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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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楽しい魔法実験

 コンコン。

 ノックの音がする。

「お姉さん、朝ごはん食べませんか?」

 マリーの声だ。

「すぐに行くから、先に食べてて」

「はい、じゃ先に行ってます」

 昨日は羽虫と格闘してそのまま寝てしまったか。

 頭にはタオルが巻き付いていて、ほどくと髪の毛はまだ湿っていた。重い。

 これ乾かすの時間かかりそうだな。

 魔法でどうにかできないか。

 水が出せるんだから消せるだろう。

 毛先で試してみる。

 砂漠のイメージか?

 暖かくなったがこれでは温める分効率が悪い。

 いっそのこと気化熱を水分子に直接与えて気化してもらえば?

 毛先に雲ができた。

 ふうっと息を吹きかけてみると雲は散って毛先が乾いた。

 なんかいい感じなのだが、もしかして自分の体にかけるとまずいことになるんじゃないだろうか?一瞬にしてミイラになるとか。瞬間的に気化して水蒸気爆発とか。シャレにならない。

 風魔法でそよ風を作りながら髪の毛の根元の方から毛先にかけて手の平で髪をなでる。その手の平の上にだけ弱く気化魔法をかける。なんかいい感じ。手の平が荒れることもなく数回なでるとだいたい乾いた。

 とはいえ(くし)もないので、こんがらかっている髪の毛はまとまりが悪い。ので、三つ編みにすることにした。

 当然オレにそんなスキルは無い。エレーナの記憶に頼るのだ。

 ゆったりと編んで気が付いた。どうやって止める?

 ひもが欲しい。

 洗濯物を干したひもがあった。端の方を少し切りそれで髪を止める。

 ん~、リボンでも買うか?

 いやいや、男ならそんなものいらんだろ。男ならな・・・。

 ぐう~。

 おなかが鳴った。

 メシだメシ。


 今日は午前中にウサギ狩りを行った。

 合計5羽。

 また3羽解体してこれはお昼になる。

 狩りが終わったらみんなとハイタッチしてみた。

 このぐらいでは何ともない。昨日ジークの足を触っても平気だったのだし、当然といえば当然なのだが、昼飯前のこのタイミングだと気分が悪くなってしまったとしてもちょうどいい。

 マリーは今日も仕留められなかったからか、ハイタッチにも元気が無かった。そして肉を焼いている間に弓矢の練習をしている。

 他の男共も素振りやら筋力トレーニング中。

 自分は肉の焼け具合を見ながら魔法の考察をしている。

 水を出すときエレーナのイメージは辺りから水を集めている感じ。主に草や土。

 さてイメージをもっと具体的に変えてみよう。

 H2O、水分子。それが空気中から集まるように。

 水分子なんて実際には見たこともないのでイメージは難しいが、少し試行錯誤するとちょろちょろ出ていた水がじょろろろと出るようになった。

 やっぱり具体的なイメージが有効なようだ。

 では温めるのはどうだろう。

 小石を手に取る。

 熱は分子の振動だ。

 分子に運動エネルギーを与えれば熱くなるはず。

 うん、熱くなる。熱くなるが効率的にはいまいちのような気がする。

 今度は熱を集めてみる。周りの空気中から。

 悪くない。

 今度はもう一つ小石を拾って片方から片方に熱を移動させる。

 おお、こっちの方が魔力の消費が少ないようだ。

 直接魔力で熱を発生させるより魔力で周りから集めた方がいい。

 電気ヒーターよりエアコン(熱交換器)の方が効率的なのは魔法でも同じのようだ。

 熱を集めたり散らしたりができるなら水を集めたら散らすこともできるはず。

 手の平に水を出して、次にその水を散らす。

 しゅわっ!

 蒸発とも違う感じで水が消えていく。

 今朝、髪を乾かした時とはまた違ったような不思議な感覚だ。

 と、思っていたら手の皮膚が乾燥してカサカサになった。

 危ない、危ない。ミイラになってしまう。


 肉の焼き加減はどうかな。

 焦がしたら大ブーイングだろうから気を付けないと。

 程よく焼けてきていたので裏面が焼けるようにひっくり返し、串を地面に刺し直していく。


 水が集められるなら他のものも集められるのだろうか。

 例えば金とか。

 原子番号何番だっけ?

 そんなの覚えているわけがない。

 金よ、集まれ!

 ・・・。

 集まるわけがない。

 くそっ、これができていればお金の心配はいらないのに。

 いや、銀行の裏手でやったらどうだろう。

 その前に銀行があるのか分からないが、ああ、大商店ならいいか。金貨ため込んでそうだし。

 いや、今、小金貨が一枚手元にあったはず。

 それが反応していないのなら無理か。

 もしくはかなり練習しないといけないのかも。

 練習する価値があるのかといえばあるのだろうけれど、それは今じゃないな。

 そうだな。周りにたくさんあって軽いものにしよう。

 窒素とか酸素とか。

 窒素は集めても確認が難しそうだから酸素にした。

 焚火の中に集めてみる。

 ボッ!

 焚火が燃え上がった!

「うおっ!」

 すぐさまのけぞったが前髪が少し焦げてしまっている。

 そして周りのみんなから視線を集めてしまった。

「ごめん、ごめん。何でもないの」

 いや、危なかった。爆発しないでよかった。

 肉が吹き飛んでしまっていたら大惨事だっただろう。

 集めるのは結構何でも行けそうだということが分かった。

 軽くて周りにたくさんある物ほど容易なのだろう。


 さて次は物を動かそう。

 暖かくするのも、集めるのも、突き詰めれば分子に対する運動エネルギーの付加だと思う。

 弓矢も高速で放てるので物を動かすことはできるはず。

 手の上に石ころを乗せて動かしてみる。

 ころん。

 石が転がった。

 成功だ。

 今度は持ち上げてみる。

 むむむ。

 気合を入れると石が空中に上がった。

 成功だ。

 しかし、魔力をかなり消費する。これは慣れていないだけかも。

 少し練習したがすぐには何ともならなかった。

 高さを維持するのは、そこそこできた。

 手のひらから距離が離れると同じ量の魔力を使用しても効率が落ちるようで、ある一定の距離で均衡する。しかも、きっちり真上方向に力を加えられないので右に左に移動して落っこちる。

 次に一気に魔力を込めて石を打ちあげてみた。

 最初の頃はよかったが込める魔力を増やしていくと、ある程度以上は飛ぶ高さが変わらなくなってきた。なんだか空振りしているような手ごたえの無さ。ある程度移動速度を想定して魔力を込めるタイミングと位置をずらしておけば悪くはないのだが。

 新しいことをするのには慣れが必要なこと、体から離れれば離れるほど効率が悪くなること、急激に大量の魔力を使うのも難しい事が分かった。これは収穫だ。

 そうなるとホーミングのように完成された魔法は相当高度な制御が行われていることに気が付く。何十メートルも先で高速で動く矢の軌道を曲げるほどの力をかけるというのは、ちょっと想像がつかない。


 エレーナの記憶を探る。後、使っていない魔法は・・・。

 風のエンチャント。身体強化。索敵。

 索敵ならすぐに試せそうだ。

 目をつぶって神経を研ぎ澄まし索敵を行う。

 太陽や焚火の熱を感じるように他人の魔力を感知する。

 だいたいの強さと方角はわかる。

 みんなの位置はだいたい感知できる。そして魔物は近くにいない。最大索敵範囲は100メートルくらいだろうか。

 これは魔法のうちに入るのか不明だが魔力はほとんど消費しない。

 普段から使いこなしておくべきだろうな。こんな危ない世界だし。

 これは魔力感知。いわゆるパッシブソナーのようなもの。

 そして魔力を放出して索敵を行う索敵魔法、アクティブソナーのようなものもある。しかし、エレーナはほとんど使用しなかった。

 索敵範囲や得られる情報が多くなる代わりに相手にも気付かれる。獲物に逃げられてしまうので動物相手の狩りでは使い物にならないというのが理由。

 試しに使ってみる。

「ん、お姉さん何かしました?」

「なんでもない。ちょっと魔法の実験中」

 マリーは何か気が付いたようだが、男共は全く反応がない。魔力を認識することができると感知するのかな。その辺は想像通りだ。

 ということは、相手が認識できないよう低レベルの魔力を使うとか、瞬間的に使うとか、魔力を小さく細切れとか細い糸のようにするとか、なにかしら工夫が必要だ。ああ、別のなにかと誤認させるというのも手か。とにかく今の自分で手に負えるレベルの話ではない。難しいなら何かしら完成された魔法があるのかもしれない。魔法書、読んでみたいな。


 次は身体強化。

 冒険者ギルドでレベル21と言われた。普通の人より4倍程度は力があるらしい。もともとエルフという種族の普通がどの程度かわからないが握力だけでも軽く100kgは超えていると思われる。

 小石を握って身体強化をかけてみる。

 ・・・、さすがに握りつぶせるほど化け物ではないようだ。分かっていたけどね。ちょっとだけチートを期待してみたり。

 焚火にくべるように集めた小枝を拾って折ってみる。

 次に身体強化をかけて折る。

 身体強化のレベルとしては大体2倍くらいの力が出るような。

 何か計測器があればこういう実験も面白いのにね。

 河原に行って大きな石でも持ち上げてみるか。

 おっと危ない危ない、肉が焼けてきたようだ。


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