表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/106

SS:ジーク

Side story

 俺はジーク。14才。孤児院出身の仲間達と冒険者をやっている。パーティ名はアイアンイーグル。強そうだろ。今はまだEランクだが、これから駆け上がっていくんだ。

 冒険者のランクは、A~Fまで。Fは見習いで、数回依頼を問題無くこなせばすぐにEランクとなる。

 Cランクが一人前。

 それ以上は才能と努力。パーティなら仲間に恵まれる必要もある。

 春に孤児院を出てから数か月。薬草採取等の依頼では食べていくのがやっとといった感じだった。それでも孤児院よりましだったが。食費や宿泊費、もろもろを切り詰めてやっとみんなの武器を購入した。孤児院での生活も楽ではなかったからこの生活も耐えられた。討伐依頼は実入りが良い。早く受けたかったが、武器が無いとどうしようもない。

 今日は初の討伐依頼を受けて意気揚々とゴブリン退治にやってきた。

 そして遭遇する。

 オレたちもまだ小さいが、初めて見るゴブリンはそれより頭一つ以上は小さかった。

 3匹いたがこっちは5人。楽勝だと思っていた。

 が、力は大人並みに強く。棍棒をぶんぶん振り回してきた。

 剣で切りかかっても軽くかわされる。

 そして、棍棒で弾き返されたときには手がしびれて剣を落としそうになった。

 まずい!

 みんなも苦戦しているらしい。

 そんなときマリーの悲鳴が聞こえた。

 振り返ると近くで戦っていたアレンが棍棒で殴られた瞬間を見てしまう。

 槍は真ん中からへし折られ、アレンは宙を舞っていた。

 血の気が引く。

 俺たちはこんなところで終わってしまうのか。

 そんな絶体絶命の中。

 突然、女神が現れた。

 彼女は弓であっさりとゴブリン2匹を仕留めてみせる。

 見た事も無いサラサラの金髪ロングストレート。

 それが風になびく。

 整った顔立ちに、スレンダーな体形。

 そして、あらわになったおへそ・・・。

 金色の瞳に見つめられた僕の心臓は、跳ね上がった。


 その後、謝ったり、握手して倒れたり、笑ったり、彼女はとても表情豊かで人間くさかった。

 そうそう、男性恐怖症というものが良くわからないが、これから先も彼女と握手する男はいないはず。そして握手した唯一の男が俺という事だ。なんだか少しうれしかった。

 あの少し湿った、ひんやりした手の感触を忘れることは無いだろう。


 彼女は魔法まで使う事ができた。

 そして幸運にも、俺たちは魔法で作り出した水を飲ませてもらえることになった。

 両手を口の前に持っていき、水を飲む態勢をとる。

 彼女は目の前に立ち、その両手が眼前に迫る。

 すると、彼女の手から水がしたたり落ち始めた。

 俺はそれを受け止めて、飲む。

 生ぬるい水は今まで飲んだことのあるどんな水よりもおいしく感じた。

 全ての水が無駄にこぼれ落ちないよう、俺の手のひらに流れ落ちるようにと、彼女はのぞき込むように顔を近づけてきた。眼前におへそが迫る。

 その時、彼女の肩にかかっていた髪がさらりと動き、俺の頭を左右から包み込んだ・・・。

 心臓が止まったかと思った。

 それからしばらく何をしていたのか記憶があいまいだ。

 俺は今まで神様を信じていなかったけど、女神様は居るのかもしれない。今、目の前に。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ