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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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捕り物

 ギルドに到着後、適当に本を借りる。

 トムの描いた絵の上に「腕相撲大会」と、かっこよさげな字体を選び、よく見ながらレタリングする。

 絵の下には、「場所:ポピーナ」と記入。日時は、まだ入れなくてもいいかな。

「集え強者よ!」とか入れたいけど、文字が読めない人が多いんじゃなぁ。こんなもんでいいや。

 今日の打ち合わせは、主に進捗確認。ポスターはOKだった。追加で5枚頼まれた。文字は、商業ギルドの方で入れてくれるらしい。そんなにひどい文字ではないと思ったのだが・・・まあいい。そして、腕相撲用のテーブル代は戻ってきた。これで、布団が買える。

「ところで、昨日、打合せの帰りに襲われたんですが、皆さん大丈夫でした?」

「ああ、その件は聞いているよ」

 宿屋のおやじから、冒険者ギルドのギルバートを経由して、トーマス、そして、レイモンドと午前中のうちに連絡がいっていたらしい。狭い街だね。

「今日からトーマスに送ってもらう事になっている」

「えっ、こんなので大丈夫?」

「このなので悪かったな。ただのギルド職員なんだから大丈夫なわけあるか!俺とお前はおとりだよ」

「そうだ。こういう輩は、さっさと排除するに限る。油断して近づいてきたところを一網打尽にする計画だ。それで、君にはこれを持っていてもらおう」

 渡された肩掛けバックの中には、直径30cmくらいの円盤のようなものが入っていた。金属製なのかそこそこ重さがある。

「これはなんですか?」

「君の身を守ってくれる魔道具だよ。半径2メートルくらいの結界を作り出す」

「魔道具!?」

「危なくなったら、魔力を流し込んでほしい。タイミングはトーマスから支持させる。くれぐれも不用意に使わないでくれ。今、使われると建物が壊れる」


 夜道を歩く男女。トーマスとリューだ。

「護衛なんだから剣くらい持ってきたら?」

「襲われたとき、相手は剣を抜かなかったんだろ。だったら殺しじゃなくて誘拐目的だろうから、剣なんて無い方がいいだろ。こっちが抜いたら向こうも抜かざるを得ない」

「そういうもの?」

「そういうもの」

「ふーん」

「で、男たちが現れたのはこの辺だったか?」

「そう。脇道の無い比較的長い一歩道」

 そんな話をしていたら、ちょうど男たちが現れた。

「あっ、来たかも」

 今日は、曇りなので星明りは無い。かなり暗い夜道だ。しかし、エルフの特性なのかどうかは分からないが、夜目はかなり効く。

「えっ、よく見えるな」

「そんなんで大丈夫?タイミング間違えないでよ」

 トーマスはカンテラをかざしているが何も見えないらしい。

 後ろを振り向くと、やはり三人の男たちが路地から現れた。

 立ち止まり、バッグを抱えて魔力を込める準備をした。

 男たちはゆっくりと歩いてくる。前から三人、後ろから三人。昨日と同じだ。

 トーマスが頼りないので、パッシブスキャン。

 男たちが現れた路地の辺りにさらに何人かこちらを(うかが)う人影がある。これは、レイモンドさんが手配した人員だろうか?少し安心した。

 男たちが歩いてきてくれたおかげで、トーマスもしっかり認識できたようだ。

「今だ」

 相手が話しかけてきそうな距離だった。

 待ってましたとばかりに、魔力を注ぎ込む。どんな性能なのか分からないので、どんどん注ぎ込む。

 すると、まず抱えていたバッグが浮き上がる。自分の全体重をかけても抑えきれないほどの浮力。次は、足元に何かが出現し、体が地面から浮き上がった。自分たちを包み込むようにし出現したのは、直径三メートルほどの薄く発行した球体だった。

 トーマスは、滑って転んで私の足元にうずくまっている。

「ちょっと何やってんの?」

 トーマスに足元をすくわれて転びそうになったので、必死にバックにしがみついた。どうやらバッグを中心にした球体らしい。

「いやいやいや、あり得ないだろ」

 足元で驚愕の表情を浮かべているトーマスも気になるが、男たちの方が気になる。

 周りに視線を向けると、男たちが慌てていた。発光した球体をこぶしでたたいたり、剣で切りつけたりしているようだが、音がほとんど聞こえてこない。防御魔法は効果十分のようだ。安心して一息ついた。後は、放っておいてもよいだろう。そして、もう一度トーマスを見る。

「ちょっと落ち着いて。何の話?」

「防御魔法が発光するなんて聞いたことが無い」

「ああそぉ。そんなことはどうでもいいから、そこどいて。踏んずけるわよ」

 トーマスは、バッグのちょうど真下で尻もちをついたままだ。

「あ、いや、これ、つるつる滑って立てないんだよ」

「そう。こっちも手が限界」

 実は限界でも何でもないのだが、いつまでもバッグにしがみついたままでは身動きが取れない。バッグの真下はちょうどトーマスの下腹の辺りだがまあいいや。トーマスの上に立とうとしたら、足を手でつかまれた。

「おいっ!俺の大事なところを踏もうとしただろ」

「踏まれたいのかと思って」

「そんなわけないだろ!」

 トーマスは、つかんだ足を自分の体の上からずらしておろした。そこは足の付け根付近。

「ちょっと、股間を押し当てようとしていない?」

「違うって!」

 トーマスと緊張感のない会話をしていると、またしても球体をたたくような音が聞こえた。そこには、レイモンドが立っていた。

 球体は、さっきより光り方が弱くなってきて、外の様子がよく見える。男たちは既に取り押さえられているようだ。そして、音も多少聞こえるようになってきていた。

「魔力供給を絶て」と言っているようだが、もう既に供給はしていない。

 トーマスも落ち着いてきたようで、周りをきょろきょろ見回している。

 とりあえずこれ以上やることは無い。なので、球体の上に両足で立ってみた。確かにつるつるしていて立ちにくい。バッグから手を放すことはできない。バッグは相変わらず、空中で静止している。

 やがて発光が収まると、足元の感触も柔らかくなっていき、地面に足が付いた。

「ごくろうさま」

 レイモンドの声が普通に聞こえた。

「いやはや、エルフの魔力量は多いと聞いていたが、ここまで規格外とは」

「どうも。すみません」

 どうやら、魔力を込めすぎてしまったらしい。でも教えてもらっていないんだから仕方ないよね。命がかかっていたから全力で込めてしまったよ。

「魔道具が壊れていなければいいが・・・まあ、そんなことは気にしなくていい。壊れていたとしても君のせいではない」

「ありがとうございます」

 気を使ってくれたようなので、とりあえずお礼を言っておいた。

「賊は全て捕らえたので安心してほしい。首謀者まで捕らえられるかどうかは分からないが、ここから先は任せてもらいたい」

「よろしくお願いいたします」

 もう帰っていいようなので、さっさと帰ろう。

 一応、宿の前までトーマスに送ってもらった。

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