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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第三章 魔法学園

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王都の一日

ここまでのあらすじ


魔物に襲われ死亡したエレーナというエルフに転生した主人公。

酒を飲んだ勢いで作ってしまった腕相撲協会や、猿・巨人討伐で死にそうになりながらも大金を稼ぐが、いつのまにか有名人となってしまう。

冒険者ランクも勝手にどんどん上がっていき、ついには最速でCランクへ。

そんな失敗を帳消しにすべく、安全な仕事と、快適な生活環境を求めて、魔道具の勉強をしに王都へと旅立つ。

道中、盗賊団に襲われるが何とか切り抜け、やっと王都にたどり着いた。


 王都を取り囲む壁は、マデリンやアップランドと比べるとそれほど高くない。

 そして、立派な門があった。

 その前には、ずらりと馬車の行列ができている。

 アップランドに入るときも門の前で止められて、荷物や人の確認が行われ、税金を払ったりしていたが、アップランドの南門はマデリンから来る馬車しか使用しないのでかなりスムーズに入門できた。王都はそうもいかないのだろう。

 冒険者は冒険者章を見せれば入門税はかからない。しかし今回も顔をジロジロと見られた。エルフってやっぱり珍しいですかね。


 門をくぐると夕暮れの通りを人がたくさん歩いていた。

 さすが王都、活気がある。

 頭の上に耳がついている人がいる。獣人だぁ~。

 顔立ちが人間に近い人もいれば、顔にもびっしりと毛が生えている人もいる。混血の具合によって様々といった感じのようだ。


 馬車はどこぞの商会に入っていき、自分たちはそこでお仕事完了。冒険者ギルドへ報告に行く。

 途中に屋台が並んでいたので価格調査。

 串焼きは7Cr。マデリンの2倍以上。

 黒パンは3つで1Cr。マデリンの1/6。

 食べ物の価格としては、肉は高いけれど、他はマデリンより安い。

 これはお金の価値観が分からなくなりそうだ。


 冒険者ギルドは大きな建物だった。さすがにマデリンとは違う。

 受付もすべて綺麗な女性で、応対も素晴らしい。

 マデリンから移動してきた旨を伝えると、何事も無く『王都へようこそ』と笑顔で返された。人種差別は無いらしいな。お近づきになりたいと思ったが、もう冒険者ギルドに用事は無い。残念。

 護衛の報酬として小金貨24枚(2400Cr)もらった。Bランクの暁としては少ない方だが、Cランクの自分としては多い方。

 どんな依頼があるのかと依頼ボードを確認してみると、多くは低ランク向けの街中での作業。そして、中ランク向けの護衛依頼と、高ランク向けの移動で数日かかるような討伐依頼。休みの日に少し仕事をするというのは難しい感じだった。


 宿は『(あかつき)』と同じ所にした。

 少々お高く、一泊で小金貨二枚。

 部屋には調度品もあり、そこそこ広く、ソファーとテーブルもある。

 そして、なりよりウォシュレット付きのトイレと、シャワーまで部屋に付いているのが気に入った。

 寮に入るまではここに泊まっておけとアーサーに忠告された。このランクが最低ラインらしい。

 高いと思ったが、貴族街に近く、実は図書館にも近い。

 部屋に荷物を置いておけるほどセキュリティも高いらしい。

 確かに今着ている装備は高級だ。かといって鎧を着て図書館通いというのもありえない。

 (ふところ)は温かいし、忠告に従う事にする。


 *****


 次の日、魔法学園に向かう。

 アーサーが一緒に来て案内してくれた。

 ちょうど学校が休みの日だったらしく、美しいロートアイアンの門扉は閉じられていた。

 そこから見える学園内は、真っ直ぐに数百メートル伸びる石畳の通路。その両サイドに植栽。奥にコの字型の3階建ての建物が見えた。

 もっとじっくり眺めたかったが、左右に門番がいる。

 ちらりと見ただけだったが、ギロリと動いた目と視線が交錯した。

「あのー。入学試験を受けたいのですが」

「入学希望者か。少し待ってなさい」

 威圧感が半端なかったのに話してみたら普通の人だった。

 アーサーは門の外で止められた。

 自分は一人で、門まで迎えに来た女性職員の後を付いていく。

 通用門のような扉をくぐり抜け、門のすぐ隣にある小さな建物の中にある受付のようなところで書類を書かされた。

 年齢は、もちろん39歳で通す。

 おや、今、女性職員の右の眉毛がピクリと動きましたね。見逃しませんよ。

 受験費用として小金貨一枚と一緒に、推薦状も提出する。三枚も渡したら変な顔をされた。普通は一枚なのだろう。

「魔道具科で間違いありませんか?」

「はい。間違いありません」

「魔法騎士科や魔法科では無いのですね」

「はい。魔道具科です」

 何度も確認されてしまった。冒険者ギルドの推薦状を持ったエルフが魔道具科というのも確かに変な話かもしれない。

 後は服装かな。今日は騎士服風のかっこいい服だし。

 まさか最初に中古で買ったみすぼらしい服や、冒険者装備で来るわけにもいかなかった。

「それでは、受付いたしました。これが受験票です。無くさないで下さい」

「はい」

「それと、受験日は7月10日です。この受験票を持って、二の鐘が鳴る前に、当学園までお越し下さい」

「はい」

 教会のある街では朝の6時から3時間おきに鐘が鳴る。その2番目の鐘なので、朝の九時頃。時計が無いので、時間を指定する場合はだいたい鐘が基準になる。

 そして、試験は三週間後だ。それなりに勉強する時間はある。

「この受験票を持っていると図書館が無料で利用できますので試験勉強に役立てて下さい」

「はい。ありがとうございます」

 よしよし。その事は話には聞いていたが、急に制度が変わる事もあるからね。

「試験は午前中に筆記、午後は実技になります。魔道具科の場合、実技は審査基準にはなりませんが、試験に落ちたとしても実技が優秀なら魔法科の推薦がもらえるかもしれませんから頑張って下さい」

「はい」

 これ、嫌なフラグが立っていたりしないだろうか。筆記に全力を出そう。実技は手を抜くことに決定だ。


 その後、アーサーと鞄を買いに行く。

 他のメンバーは別行動で買い物をしているらしい。

 ポールさんは仕入れだ。明日には『暁』と共にマデリンへの帰路につく。


 やってきたお店は専門店のようなところだった。冒険者や裕福な庶民が利用するような店だ。それに対して大きな商会は貴族向けのラインナップらしい。

 冒険者がよく使う巾着(きんちゃく)袋タイプや、鞄タイプ、リュック、ポシェットのような小さな物まである。

 マジックバッグは全て迷宮産で、おそらく行方不明になった冒険者の持ち物だったのだろうという説が有力だ。その根拠は、冒険者が良く使うような形の物が多いから。

 性能は容量の拡大と、重量の軽減。時間停止や保温という機能ものは無いらしい。物を吸い込んだりもしないので、口が小さいとそのサイズの物までしか入れられない。

 そして、マジックバッグは穴が開いたりすると高確率で壊れるらしい。

 そのため表や裏を補強してあるし、尖った物を入れないなどの丁寧な扱いも必要だ。

 その中で自分が選んだのは、60Lくらいの容量の旅行鞄。3倍の容量拡張で、重さの軽減は無い。

 鞄を中央から左右に開けると、奥行きだけが3倍になっている。

 鞄の下に手を入れ、鞄の中に手を入れると手が当たっても良いはずなのに当たらない。鞄の中に入れた手は、床を突き抜けているような位置まで入っていく。面白い!

 弓と矢は入らなそうだけど、装備は一式入る。


 それと、小さな巾着袋を買った。容量5倍の重量軽減5分の1。

 これはお金を入れるもの。この世界にお札は無いので、コインが地味に重い。それに、数多く見つかり人気もいまいちのため、少し性能が高くてもあまり値段が高くないのも良かった。


 鞄が20000Cr。巾着が2000Cr。

 200万円のバッグに、20万円の財布だと考えると、前世の自分なら絶対に買ってないな。

 でも買い物って楽しい~。


「アーサーは何を買ったんですか?」

 少し前に会計していたのを知っている。

「僕は、妹のお土産にポシェットを」

 箱に入って包装されているのでデザインとかは分からないが、サイズ感は分かる。

「マジックバックですよね」

「そうだよ。奥行きだけ8倍あってね。このサイズながら杖が入るんだ」

 小さめの箱を手の上にのせて、アーサーは微笑む。

 妹思いの良い兄貴だね。でも、恋人はいないの? シスコンですか?

 小さなポシェットから杖が出てきたり、剣が出てきたり。少し想像するだけで面白そうなのだが、弓はさすがに入らないよなぁ。残念。


 その後は、みんなと合流して美味しいお昼を食べたり、図書館の場所を確認したり、毒消しポーションを買ったり。市場で露店を見て回ったり。もちろん使ってしまった矢も注文しておいたし、装備一式のメンテナンスも頼んだ。

 そんな感じで、それなりに王都を楽しんだ。


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