共は武器や防具の手入れをしながら、マリーは暖炉の前の特等席に陣取って私のソファーで踏ん反り返りながら、おしゃべりをしている。

「あ、お姉さんおかえり」

 頭をソファーの上に乗せ、後ろにいる私にそのまま上目遣いであいさつするマリー。行儀(ぎょうぎ)が悪い。まるでおっさんだ。

 お小言を言いたくなる気持ちをぐっとこらえて魔法で明かりを灯す。まだ太陽は沈んでいないが部屋の中は大分暗くなってきていた。暖炉の火があるのだが現代人としては家に帰ってきたら電気を付けたい。

「ただいま。みんなご飯はもう食べた?」

「お魚、食べてまーす」

 暖炉の中では串に刺さった魚が火にあぶられて、いい匂いを漂わせていた。

 マリーは串に刺した魚をひっくり返す。魚焼き当番だったらしい。

「じゃ、私も魚を食べようかな」

「・・・」

 なぜかみんなの動きが固まり無言になった。

「そう言うだろうと思って、お姉さんのために焼いておきました!」

 マリーのトーンが少し上ずっている。

「ありがとう。でも、体を拭いてゆっくりしてから食べるから。食べちゃっていいよ」

 きっと誰かが食べようとして焼いていたはずなので、それを取ってしまうのは気が引ける。

「えっ、えーと、これが最後の魚なので・・・」

 マリーが申し訳なさそうに言う。

 確か今日は18匹くらい干物にしたと思うのだが、一食で無くなるのか・・・。若者の食欲をなめていたようだ。暖炉には3匹の魚が焼かれている。誰が食べる予定だったのか分からないし聞くつもりもないが残っていて良かった。これから食べに出かけるのも面倒くさいしゴブリンだけで夕食というのはキツイものがある。

「じゃ、1匹残しておいてね」

 そう言って二階に上がる。話し合いの場にはいない方がいいだろう。


 最近はフィールドでは革鎧を、街中では新しい貰った服を着ている。中古の服は部屋着。体を拭いてさっぱりした後はその服に着替えた。スリッパをはきリビングへ。

 ゴブリン煮込みを一部解凍し皿に盛る。そこにいろいろなハーブを振りかけながら一口くらいずつ味見していった。まあ、慣れれば食えないこともない。その中で、一つ相性の良さそうなハーブを見つけた。香りが強めの草でこの辺りには良く生えている。心の中でこの草をゴブリン草と命名した。

 その後、藁クッションのところへ移動。マリーは半分開けてくれた。退いてはくれないらしい。まあいいけどね。

 残っていた魚の串焼きを手に取りクッションに腰を落とす。それほど大きなクッションではないのでマリーとは密着している。マリーも身だしなみを整えるようになってきたようで刺激臭はしない。よしよし。

 安心して魚にかぶりつく。少し焼きすぎなような感じだが、ゴブリンを食べた後だと、とてもおいしく感じられた。

 そういえばゴミ箱も無かった。魚の骨をどうしようかと考えて暖炉の中に放り込んだ。かじった身の中に入っていた小骨は小さいので投げにくい。もごもごと口を動かし舌先に乗せてペッと吹き飛ばす。こんなところでも無駄にホーミングの魔法を使って確実に炎の中に誘導する。

 これは子供の教育に悪そうだなと、ふと周りを見渡したらアレンと目が合った。

「器用ですね」

 アレンは苦笑いしている。

「魔法を使っているからね」

「えっ、そんな事にも?」

「こんな時にも魔法を使って訓練をしているのです。寝る前は魔力が減っても問題ないから、最高の訓練タイミングなのですよ」

 我ながら苦しい言い訳だな。

 その言葉に反応したのがジークとジョン。腕立て伏せや腹筋を始めた。

 まあ、アレンはどうやら察しているようだ。ジークやジョンを見て(あき)れてから、こちらを見て苦笑している。

「ところで、最近マリーの髪の毛にツヤがあるようなのですが、何かしてあげました?」

「ああ、これ?」

 マリーの髪の毛を撫でる。

 よく見たらマリーは寝ていた。「もう食べられません・・・」と、寝言を言ったような気がした。幸せそうな夢を見ているようでなにより。

「これは、ポーションを造った薬草の残りカスで、髪を洗ったの」

「へえ。薬草で頭を洗うとそうなるんですか」

「んー。普通に洗っても効果は薄いかな。薬草に魔力を補充しないと」

「それはどうすれば」

「錬金台が無ければ無理だから。銀貨一枚分くらいの薬草をすりつぶせば、同じくらいの効果は出るけど・・・」

「そうですか・・・」

 アレンは諦めたようだが、他人に頼らず自分で何とかしようとする姿勢は好感が持てる。

「使ってみたいならあげるよ」

 レイラにあげようと思ってとっておいた分がある。

「やった。お願いします」

 アレンは身だしなみにも気を使っているようだが服がなぁ。お世辞にも奇麗とはいいがたい。とはいえ、服の前にやっぱり防具だろう。今日はビリーとかいう男の子が腹に穴を開けていた。手足ならまだしもお腹はまずい。

 マリーを起こさないように立ち上がり、部屋からビーカーを持ってきた。ちょうど一回分くらい薬草のペーストが入っている。魔力も補充してきた。

「はいこれ」

「ありがとうございます」

「入れ物は返してね。それと壊さないように」

「はい。気を付けます」

「それと、使い方だけど・・・」

 使い方を説明する。

「じゃ、早速」

 アレンは水場に直行するようだ。

「桶に水を汲んできて。お湯にしてあげるから」

「あっ、ありがどうございます」


 アレンが席を立った後、ふと暖炉を見る。

 その前には、みんなの石が並んでいる。しかし、一つだけ暖炉の中に移動している石があった。むむっ。さっき魚を食べていた時は無かったはずだ。

「誰、これ。暖炉の中に入れたら熱くなりすぎて危ないって言ったでしょ」

 湯たんぽならお湯を使うから100度以上にはならないが、石だとどこまでも熱くなってしまう。

「ちょっとの時間なら大丈夫かなって。思って」

 ジョンが申し訳なさそうにしている。

「ダメ。火傷したり、火事を起こしたりするから。これでも危ないと思って袋をプレゼントしたのに」

「僕の石、少し大きくて。なかなかあったまらないから」

 そこに、ちょうどアレンが桶ではなくバケツを持って来た。

「ああ、ちょうどいい。そのバケツ貸して」

 薪で石を引きずり出してから、石の袋に手を突っ込み、手袋代わりにして持ち上げる。そしてバケツにドボン。お湯も作れて一石二鳥。

「ああー・・・」

 ジョンが情けない声を上げた。

 そのときパキッと嫌な音がした。

 石が割れている。

 これはまずい。

「ほら、このサイズならちょうど袋に入るようになったんじゃない。ねぇ」

 昨日、ジョンの石だけ大きくて袋に入らなかった。そして今日は新しい石を拾ってくるのを忘れていたからちょうどいいかと思ったが。

 ジョンは半泣きだった。

「あー・・・。ごめんね」

 素直に謝った。


 こんな事をしていたというのにマリーは眠ったままだった。よだれを垂らしながら・・・。さすがマリー・・・。

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