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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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襲撃

 ここは街灯など無いし、窓から明かりが漏れることも無い。窓が開いていたとしてもランタンやロウソクの明かり程度では夜空の星々を消し去る力は無い。

 そんな夜空を堪能し、気分良く宿に帰る途中だった。

 少し先のつじから、男たちが三人現れた。

 ここは裏通りなのでそこまで道幅は広くない。その道をふさぐように三人が横並びに歩いてくる。三人とも帯剣しており、三人ともこちらをいやらしい笑顔でガン見してきていた。

 嫌な予感がするので、引き返そうかと振り返ればそこにも別の三人組が道をふさいで歩いていた。

 まずい。ちょうど脇道が無いところで挟まれた。

 戦うか?

 いや、武器を何も持っていない。

 体格のいい男たち三人相手に格闘戦なんて挑んでも勝つ自信など無い。

 全身から冷汗が噴出してきていた。

 まずい。体が動くかどうか怪しい。

 ここは逃げの一手だ。

「だれかたすけてーーー!!!」

 大声で叫んだら、体に熱が入った。いける。

 頭の上で、光源の魔法を発動させる。

 ありったけの魔力を込めて目くらましだ。

「あちっ!」

 瞬間的に頭が燃えたかと思うほど熱くなった。

 反射的に屈む。光源魔法は集中力が切れて霧散した。

 今だ!

 斜め前に走り出す。

 壁を二歩走って跳躍する。

 その高さは4メートル以上。男たちの頭の上を、余裕をもって超えたはずだった。

 しかしガシッと、右足首を掴まれた。

 なんだその反射神経と跳躍力は!?

 やはりこの男たちも同じ程度かそれ以上のレベルなのかもしれない。

 とっさに左足で蹴飛ばすと、男の手は離れた。

 しかし空中で体制が崩れる。足を引かれたので頭から落ちそう。必死で片足だけ体に引き寄せ、足から着地。しかしバランスは崩れたままなので前回り受け身で1回転し、そのままの勢いで走り去る。

 学校の授業で習った程度の柔道だが、受け身は本当に役に立つ。

「待てっ!」

 割と近いところから声が聞こえたので、必死で走る。

 全力疾走は初めてだが、この体のポテンシャルはすごい。男たちを少し引き離した状態で宿にたどり着いた。細身のエルフ、レベル20、狩人で鍛えた脚力は、なかなかのものなのかもしれない。100メートル10秒は軽く切れるんじゃないかな。

 バタンと入り口の扉を閉め、そのまま体を預けて扉を押さえる。

 目をつぶり、パッシブスキャン。男たちは近くの路地に集まったまま。ここまで追ってくる気配はない。

「ふう」

 一息ついて目を開けると、お客さんやジーク達みんなから注目されていた。

「どうしたんですか?」

 マリーが心配そうに声をかけてきた。

「落ち着いたら、食べに来るから。ちょっと部屋で休んでくるね」

 そう言って、小走りに部屋に向かう。

 襲われたなんて言うと、ジークが飛び出していきそうな気がしたから言わなかった。あの身体能力からしてレベルはそこそこありそうだったので、何らかの戦闘経験は積んでいるとみていい。もし剣を抜かれたらジークでは太刀打ちできない。

 部屋にたどり着いても明かりは付けず、壁際で外の気配を探る。男たちはまだ同じところにいたが、おそらく通行人でもあったのか、ほど無くして散っていった。魔物と違い、レベルの低い人間や動物は感知しにくい。

「ふう」

 片膝をついた姿勢を崩し、壁にもたれて腰を落とし、膝を抱えた。

 目をつぶって先ほどの跳躍を思い出す。この街の建物はレンガが多いようで良かった。これが現代風にサイディングなんかだったら壁を踏み抜いていた自信がある。

 この辺の治安は悪くないと聞いていたのにこれか。これからは打ち合わせ時間を早めにしてもらい、明るいうちに帰れるようにするか、誰か護衛についてもらった方がいいのかも。

 それにしても目的は何?

 お金か?冒険者ならもっと稼いでいる人はいっぱいいるだろうし。

 エルフだから?そんなに需要があるのだとしたら表を歩けないぞ全く。

 コンコン。

 そんなことを考えていたら、ノックの音が。

「お姉さん大丈夫ですか?」

 マリーの声だ。やっぱり来たか。

 返事をする前に光源の魔法を使う。ランタン程度の明るさで。

 そういえば、また鍵を掛けていなかったな・・・。

 立ち上がりドアを開ける。マリーとジークがいた。

「心配かけちゃってゴメンね。今、下に行くところ」

「何があったんですか?」

 マリーがランタンを持っていたので光源魔法を消す。

「下で話そうか」

 みんなから同じことを聞かれそうなので、そのほうが面倒くさくないかもと思った。


 夕食を食べながらみんなと話す。

「気持ち悪い男たちに追いかけられたから逃げてきたの」

「お姉さんなら、やっつけちゃえばよかったのに」

「えー、殴るのもいやだから」

「あはは、そうですか。あまりにも必死に見えたから心配しましたよ」

「マリーも変な奴らに追いかけられたらこうなるって」

「そうですかね」

「ま、でも、一人では出歩かない方がいいかもね」

「そうします。というか、お姉さんもですよ」

「うん、そうする」


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