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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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チーム暁

「朝だよ。魔物討伐に行くという約束覚えてる?」

 男の人の声がする。そして肩を揺さぶられた。

 この声は昨日の飲み会にいた人だな。アーサーだったか。

 討伐ねぇ。そういえば暁と連携を確認するために午前中だけ出かけるという話だったかも。それにしても昨日はあれから気をよくした女将さんがワインを持ってきて・・・、その後の記憶が無いな。

「んー」

 男性恐怖症なので許してください。アーサーの手をはねのけるように伸びをして、起き上がり目をこする。

 布団がずり落ち少し肌寒い冷気を感じた。

「おはよ、うっっっ!下で待っているから、準備ができたら降りてきてくれっ!」

 アーサーは目も合わさずに振り向くと急ぎ足で離れていく。

 目も合わさずに挨拶とは近頃の若いもんは。と思ったがそこは口に出さない。大人なので。

 バタンと扉の閉まる音。

 ここは自分の泊まっている宿のベッド。雨戸は開けられていて朝日がまぶしい。

 アーサーの変な態度を思い出して下を見た。

 おうっ。やっちまった。上半身裸で寝ていたようだ。

 そういえば夜中に暑くて服を脱いだような記憶が・・・

 そして、その後寒くて布団にくるまったような。

 ズキン。

 頭痛がした。そして胸やけが。吐き気も。

 これは二日酔いだな。

 あまりひどくはないがお試しの討伐で醜態をさらすわけにはいかない。

 作ったポーションの一つを飲み干した。

 苦いっ!

 もう飲みたくないです。

 そして後味も最悪。魔法で水を出して口をすすぎ飲みこむ。

 頭痛は少し和らいだ程度だが胸やけと吐き気は収まった。

 上半身は裸だが下半身はズボンをはいたまま。

 よし。

 昨夜は何事もなかったと思おう。

 おっと窓が開いていたんだった。

 急いで装備を整える。

 あれ、ちょっと待て。アーサーは普通に部屋に入ってきていたぞ。これ、昨日は鍵もかけずに寝ていた事になる。いつか何かやらかしそうだ。気を付けよう。ここは安全な日本ではない。


 一階に降りるとアーサーとジークが話をしていた。

 他のお客はまだ少ない。

 カウンターで朝飯をお願いして、また今日の分の宿代を支払う。

「今日の夜も、いらないです」

「そうか、じゃ20でいいぞ。昨日の夜の分もあるしな」

「ありがとうございます」

 テーブルに着くとアーサーが話しかけてきた。

「さっきはごめん」

「いえいえ、こちらこそ。貧相なもので申し訳ありません」

「そ、そんなことはない!きれいな肌だった。あっ、いやっ、これはっ・・・」

 いいんですよ。減るものでもないし。

 男の感性からすると上を見られたくらいどうということはない。

 アーサーも妹がいるなら見慣れているんじゃないの?

 ジークはアーサーを睨んでいる。

 しかし顔が赤いぞ。おまえ何か思い出しているな。でも・・・はて、なにかあったかな?記憶の無い昨日の夜か・・・まあいいや。

「マリーは?」

 マリーが見えないのでジークに聞いてみる。

「まだ寝てるみたい」

 マリーもかなり飲んでいたようだからね。

 運ばれてきた朝食を食べながら昨日の話を聞いてみたら、私はワインをサクサク飲んで早々に寝てしまったらしい。

 店の奥から出てきたところを待っていたジークたちがここまで案内したという。

 マリーはジョンに背負われて。

 私はアーサーに背負われて。

 さらにアーサーは朝起こしに来てくれたそうな。ほんと申し訳ない。

「では、マリーによろしく。お昼にいつもの場所で」


 アーサーと共に北門まで歩くと暁の他のメンバーがそろっていた。

「今日は、依頼は特に受けてきていない。近場でオークでも適当に倒して、お互いの技量と連携を確認する程度で。お昼前までに切り上げ、街の南側の空き地で焼き肉だ。それではよろしく」

 アイアンイーグルもなぁ、ジークもこのくらいリーダーっぽいこと言わないと。マリーがリーダーみたいになっているし。

 門を出てから川の方へ外壁沿いを歩いていく。

 川には桟橋があり船で渡してもらえるようだ。

 船に乗り込むときアーサーに手を差し出された。

 ぐっ、そうきたか。ええい。

 覚悟を決めて手をつかむ。

 結果として大丈夫だった。

 こちらに来てから人の中で生活しているし、慣れてきたのかも。

 この数日はエレーナが過ごした数年分くらいは人と接してきている。

 この程度まで平気になったのなら日常生活的には問題無いだろう。

「その弓、ずいぶん大きいね」

 すこし邪魔になっていたので気になったのかもしれない。

 この弓は自分の身長より少し大きかった。

 エレーナも長さについては何も考えたことは無かったようだ。

「主に草原で狩りをしていたので、そのせいでしょうか」

 適当な事を言ってごまかした。

 冒険者は森の中やダンジョン等の狭い場所で活動することも多く、あまり長い弓は使わないらしい。

 この弓もエレーナのルーツを探る手掛かりの一つということだな。

 逆に言うと素性がばれる危険アイテムだ。

「ここからは森の中に入っていく。隊列は先頭から、スティーブ、僕、モーガン、リュー、ルイスで。探索ルートはスティーブに任せる。なにか他に?」

 アーサーは一呼吸置く。誰も異論はない。

「それでは、出発」


 前後に挟まれていると安心感がある。邪魔な枝や草は前の人が払ってくれているので歩きやすい。パーティを組む利点の一つだね。

 しかし周りに自分以外の人間がいると索敵距離とかは落ちていると思われる。

 しばらく歩くと前のほうに何かを感じた。

「前方に何かいますね」

「スティーブどうだ?」

「わかりません」

 感じた何かはまっすぐこちらに近づいてきているようだ。

「まっすぐこちらに来ます。前方少し左」

「全員警戒」

「あっ、おそらくオーク。一匹」

 前にいたスティーブからの報告。彼も何らかの索敵スキルを持っているのかね。

「このまま迎え撃つ。戦闘用意。スティーブ下がれ。僕とモーガンは前へ。リューはその援護。ルイスは、そのまま後方警戒」

 後方警戒要員を残しているしオーク一匹なら楽勝なのだろう。なら、矢はこの街で新規購入したものを試し打ちだ。

 スティーブとアーサーはがっちりとした壁になり立ちふさがる。これではオークを狙えそうもない。しかし構えておく。

 ほどなくしてガサガサと音が近づいてくると、茂みから人型の巨体が現れた。

 それを見てスティーブとアーサーは間を開ける。

 おおっ、射線が通った。

 距離は70mくらいか。

 身長は2m半弱、がっちりとした筋肉質のデブで本当に豚顔だ。

 右手にこん棒のような木を持っている。枝をむしり取ったような部分もたくさん見える。鬼の金棒のように飛び出しているそれは、かわすのも一苦労しそう。あれで殴られたら一撃で死ぬかも。

 全力でいかせてもらいます。

 風のエンチャントとホーミング、両方をかけてから早速放つ。

 ビシッ!

 矢はオークの顔面に突き立った。

 オークは受け身も取らず、そのまま足から崩れ落ちるように前方に倒れ込んだ。

「えっ」

 それはアーサーの声だったかよくわからない。

 オークは倒れたが気は抜かずにすぐさま第二射。

 今度は脳天に突き立った。

 オークはピクリともしない。

 第三射も構えたがそのままキープ。

 スティーブが近づいて行って石を投げつけた。反応はない。

「大丈夫だ」

 手招きしているので皆でむかう。


 スティーブとモーガンでオークをひっくり返す。

 矢はオークの鼻の穴に見事突き刺さっていた。

 折れた矢の長さから後頭部の頭蓋骨にあたって止まっているようだ。

 脳天の矢も頭蓋骨で止まっている。

 エンチャントをかけても頭蓋骨は抜けないらしい。

 そういえばグレートボアにも矢をはじかれたな。

 魔物は普通の野生動物と比べてかなり強靭なのかもしれない。

 脳天の矢を抜こうとしたがなかなか抜けない。少しこじったら、パキという音がして抜けた。しかし、よく見ると矢尻の先が欠けている。品質が悪いのか、魔物が強いのか。お金が溜まったら、矢はオーダーメイドにしよう。

「まさかオークを一撃とは。リューの腕前については申し分のない結果だな」

 アーサーがため息交じりに言う。

 なぜそこでため息?

「一応、連携も確認しておきたいから、もう一匹いこう。リューさん、次は少し手を抜いて下さい。一撃で倒されてしまうと、連携も何も確認できないので。もう少し、張り合いのある獲物を探そうとすると、ちょっと奥までいかなければならないので、お昼までに戻れなくなってしまいます」

「ああ、そういうことね。了解」

 そうだよね。さっさと帰りたかったよね。空気が読めずに申し訳ない。


 血抜きをしたオークはそのまま丈夫な袋に入れられた。それをさらに別の袋に入れる。この袋、マジックバッグというものだそうで見た目以上に物が入るのだそうだ。ダンジョン産で、オーク3匹くらい入るらしい。重さは10分の1に。この性能で小金貨2000枚。高い!かなり無理して買ったとか。それでも先輩の冒険者に安く譲ってもらったもので、新品だと6000~10000枚するらしい。

 もっとよく見てみたいがここは魔物の領域。帰ってからお願いしてみよう。

「ところでその弓。ちょっと見せてもらってもいいかな」

「どうぞ」

「うわ、硬い。よくこんなの使えるね」

 アーサーは軽く引いてみている。

 そりゃそうでしょう。身体強化使っているからね。エレーナの記憶様様です。矢をつがえようとすると無意識に発動する。

「これで昨日の腕相撲勝負の疑問が晴れたよ。トーマスが負けるわけだ」

 別にトーマスと戦ったわけじゃないが、トーマスに勝ったサラに勝っているから序列としてはそうなるか。


 しばらく雑談した後にまた歩き始めた。

 早い時間(おそらく午前5時くらい)から森に入っているのでお昼にはまだまだ時間があるが、もうさっさと切り上げたい。なんせ薬草やハーブを摘むこともできないし、歩いているだけはつまらない。みんなまじめで、おしゃべりなどせず無口だし。そこは独り身が長いので慣れているんだけどね。

 さっき、こっちがオークを見つける前に既にオークに見つかっていた可能性が高い。だとしたら魔力を放出して索敵を行う索敵魔法、これを使ってしまおう。

 ピコーン。なんて音はしません。静かに魔力を放つ。

 ん~、何も反応なし。

 では、全周ではなく角度を絞ってやってみる。

 まず前方へ。

「ん?やっぱり何か・・・」

 スティーブが立ち止まった。

「何かしている?」

 アーサーも振り向く。

 完全にこっちを見ている。

 立ち止まったし、もうこの際だからしっかり使ってみよう。

「ちょっと待ってください」

 目をつぶって集中し索敵範囲を右回りにぐるりと回していく。

 いけるいける。エレーナ優秀。矢が刺さったまま逃げた獲物を追いかけるのに使っていたようだ。

 そして反応がある。さっきのオークに似ている。

「今、魔法で索敵していました。右後方。こっちの方向に、500mくらい。多分オークですね。2匹。さっきのより少し小さいかも」

 指差しで方向を示す。

「えぇー」

 索敵をやっていたスティーブが呆れている。

「オレもそれなりに自信あったんだけどなぁ。そういえば、さっきもオレより見つけるの早かったし。流石エルフだな」

「いえ、それは経験の差です」

『若造が。』とは言わない。ふっふっふ。

「経験て、あんた何歳だよ」

「あれ?言ってなかったっけ?39だけど」

「「「「えぇーっ!?」」」」

 あっ、ハモってる。

「そりゃ、経験が違いますね」

 口調を変えるな。スティーブよ。

「おふくろより年上だよ」

 ルイスがつぶやいた。

 そんな余計な情報は不要です。ちょっと胸が苦しくなるので。

 しかし、これでよしっ。恋愛フラグは完璧に叩き折ってやったぜ。

 言い寄られても困るし。

「しかし、これはぜひとも、暁に入っていただきたい」

 と、巨体のモーガン。

「そうだな。これなら森を歩き回る時間が短縮されるし、弓の腕も一流だ。特別待遇にしてもいい。一回の探索で通常の報酬に加えて1000Cr追加で払う。それでもおつりが来そうだ。どうだろう?」

 アーサーの意見に、みんなもうなずいている。

「うーん、それは魅力的。しかし、断る!」

「えぇー!」

「安全な街の中で、暮らしたいので」

「勿体ない」

「街の中でも危険はいっぱいあるよ。人さらいとか」

 アーサーはあきらめない。

「それは、これで」

 右手を曲げて力こぶを作り左手でたたく。

 たいした事ない力こぶだが昨日の勝負を間近で見ていたみんなはうなずく。

「それもそうだが、見た目が細いから、知らないヤツからするとカモに見えると思う」

 それはそれで問題だな。

 なら腕相撲大会に出場して結果を残すか?

 いや無理だ、男性恐怖症だよ。

 しかし、そのくらい平気になるように特訓するか?

 一石二鳥かもしれないが、ま、今考える事ではないな。

 ここは魔物の領域だ。

 さっき索敵して反応が無かったからしばらく平気だと思うが、パーティに守られていると思うと気を抜いてしまいそうになる。

「さ、そんな事より、今どうするの?」

「そんな事ではない程重要な話なのだが、まあいい。よし、見つけたオークを倒しに行こう」


 索敵魔法でオークを監視していたが明らかにこちらに向かってきていた。やはりこれは気付かれているんだろう。アーサー達も何か感じていたようだし。魔物が寄ってきてくれるなら歩く距離も短くなるから、冒険者としてはこれでいいのかな。動物だったら逃げられてしまうけど。

「そろそろ見えると思います」

 アーサーに告げる。

「よし、全員でいくぞ。スティーブは左、モーガンと僕は中央、右にルイス。リューさんは援護」

 今度は最初から射線が開けてあった。

 構えて待つこと数秒。1匹目のオークが姿を現す。

 手を抜いてということだったから、魔法は何も使わず、第一射。

 魔法無し、普通の矢だとどうなるのか。

 オークは走りながらこん棒で矢を弾く。

 何っ!やるなぁ。

 暁は迎え撃つ体制で動かない。

 次はホーミングのみ。少し狙いを外して、第二射。

 矢が外れたと思って警戒を解いたオークの利き手の肩に矢が付き立つ。

 オークの顔がゆがみ反対の手で矢を引き抜く。普通に射ただけだと筋肉に阻まれてあまりダメージを与えられていないようだ。

 そのとき速度が落ちたのか後ろのオークが左に並んだ。

 次に番えたのはエレーナの矢。ホーミングだけかけて第三射。

 肩にダメージを負っていたオークは、自分のほうに飛んできた矢の射線をこん棒でさえぎる。しかしその矢はひょいと曲がり、もう一匹のオークの太ももに突き刺さった。

 オークはつんのめって盛大に転がる。

 オークは起き上がると矢を抜こうとしたが簡単には抜けない。返しがあるからね。

 この矢ならオークにも有効らしい。

「行くぞ」

 アーサー達は一斉に走り出す。

 スティーブとアーサーは、怪我した腕で力の入らないオークのこん棒の振り下ろしを難なくかわすと、左右に回り込みながら手足を切りつける。後ろに回り込まれることを気にしたオークに、正面からモーガンのハンマーが振り下ろされる。

 うわっ。

 一瞬目を背けたが、程よい力に加減されたハンマーはオーバーキルにならない程度に加減されていたようで、夢見が悪くなるような事にはならなかった。

 もう一匹のオークは矢を根元から折ると投げ捨て立ち上がろうとしていたが、間に合わず。ルイスの剣の振り下ろしをこん棒で防ごうと両手を上げたところに、アーサーの剣が胸元に深々と突き刺さった。

 確実に致命傷を与えたと思うが、アーサーは素早く剣を引き抜き飛びのいた。そしてオークの腕が空気をつかむ。しばらくアーサーを睨んでいたオークはあきらめたかのように目を閉じると崩れ落ちた。


「片方を足止めして、片方の攻撃力を削ぐか。おかげで同時に戦わずに済んだし、矢を弾かれた後の対処も冷静で何も言うことは無いね」

 アーサーから高評価をいただきました。

「ありがとうございます」

「しかし、さっきは目にも止まらぬ速さだったけど、今度の矢の動きは何だい?あれも魔法?」

「そうです」

「さすがだね」

「いえいえ。みなさんに守られていると思うからこそ、安心していられました」

「では、パーティを組んだ方がいいのでは」

 アーサーしつこいな。

「いえ、街中のほうが安心なので」


 また一つ使えなくなったエレーナの矢。矢尻だけは回収する。これは10cmくらい刺さっていたが、街で買った方の矢は3cm程度、オークに対しては力不足。普通に魔法が使えないアーチャーはどうしているのだろうか。マリーとかそのうち困ることになるのでは?パーティの中でもいらない子扱いされたりとか。

 今日はもう帰りということで、倒したオークの回収後、気が抜けたのか皆で順番に用を足す。そこに混ぜてもらったが遠くまで行けるはずもなく。気を使ってもらって見られていないとは分かっていてもはずかしい。やっぱり音がする。大人になる前の皮をかぶった息子はこんな感じだったと、はるか昔を思い出す。これは慣れるしかない。女だけのパーティ無いかな。それはパラダイス。いやいや街中で生活すればいいじゃないか。危険な事に飛び込む必要はない。

 数あるラノベの主人公たちはバトルジャンキーなのだろうか。こんな危ない事を仕事にしようとするなんて。

 しかし、パーティがいれば用足しに時間のかかるズボンをはいていても全く問題無いような気がする。お金が溜まったらいろいろ考えてみよう。

 それにしてもふんどしは悪くない。お股のところは布がたわんで形が浮き出たりしないし、布が重なって守られているような感じがする。隙間から大事なところが見えてしまうこともないだろうし、なかなか高機能なのでは?


 昼まで時間があるので、薬草やハーブ、木の実などを採集しながら帰れる事になった。

 これで塩味だけではなくなる。ハーブ&ソルトで臭みも抑えられ、おいしくお肉が食えそうだ。

 キョロキョロ見回しながら歩いていると懐かしい感じがしてくる。これはエレーナの感性だろうか。彼女の記憶が丸っとあるのだから、そっちに引きずられることもあるのだろう。最近気が付いたのだが、まずエレーナの記憶があり、その後、鈴木龍平の記憶が始まり今に至る。エレーナは前世の記憶とも言えなくはない。龍平の古い記憶よりエレーナの新しい記憶のほうが鮮明という不思議な感覚だけれども。最初の頃は頭の中を切り替えていたはずなので、これは龍平の記憶がこの体に馴染んできたのかな。

 そんなことを考えていたら珍しい木を見つけた。

 これはエレーナの矢に使われている木だ。

 硬くて丈夫、そして適度に重い。

「こっ、これは」

「ああ、確か高級な槍の柄に使われている木だな。確かに珍しい木ではあるし、高く売れるけど。それは持って帰れないよ。斧とか無いし」

 先にダメだしされてしまったが、ごねてみる。

「じー」

 アーサーの腰の剣を凝視してみた。

「剣は貸せないよ。斧の代わりにしたら折れるから」

「いえ、スパッと」

「それは無理だから。木だよ。それも硬い」

 ファンタジーな技とか無いのか。仕方ない。

「残念」

 木を切れるくらいの魔法無いかな。

 有るかな。

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