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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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合コン

 辺りは薄暗くなっていても大通りは人が多く歩いている。

 そのまま歩いていくと目的の店はすぐに見つかった。

 そこそこ大きな店で雨戸は開け放たれ見通しがいい。

 店内も明るく、そこそこ混んでいて笑い声が聞こえてくる。

 客層は金回りのいい冒険者が多いような気がする。

 ギルドの帰りに防具を付けたまま立ち寄ったって感じの連中だ。

 トーマスは店に入る前に見つけた。

 同じテーブルには他に女の人と男の人が座っていた。

 異世界合コンだな。

「おーい。こっち、こっち」

 店に入るとすぐにトーマスから声をかけられた。

 かなり大きな声だったためか他の客から注目を集めてしまった。

「おい、見ろよあれ」

「すげーべっぴんだな」

「あれ、エルフじゃねーの」

「本当だ」

 エルフの耳は人間より性能がいいのだろうか。

 ひそひそ話がよく聞こえてくる。

 とても恥ずかしい。

 すました顔で注目の中を歩いていき、不機嫌そうに席に着く。

 そして、まず文句を言う。

「ちょっと、これじゃ見世物みたいじゃないの」

「悪い、悪い」

 トーマスは笑っている。

 こいつは、これっぽっちも悪いとは思っていないやつだな。

「まずは、これが今話していた、リュー」

 これって言ったな、おい。しばいてもいいでしょうか。

「リューです。よろしく」

「それで、こっちがBランクパーティ(あかつき)のリーダー、アーサー」

「どうも」

 アーサーは結構整った顔だ。着ているものもいいし、どこぞのお坊っちゃんかな。

「んで、こいつがサラ。ギルドで解体をやっている」

「よろしくお願いします」

 サラは小さくてかわいい。ガキンチョを連れてくるなと言って自分で連れてくる?頭おかしいの?まさか自分の子供とか?よくわからん。


 店内は明るかった。ランタンではここまで明るくないはず。

 よく見れば炎のように揺らめいたりしていない電球のような照明器具が壁や天井からぶら下がっている。

「ん、何か気になるものでもあったか?」

「この明かりってなんですか?ランタンよりずいぶん明るいですけど」

「ああ、これは魔石灯だ。はじめてか?」

「そうですね」

 名前からすると魔石を使用した魔道具ってことなのだろう。

 そこにエールが4杯運ばれてきた。

「おっ、きたきた。じゃ、乾杯しようか」

「「「「かんぱーい」」」」

 飲んだエールは冷えていた。

 冷蔵庫あるんだな。魔道具かな。

 この世界でもお金さえあれば快適な生活ができるのかもしれない。

「みなさんは、どんな関係で?」

「サラは、職場の後輩。アーサーは、幼馴染だな」

「サラさんは、何歳ですか?」

 背はかなり小さいが。

「私は、17です」

「えっそうなんだ」

「背が低いので、よく言われます」

「こいつ、このみたくれで、結構力強いんだぜ。あいたっ」

 ん、なんだ?

「ドワーフの血が入っているんです」

「へぇー。ドワーフっているんだ」

「ま、歳取れば横にでかくなるかもな。あいたっ」

 どうやらテーブルの下でサラに足を踏まれているらしい。

「私からすると、エルフも初めて見ました」

 エルフもドワーフも希少種なのかな。

「エルフとドワーフって仲が悪いのかな?」

「さぁ。会ったこともないのにそんなこと無いと思いますが」

 良かった。変なしがらみが無くて。

「王都のほうとか迷宮都市に行けば、エルフもドワーフもいろいろな人が結構いるよ。別に仲が悪いとかそういう話は聞いたことが無いな」

 アーサーが話に入ってきた。

「迷宮!迷宮ってあるんですか!?」

 これはファンタジー。

「ああ、あそこには強い奴らが集まっている。下のほうまで潜れる奴らは大金を稼げるって話だ。というか、冒険者はみんな、そういう事にあこがれて冒険者になると思っていたんだが」

「すみません。お金が無いので、とりあえず冒険者になりました」

「そうか。でも、グレートボアを一人で狩れるんだろ」

「ええ、まぁ」

 この情報どこから漏れてるんだろうか?

「すごいじゃないか。うちらのパーティに入らないか?」

「えっ?」

 合コンじゃなかったー!

 接待だったのか?どおりで扱いが変だと思った。

「パーティを組めば安全性は高まるし、うちらはBランクだからお金もすぐに稼げる」

「え、すぐに稼げる?」

「そうだな。Dランクくらいの連中でも俺より稼いでいる」

 と、トーマスが口をはさむ。

 トーマスがいくらもらっているのか分からないが、普通の仕事では、あまり儲からないのかもしれない。ちょっと心が揺らぐ。ちょっとね。

「でも、それで危険な目に合うんじゃ?」

「危なくないと言ったら嘘になってしまうが、うちは安全マージンを十分にとっているんだ。今まではこの先のフォレストワースで活動していたんだけれど、魔法使いが一人休んでいるから今は討伐はやっていなくて商隊の護衛だけをしている。遠距離攻撃のできるメンバーが欲しいんだ」

「え、それって、私が入ったら討伐に行くって事では?」

「ま、まあ、そうなんだが」

「いやです。危ないことはやりません」

「えぇー・・・」

「それに、休んでいるっていうのは、怪我したって事なんじゃないですか?」

「それは違う。子供ができたから、しばらくの間休んでいるだけだ」

「まさか、父親が不明とか」

「そんな節操のないパーティじゃないよ。それに俺の妹だ」

「ふーん。でもそれだと、その子が復帰したら私はお払い箱という事なのでは?」

「そんなひどいことしないよ・・・。うーん、どうしたものかな」

 アーサーはトーマスと見つめあって、なにか合図をしている。・・・キモイ。

「じゃ、7日に1日だけ。それも討伐ではなく採集依頼だけってのはどうかな?」

「採集ねぇ。ものにもよるけど」

 とんでもない貴重なものを森や山の奥地にまで採りに行くという可能性もある。

「魔力草だ」

「魔力草ねぇ」

 ピクリと眉が動いてしまったかも。それは悪くない。ちょうどほしいと思っていたところだし。

 ここでトーマスが話始める。

「今、フォレストワースではハイポーションが不足しているんだ。それを作るのに魔力草が必要なのだが魔力草はそんなに生えていない。フォレストワースは採集をやるようなパーティも少ないし。そして、ここマデリンではいい採集場所があるんだが、魔力草を取りに行くほどの高ランクパーティがいない。昔は討伐のついでに持ち帰ってくれるパーティもいたんだけどね。フォレストワースは狩場が近いからみんなそっちに行ってしまったよ」

 ここでエールを一口飲んだ。

「で、ハイポーションの値段は錬金ギルドによって決められている。だから、魔力草の買取価格も上限がある。加えて魔力草は採集してからすぐに処理する必要があって、一回の採集量に上限がある。そして錬金術師はフォレストワースに引っ越した者も多くて、この街には3人しかいないから、その上限も低い。魔力草だけを採ってくるというのは、他の討伐依頼と比べて割がよくないから採りに行ってくれる人がいないんだ」

「ふーん」

 トーマスはアーサーを肘でこずいていた。

「俺たちは今、フォレストワースまでの商隊の護衛をしているんだが、行きに2日、向こうで1日休み、帰りに2日、そしてこっちで2日休んでいて、その休みの1日を魔力草の採集に行こうかと思っている」

「うーん」

「今は、男ばかり4人だけれど、妹もいたことだし、女の子に対する気遣いもできる。そうだ、メンバーを紹介しようか?」

「うーん」

「おーい。ちょっと来てくれ」

「え、今?」

 有無を言わさず呼びやがったよ。

 この飲み会あっちからもこっちからも監視されていたって事?

「ルイス。と、スティーブ。俺も含めて、皆剣士だ。スティーブは休んでいるレイラのパートナー。で、大きいのがモーガン。ハンマーを振り回している」

「「「よろしく」」」

「ども」

 みんなたくましいね。顔も服装も悪くない。Bランクというのは儲かるらしい。ガラの悪い連中とは隔絶している。

「んー。報酬は?」

「使った消耗品分を差し引いて、残りを均等割りして1/5。多少色を付けてもいい。もちろん使った矢の分は補填する」

「で、魔力草の今の買取価格と上限は?」

 これはトーマスへの質問。

「葉一枚14Crで、最大600枚までだ」

「ということは、8400Crの1/5。最大で1680Cr」

「計算早いな」

 確かに、この体になってから暗算は早くなったような気がする。

 報酬的には十分だが、ここは強気に行くべきか?

「うーん。買取価格は一枚15Crで。そして私の報酬は消耗品を除いて2000Cr。でどう?」

「そのくらいなら、俺たちは問題ないが。というか、一枚15Crになれば、俺たちもプラスだし」

 チーム暁の結論は早かった。

「15Crは、厳しいかな」

 渋ったのはトーマス。

「えー、そこは買取担当の意地を見せてほしいなぁ」

「俺の一存では、決められないんだよ。んー、分かった。14.5Crで何とかする。けど、今回限りな。アーサーもそれでいいか?」

 アーサーがメンバーを見回して異論がないことを確認する。

「じゃ、それで」

 そして手を出してきた。

 これは握手というやつですね。さてどうしようかと思ったとき横やりが入った。

「それでじゃないわよー!」

 ダン!

 同時にテーブルがたたかれる。

 驚いてとっさに振り向けば、そこにはマリーがいた。

「お姉さん!私たちを捨てるんですか!」

「ええーっ!そんなことないから」

 いったい、いつから話を聞いていたのだろうか?

「他のパーティに参加するんですよね」

「臨時ね。臨時。お試しってやつ」

「それで、良かったら行ってしまうんですよね。うぐっ」

 やば、マリーが今度は泣きそうになってきた。

 その前にアイアンイーグルのパーティに入った覚えもないのだが。

「違う、違う。入ったとしても7日に1日だけだから」

「本当に、本当に?」

「本当に」

「うわ~ん」

 お腹のあたりに抱きついてきたマリー。

「えぇー」

 どうすんのコレ。


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