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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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川の主

 魔石を回収され心臓の辺りをえぐられているゴブリンは血まみれだ。みんな持ちたくなかったが、男共4人でそれぞれ手足を持ってもらっている。

 先ほどの川まで歩いてきたが、先ほどの場所よりは少し下流に出た。ちょうど淀みがあり、何かいそうな雰囲気の場所だ。

「「「せーのっ!」」」

 ドボーン!

 四人で息を合わせ、ゴブリンを川に投げ入れた。

 するとすぐさま、魚が集まりだして、バシャバシャとしぶきを上げ始めた。ここにはかなりの数の糞魚がいるらしい。

「うーわっ!怖!」

 あっという間に、骨になりそう。そう思ったとき、近くの水面が浮き上がった。

 ザバー!

「何!」

 巨大な口が現れたかと思うと、ゴブリンを糞魚ごと一口で平らげ、また水の中に消えていった。残ったのは、巨大な波紋。そして静まり返った水面。

 ワニのような口と歯が見えたけど、魚?

「あの魚は?」

 みんなに聞いてみたが、首を横に振っている。知らないらしい。

 異世界怖い。


 さてと、移動前に次の獲物を探す。

 魔力感知には何もかからない。近くには居なさそう。

 では、全周囲索敵魔法。・・・反応なし。

 最後に、範囲を絞りながら長距離索敵魔法。

 おっと、さっそく索敵範囲ギリギリに3つまとまった反応あり。ゴブリン3匹かな。

 できれば、一匹か二匹くらいがいい。

 続けて探す。

 またしても反応あり、それも3つ。

 近くにはそのくらいだった。街道方面、川の東側は索敵していない。

 さてどうするかと考えていたら、思い出した。これ、相手にも気づかれたのでは?

 もう一度、索敵魔法で確認する。

 やっぱり。

「南のほう500メートルにゴブリン3。北西500メートルにもゴブリン3。どちらもこっちに向かってきている」

「えっ?」

 その声は、ジークだったのか。

「このままここに居たら挟み撃ちに合うけど、どうしようか」

「ど、ど、ど、どうしよう」

 慌てるジーク。

「では、片方づつ時間差で狩ります。最初は、南側でいいかな?」

 みんな頷く。

「じゃ、急いで移動。この異動で稼いだ時間分だけ、戦闘時間が稼げるから。・・・という判断と指示をリーダーはするんだよ。ジーク」

「はい」

 素直なジーク。

「じゃあ後は任せた」

「えっ、えぇーっと、よし、みんな行くぞ!」

「「「おーっ!!!」」」

 アバウトだなぁと思ったけど、まあいい。みんな気合が入ったようだから。

「で、南ってどっちだ」

「「「・・・」」」


 川沿いをしばらく進むと、魔力感知に引っかかるものがあった。これはきっとゴブリン。ちょうど反応は3つ。

 ここは少し開けていて、その先には少し背の高い(やぶ)がある。

 速足で移動しているので誰も気が付いていなさそう。このままいくと、藪の中でばったりと遭遇しそうだ。

「みんな、ちょっと待って。そして、耳を澄まして」

「えっ」

 みんな慌てて立ち止まる。

 移動中だったので全く陣形は整っていない。射線を確保できるかもわからないので近くの木の枝に飛び乗った。これで射線と視界を確保する。木の上からの射撃は難しいが、エレーナの優秀なスキルのおかげで問題はない。

 今回も風のエンチャント、ホーミング、プラズマ生成。そして、命中タイミングでの電子生成までを含めてサンダーアローとでも名付けようか。

 準備が整った時点で、藪ががさがさと揺れ始めた。

 ジーク達は少し下がり、慌てて準備している。

 目標を視認していないが、草や枝葉が揺れているので位置はつかめている。まず、先頭の一匹にサンダーアローを放つ。

「ギギッ」

 思った通り、電撃は藪に吸われたが矢が刺さった手ごたえはあった。

 そして次の敵は、藪から出てきた。

 やっぱりゴブリンだったが、ここからでは、木の枝が邪魔をして電撃が吸われそう。なので、これはジーク達に任せることにして、3匹目を少し待つ。3匹目が飛び出してきたところにサンダーアロー。今度は電撃弱目で。

 矢は、ゴブリンの肩に刺さり、そのままの体制で転んだ。しかし、震えながらも起き上がろうとしている。でも、その動きは鈍い。電撃が効いていたようだ。そのすきを見逃さず、アレンが槍で止めを刺す。

 二匹目のゴブリンは、ジョンが気を引き盾で攻撃をうまくいなしながら、後ろに回り込んだジークが心臓を一突き。すぐに倒れるかと思えたゴブリンは踏ん張り、ジークの方に振り返ろうとしていたが刺さった剣があったので、顔だけ振り向いてジークを睨みつける。そこにジョンの木刀振り下ろしで気を失ったのか、ゴブリンは崩れ落ちた。

 そこに薮の中からゴブリン現れ、ジークの背後を襲う。

 剣を抜こうとしていたジークは、咄嗟に剣を手放し飛びのいたおかげで難を逃れたが、危ない場面だった。そのゴブリンは肩の辺りから出血しており、動きは鈍かった。おそらく、矢を抜いた傷だろう。その後は、ジョンがすぐさまジークとの間に入り、後ろからアレンが槍で一突きだった。

 そこで、みんな一息ついてしまう。

「ジョンが倒したゴブリンはまだ息があるかもしれないから、しっかり止めを刺しといてね」

 大丈夫だとは思うが、酒場で聞いた話では、魔物は結構しぶといらしいし。

「そしたら、死体の処理は後回しにして、今来た道を戻ろうか」

 もう一つのグループとの連戦が待っている。


 幸いなことに、ゴブリンたちは索敵魔法を使ったあたりでうろうろしていた。どうやらオークほど索敵能力は無さそう。

 一匹は、ジーク、アレンの連携で。

 一匹は、サンダーアローで。

 一匹は、ジョン、トム、マリーの連携で倒した。

 ジョンもトムも、うまく立ち回ってゴブリンの気を引いたので、マリーも至近距離から矢を当てることができたようだ。知らないうちに連携の特訓でもしたのだろうか。

 マリーの矢で動きが鈍くなったところに、ジョンの木刀が叩き込まれた。うつぶせに倒れたゴブリンの背中にトムがナイフを突き立てたのだがうまく刺さらず、反撃を受けそうになり飛びのいていた。その後、ジョンの木刀での追撃により脳震盪(のうしんとう)を起こしたようで動かなくなったが、少しヒヤッとした場面だった。

「トム。背中から差すときは、肋骨の隙間を通すように、ナイフを寝かして」

「うん」

「それと、背中からだと心臓は狙いにくいから、首のほうがいいかも」

「うん。分かった」

 この辺のことは、討伐、そして解体を経験していけば、勝手に身に着く知識なのかもしれない。ゴブリンの魔石も胸骨の裏にあるので、これからトムのナイフで取り出す作業が待っている。

 なんにせよ、ジョンとトムにもしっかりとした武器を持たせないと、アイアンイーグル単独でのゴブリン討伐は危ないかもしれない。倒れた相手にナイフで襲い掛かるのは、どうかと思うし。この場合は、ゴブリンの棍棒を拾って殴り殺すのがいいのだろうか。よく分からんが。


 その後は、結局、穴を掘るのが面倒くさいので、あの巨大魚に餌付けしている。

 一度、巨大魚を矢で射てみたが、風のエンチャントを付けても弾かれた。

 それにしても、こいつの食欲は底なしか?

 もう6匹は食べている。

 次で最後の7匹目。

 ドボーン!

 ただ見ていても、もう面白くないので魔法の練習をすることにした。ただ確実に矢を消耗するので無駄なことはしない方がいいのかもしれないが。

 いつものことながら水面が盛り上がる。

 きたきた。

 ザバー!

 弾かれると分かっているが、そこに風のエンチャント付きとホーミング、そして雷魔法のコンボをたたき込む。

 次の瞬間、巨大な水しぶきが上がった。

 あ、これ記憶にある。

 どこかの水族館で、シャチのショーを見た時だ。そのときの数倍の規模だが。

 そして、全員ずぶ濡れになる。

 水面を確認すると、巨大魚は居なかった。逃げられてしまったようだ。

 しかし、糞魚らしき魚は何匹も浮いている。そして、足元でも何匹か跳ねていた。

「ちょっとお姉さん」

 あ、マリーは激おこのようだ。

「なにかやるなら、予め言ってください」

 トーンが低い。

「ごめん。倒せなかったみたい」

 ちょっとボケてみた。

「そういう事じゃないんです」

 あ、冗談を言う場面じゃなかったらしい。

 足元の魚をつまみ上げる。

「せっかくだから食べてみる?」

「えっ!?それ本気で言ってます?」

「本気。街から大分離れているし、平気じゃないかな」

「えー、ちょっと考えさせてください」


 少し上流に戻ってから、河原で火を()いた。

 流石にあの巨大魚がいる(よど)みの近くは怖すぎる。水中から飛びかかって来るかもしれないし。

 魚を焼きながら、みんなの服を魔法で乾かす。これは着たままでいいのだが、自分の服はそうはいかないので脱いだ。痴女じゃないから、みんなには背を向けて。

「わわわっ。あんたら、向こうを向いてなさい!こっち見たら殺すから!」

 それに気づいたマリーは、大慌て。

「お姉さん、何やっているんですか!?」

「服を乾かしているんだけど」

「いやいやいやいや、そうじゃなくてですね」

「さすがにまだこの季節、濡れたままだと風邪ひいてしまうかもしれないし」

「なんで、脱いでいるんですかって言っているんですよ!」

「あれ? マリーにはまだ教えてなかったかな。生物はみんな自分の魔力で守られているから、直接他人の魔法は作用しないのだけど、自分には作用してしまう。という事は、マリーに乾燥魔法をかけても乾くのは服だけだけど、自分にかけたら服だけじゃなくて体も乾いてしまうのでミイラになってしまうという事」

「そ、そうなんですか」

 とまあ、マリーに説明している間にも乾燥が終わり服を着る。布じゃなくて革の服だから、そんなにぐっしょり濡れていたわけじゃないけどね。


 こっちの世界に来て初めて食べた魚は、ほんの少しドロ臭かったが十分いけるレベルでおいしかった。

 それを見てから、マリー達も食べ始めた。初めて食べたそうで、食べ方すら分からない状態だったが、見よう見まねで食べている。

 それにしても塩の消費が早いなぁ。6人分だから仕方ないけど。


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