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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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お風呂

 帰りも川を渡してもらう。行きも帰りも一人銀貨一枚、アーサーがまとめて払っていた。

 街には入らず川沿いを南下し、昨日の焚火跡までたどり着いた。

 まだマリーたちは来ていない。

 オークを袋から出してもらい、焼き肉の準備を始めた。

 暁のみんなも鍋を出してきて何やら手際よく準備している。一品作ってくれるようだ。

 ここでオークの巨体を解体するのは面倒なので腕と足をもらうことにした。

 なかなかに太い。特に足。

 これを見ていたら思い出した。

 マンガ肉ができる!

 焚火の上でぐるぐると回しながら焼くあれだ。

 流石に、かじりつくのは難しそうだが、焼けた部分からこそぎ落として食べるのはありだろう。

 串は3本しか買っていないから暁の分は足りない。

 ちょうど折れた矢を持ち帰っているので、これを削って代用する。

 しばらくするとジークたちが山のほうから走ってくるのが見えた。

 みんな盛大に息を切らしている。マリーに至ってはこちらに気づくと歩き始めた。

「みんなどうしたの。そんなに息を切らして」

「はぁはぁ。いや、薬草がなかなか集まらなくて」

「そんなに急いで来なくてもいいのに」

「一番下っ端の俺たちが遅刻して、さらに準備もせずに食べるだけなんて、かっこ悪いから」

 ほう。孤児院とかで集団生活していると、そういう事にも気を使えるようになるのかね。

 エレーナも孤児院出身だが小さい頃に抜け出したからね。

「マリーがいつまでたっても起きなかったからなんだ」

 アレンは少しご立腹のようだ。

「ああ、もうダメ」

 少ししてマリーが到着し地面に女の子座りする。

「足が痛ーい」

 そして靴を脱ぎ始めた。

 ああ、新しい靴を買ったばかりだし靴擦れしたんじゃないかな。

 マリーの足は皮がはがれてしまっている場所もある。

「靴擦れだね」

「ふぇ~ん。変な靴買っちゃったのかなぁ」

「新しい靴は硬いから。少し履いていればちょうどよくなるはずだよ」

「そうなんですね。よかった」

 本当にサイズが合っていない可能性もあるが、それは言うまい。

「ちょっと見せてごらん」

 マリーの足を見て、まず、魔法で水を作り患部を洗う。

 そして腰のポーチからポーション瓶を取り出す。

「え、ちょっとお姉さん。それは、もしかして、痛いヤツ・・・」

「そう、生ポーション。ちょっと我慢してね」

 有無を言わさず一振りした。

「ちょっと待ってくだ、いだぁ!ぐあぁぁぁ」

 うん、この程度のポーションでもよく効く。

 はがれていた皮はくっつき赤みも収まる。

 完治するには数日かかるだろうが歩く程度なら問題ないと思う。

 抑えていた足を放したら、のたうち回っていた。

 大げさな。

「さあさあ、他のみんなは大丈夫?」

 ジーク達は顔を見合わせながら困った様子だ。

 これは、みんな何かしら痛いところがあると見える。

「どうしたんだい?」

 騒ぎを聞きつけてアーサーが寄ってきた。

「靴擦れができていたので治療です」

「その瓶はポーション?めずらしいね。どこで買ったんだい?」

 この国では瓶まで規格化されているのか、この瓶は目立つ。ええとマリーたちには何と言ったんだったかな。設定を思い出す。

「これは、旅の商人からですね。場所は忘れました」

「ポーションは痛くないはずだが、それ、まがい物かもしれないよ」

「いえ、中身は自分で作った生ポーションです」

「え?生ポーション?」

「はい。薬草を乾燥させずに作るんですが、苦いし、痛いので、売り物にはならないですね」

「ふーん。ちゃんとしたポーションあるけど、使うかい?」

 男共の顔に歓喜が満ち(あふ)れる。

 しかし、なぜかマリーが断った。

「いいえ、結構です。こんな傷に正規品のポーションなんてもったいないです」

「いや、お金はとらないよ」

「これ以上お世話になるわけにはいきませんので」

「そ、そうかい」

 なにか鬼気迫るものを感じたのか、アーサーはあっさり引き下がる。

「なんだよマリー。いいじゃないか。くれるというなら」

 アレンはまだまだご立腹。

「あんたら、他人に頼りすぎなのよ!その程度の傷、自力で何とかしなさい!」

「それをマリーが言うのかよ」

「うるさい!私だけ痛い思いするなんて許さないんだから!」

 マリーそれは言ってはいけない本音というヤツだよ。

 アーサーも私も苦笑いするしかない。

「あのー、これ」

 そんな中、普段は無口なトムが足を見せてくる。

 まだ皮は破れていないが水が溜まっている、しっかりとした靴擦れだ。

 この子は話す時とても薄気味悪い笑顔を見せるのが怖い。

 気が付かなかったけれど、自分の若いころも周りからはそう見られていたのかもしれない。

 さて、水膨れにポーションをかけても効きにくい。

 よってナイフを取り出し、魔法で出した水で手際よく洗う。

 あ、トムの笑顔が引きつってきた。

「みんな抑えててね」

「えっえっ?」

 トムが(おび)えている。

「トム、じっとしているんだ」

 ジークが満面の笑みだ。こいつ。Sだな。

 サクッと皮を切って水を抜く。

「ヒッ!」

 トムの悲鳴が一瞬聞こえた。

 しかしまあ皮を切っただけなのでこれは痛くないはず。

 すぐさま破れた皮を広げてポーションを一振り。

「ぎゃー!」

 素早く元に戻して押さえつければ、ものの数秒で皮がくっついた。

「これでよし」

「へぇ、上手なもんだ」

 アーサーが感心している。

「効果の弱いポーションでも、うまく使えばいいんです。すぐに戦闘とかしたらまた破れるかもしれないけど、もう今日は帰るだけだし」

 トムは患部を恐る恐る触って治ったことを確認している。

 このくらいのことで騒がないでほしい。

 冒険者やっていたら、このくらいの傷は日常茶飯事なのでは?

 2本作った内の1本を今朝飲んでしまったからこの1本しかないが、この程度の傷なら残りで十分。

「さて、次は誰?ちょっとしか使っていないから、ポーションは全員分あるよ」

 男共の血の気が引いていくのが見て取れた。


 準備が終わって肉を焼き始めてから河原方面に歩いてきた。マリーと連れションだ。

 適当な藪で済ませてから河原を少し歩いてみた。

 街の下流だが水は澄んでいた。うんこが流れている様子はない。

 今日はかなり歩いたし少し汗ばむ陽気だ。

 水浴びしようかな。

 河原は少し低いので街道からは見えない。

 男共から見えないような、ちょっとした低木や背の高い草の近くならどうかと適当な場所を探して歩く。

 そして川の水に手を付けてみる。

 とても冷たかった。

 これは無理そうな感じだが、そうだな。人手はあるしお風呂なんかどうだろう。

 マリーも走ってきて、さっき汗だくだった。

 はっきり言って臭っていた。

 女の子として出してはいけないような刺激臭だった。

「マリー、お風呂入りたくない?」

「それは入ってみたいとは思いますけど」

「よし、やるか」

「えっ?どういうことですか?」

「まあ、それはお楽しみということで。まず、お昼にしよう」


 オークの肉は豚肉に似ていてとてもおいしかった。

 少し硬くて臭みもあったが、臭いの方はハーブでごまかしたら何とかなった。

 また手持ちの塩が無くなってしまったが、逆に暁からそれ以上の塩をもらってしまった。

 鍋には野菜も少し入っていて悪くない味だった。

 そしてマンガ肉。

 まあ、おいしさは焼いた肉と同じだった。

 準備しているときはテンション高かったけどね。

 熱くてかぶりつけなかったし、焼けた部分をこそぎ落としながら食べたから、まあ、味は串焼きと大差ない。

 そんなことよりお風呂だ。今は無性に入りたい。

 みんなが満足したころに切り出す。

「今日は疲れたし、お風呂に入りたくないですか?」

「お風呂?」

「お風呂ってなんだ?」

「お貴族様が入るやつじゃね」

「高級宿にもあるって聞いたけど」

 みんなあまり知らないようだ。

「よし、じゃ作るからついてきて」

 ここは強引に行かせてもらおう。

 みんな、なんだかんだと話しながらもついてきた。

 ああよかった。一目置いてくれているようだし、たぶん大丈夫と思っていたけど。

「この辺に水路。ここに湯舟。大きさは一番大きいモーガンが寝転がって入れる程度と深さ。排水路も作っておこうか」

 てきぱきと指示を出す。

「そして、ここで焚火。石を焼く。そして、水が溜まったら焼けた石を入れる」

「そうか、焼いた石で水をお湯にするのか」

 と、アーサー。

「魔法で温めるには大変じゃないかと思った」

 と、スティーブ。

 そういえば暁には産休中の魔法使いが居たんだった。多少は魔法について見識があるらしい。

 作業は手際よく行われていく。

「はい、アイアンイーグルのみんなは、もっと必死でやるように。君たちの筋トレも兼ねているんだからねー」

 と言ってハッパをかけている自分はというと、焚火の加減をみながら石を積み上げ焼いていた。力仕事は任せた。最年長者で、見目麗しき(かどうかは良くわからないが)エルフの女性という属性の使い方が分かってきたような気がする。これがジャガイモ顔のさえないおっさんだったら無理だろう。

 水路と湯舟ができたら川の水を引き込む。

 最初、湯舟の中は泥水で濁っていたがしばらくすると澄んでくる。

 多少かき混ぜて汚れやごみを洗い流したら水路をふさいで石を投入。

 ジュワー。

 ゴボコボ。

 湯加減を見ながら次々に石を入れる。

 いい湯加減になってきた。

「完成!」

「「「「おおーっ」」」」

 みんなお湯に手を入れている。

「あったかい」

「これはいいな。冷たくなくて」

「風呂ってこんな簡単に作れたのか」

 いろいろな感想が飛び交っている。評判は上々だな。

「では、最初は女性陣で入らせてもらうけどいいかな?」

「ああ、当然だろう」

 アーサーが一言いえば反対意見など出ない。

「じゃ、マリー。一緒に入ろうか」

「えっ、えっ、いいんですか?」

 はい、いいんです。ぜひともお願いします。

「一人一人入っていたら、日が暮れちゃうかもしれないし、うちらは細いから二人でも余裕で入れるよ」

「では、お願いします」

「男性陣は、近寄らないでね」

「え、でも護衛は?」

 ジークは心配する。

「川のこっち側だし、大丈夫なんじゃないの?それに何かあったら大声で呼ぶから」

「あんたらお姉さんを覗こうとしたら、三日間ごはん抜きだからね!」

 大切にしてもらうのはありがたいが、『自分は、見られてもいいんかい!』と突っ込みたい。

 それと三日も抜いたら死んじゃうかもよ。

「それと、せっかくの機会だし、暁のみなさんに稽古をつけてもらったら」

 アーサーを見てみる。

「ああ、かまわないよ」

 やっぱりそう言ってくれると思った。

「おっ、やったー!」

 ジークは元気だね。

 他の面々はもう疲れたという顔をしていたが。


 付近に人影が無くなってから革鎧を脱ぎ始めた。

 河原に人影はない。

 そういえば、渡し場からここまで川沿いを歩いてきたが魚を取っている人はいないようだった。

 対岸は魔物の領域。こちら側にはあまり魔物はいないという話だし。魔物は川を渡らないのかな。

 対岸に冒険者が現れる可能性もあるが距離もあるし平気でしょ。望遠鏡とか無いしね。・・・ないよね。いや、魔法的な何かはあるかもしれない。

 革の服を脱ぐ。

 森の中ではちょうどよかったが、日差しの強い川沿いを歩いていた時は少し暑かった。今の季節は春から夏に向かっているところだろうけど、夏になったら暑いかも。

 下も脱ぐ。

 ああ、なんか開放感がある。

 もう40年も生きていると恥ずかしさって薄れてくるような気がする。これは男だったから?息子は無くなってしまったので見られても何もないだけだし平気じゃね。乳首は男にもあるし。

 マリーはまだ成長途中だろうが、すでにこの枯れ枝ボディよりは女らしくなっている。

 数日前、出会ったころよりは顔色もいい。

 このままちゃんとした食事を続けていければ、あっと言う間に変わるかもね。

 彼女がいたこともない男にとって、それでも刺激が強すぎるのでなるべく見ないようにする。

 さて、湯船につかる前に体を洗い流すのが作法だが、お湯がそんなにあるわけでもなく、もともとのお湯がきれいなわけでもなく、桶も今日は持ってきていないし。

 お股を軽く洗ってこのまま入ってしまえ。

「ふうー。いい気持ちだ」

 露天風呂かぁ。何年ぶりだろうか。

 この世界にも温泉はあるのかな。

 火山があるならその近くにあるかもね。

「となり失礼します」

 マリーが入ってきた。

 横目でちらっと見てしまったが虫刺されの跡が目についた。一つや二つではない。

 二人して河原に寝っ転がる。

「マリーはお風呂はじめて?」

「そうです。ポカポカしていて、いいですね。疲れが取れるような気がします」

 自分が子供のころはお風呂ってあまり好きじゃなかったけどね。温泉も。

 初めての贅沢だったとしたら気持ちも違うのかも。

 二人で入った湯船は泥が巻き上げられお湯は少し濁っていた。これ、覗かれても見えないからちょうどいい。

「服とかって洗濯している?」

「ええとですね。孤児院を出てからは、あまり洗っていないです」

「そろそろヤバいよ」

「ですよね。でも、服はこれしかないし。前の宿の近くの井戸は、いつも人がいっぱいいて。今の宿は、暗くなってからならいけそうな気がするんですけど」

「わら袋とか、穴をあけてかぶれば?洗濯中だけ」

「あっ、それいいですね」

「洗濯しないと、シラミとかダニとか、わくよ」

「あ、この虫刺されの跡ですね。これは、前の宿がひどくてですね。そのときにけっこう刺されました。レベルが上がると刺されなくなるそうなので、もう少しの我慢です」

 レベルってすげえ!

 虫に刺されなくなるのか。そういえば、エレーナも最後の数年は蚊に刺された記憶がない。

 とりあえずマリーの治療をしよう。

「じゃ刺されたところを、見せてみて。ポーションまだ少し残っているから、治療してしまおう」

「えっ、いやいいですよ。こんな程度のものは」

 マリーが後ずさった。明らかに笑顔が引きつっている。

「大丈夫。傷がなければ痛くないから」

「えっ、ならお願いします。でも恥ずかしいので、自分でやります」

「そう、気を使わなくてもいいのに」

「あの、恥ずかしいところの近くにもあるので・・・」

 それはぜひ確認したい。が、風呂に入っているのに興奮したら鼻血が出たりして。すでにけっこう顔が赤くなっている自覚がある。

「じゃ、背中だけ」

「あ、それなら、お願いします」

 お風呂から出てポーション瓶をポーチから取り出し振り向くと、マリーはお風呂のわきでこちらに背中を向け屈んでいた。

「ここと、ここと、ここかな」

 三ヶ所、ポーションを垂らして指で塗り広げる。このポーションは弱いから完全には治らなかったが、(かゆ)さはかなり抑えられたと思う。

「どう?痒くなくなった?」

「はい、素晴らしいです」

 ポーション瓶を肩越しにマリーに渡す。マリーは振り向いたが片手は胸を隠している。これが女の子のしぐさだな。

「あの、少しの間、見ないでいてください」

「ああ、ゴメンね」

 お風呂に入り直し空を見上げ目を閉じた。

 川のせせらぎを聞きながらお風呂とは。なかなかいい。魔物に襲われる可能性がゼロではないから完全に気を抜くわけにはいかないが。

「ぐっ!」

 するとマリーの声が漏れ聞こえた。

 薄目を開けて横目で見ると、お尻を押さえながら悶絶しているマリーがいた。

 えーと、これは記憶から消すことにする。何も見なかった。そう、何も。

「ありがとうございました」

 目を開けると、真っ赤な顔で涙目のマリーがいた。そして空になったポーション瓶を受け取る。

 また湯舟につかり、二人で空を見上げるが何か気まずい。

 マリーが無口だ。

 なにか話題は・・・。

「マリーはジョンと付き合っているの?」

「えっ!ええと、うん、そうですね」

「あのメンバーの中で彼を選ぶんだ。ほら、アレンとかかっこいいのに」

「ああ、そうですね。アレンは私に興味無いみたいです。それにかわいい子には見境なく何人も声をかけていて、きっと将来浮気しますよ。面倒な未来しか見えません」

「えっ」

 なんか見ている部分が違う。

「トムは、むっつりスケベで気持ち悪いです。お姉さんも気を付けてください」

「ああ、そうなのね」

 ちょっとそうじゃないかと思った。さっき。

「ジークは、悪くないんですけど、性格的に面倒事に首を突っ込んだり、仲間をかばって早死にすると思います」

「なんか、しっかり見ているのね」

「ぶっちゃけ、ジョンは消去法での残りです。キープです」

 そこまで言う?

「なんかさめてるね。初恋の相手とかじゃないんだ」

 マリーは確か14歳。この年ならあり得ると思ったが。

「初恋の人はいましたよ。二つ上だったのですが、冒険者になって、森の中で行方不明になりました」

 失恋したとかじゃなくて、本当にいなくなってしまったのか。死が身近にある世界だと改めて思う。

「ゴメン」

「いいえ、大丈夫です。私には、お姉さんがいますから」

「えっ」

「だから私を捨てないでください」

「いやいやいや、捨てるとかじゃなくて、冒険者を続ける気はないから。安全な街中で仕事を探して生きていきたいの」

「お姉さん、現実を見てください。宿屋で働くといくらもらえるか知っていますか?」

「えっ、いくらなの?」

「住み込み、食事は全て賄いだったとしても、一ヶ月休み無しで金貨一枚にもなりません」

「・・・」

 言葉がない。小金貨が100Crだから、それ以下か。一日3Cr、300円以下って安すぎだろ。物価が違うにしてもあんまりだ。孤児だということで足元を見られているのでは?

「職人とかお金はいいと思いますが、めったなことでは弟子を取りませんし、ギルドとかで働くには学校を出ていないと雇ってもらえないですよ」

「そうなんだ」

「後は、色街とか。お姉さんは無理ですよね」

「うん」

 興味はあるが生理的に無理。さらに男性恐怖症だし。

「なので、お姉さんに向いているのは、冒険者です!」

「えぇぇ。結論早くない?」

 いや、もうちょっと他に何かあると思うんだよね。

 現代知識を利用したチートな何かを作るとか。

「そうだ、腕相撲協会の会長とか」

 なんとか他の道を探してみた。

「は?それ儲かるんですか?」

「わからないけど、盛り上がれば」

「じゃ、それ私やります」

「えぇぇ」


 その後も少し話したが、マリーの知識は孤児院を出るときに紹介された仕事の一部だそうな。それで嫌気がさして冒険者になったとか。

「ところでお姉さん、あの日ってどうしています?」

 やば!あの日といえば、アレだろう。

 最も恐れていた系統の質問が来た。

 実はエレーナには生理が来たという記憶がない。それが心理的な要素によるものなのか、エルフという種族的なものに由来するのか不明だ。まさか、40にもなってまだ子供ということは無いと思うが。

「少しでも体調が悪い日は家で寝てた」

 適当に答える。

「はぁ、余裕があるっていいですね」

 もう納得してくれたなら何でもいいや。後で他の誰かにも聞いてみよう。ギルドのサラさんとか、錬金術師のメラニアさんとか。

「ごめんね。頼りないお姉さんで」

「そ、そんな事ないですよ!」

 マリーはなんだか必死に否定している。

「そろそろ上がろっか」

 だんだんお風呂もぬるくなってきたし。

「はい」

 誰かがのぞきに来るようなお決まりのイベントは発生しなかった。


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