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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第二章 王都への旅路

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山賊の賞金

 峠道を抜けると、草原が広がっていた。

 眺めが良い。

 今日も良い天気で、風が心地よかった。

 街道ゆったりとした下り坂で馬車は軽快に進み、順調にお尻も痛くなった。毛皮のコートを丸めてお尻の下に敷いたので少しは耐えられたが。

 やがて壁が見えてくる。

「あれがアップランドだ」

 モーガンが教えてくれた。

 壁の高さはマデリンと同じくらい。ただし、規模が違う。

 この国の中でも大きな都で、公爵様が治めているので公都とも呼ばれるらしい。

 すぐ近くの山中にミスリル鉱山があるため栄えている。


 馬車は、なんとか閉門前にアップランドに到着した。一年の内でもっとも日照時間の長い季節だったため到着できたのかもしれない。

 商隊はここで解散となる。

 ギルドの馬車は、数日後に出発するミスリルの輸送隊と合流して王都に向かう。

 自分たちの馬車は明日から単独で王都に向かう事になっていた。

 残念ながら観光はできそうに無い。

 アーサーは冒険者ギルドに出向いていった。山賊退治の報奨金をもらった後に、各パーティの代表が集まって報奨金分配の会議をしなければならないらしい。面倒くさいと言っていた。

 他の街の冒険者ギルドを見てみたいという気持ちもあったが、面倒事は御免被りたいので他のみんなと一緒に宿屋へ直行した。

 荷物を置いた後に近場のレストランで夕食を取る。

 エールを頼んで乾杯をしたが、口を付けずに炭酸追加する。

 すると、それに気付いたみんなのジョッキが私の周りに集まった。

「高いわよ」

 半目で軽く言ってみる。

「まあそう言うなって」

 払う気のないスティーブ。

「仕方ないなあ」

 お金に余裕ができると、心にも余裕ができるらしい。


「あの荷物を入れている袋って、素材収集袋だろ」

 スティーブはおしゃべりだ。話題に事欠かない。

「そうだけど。ちゃんときれいに洗ってあるから」

「あれで、学校行くのかよ」

「確かに汚いけど寮に入る予定だから、あれを持って通学するわけじゃないし」

「それにしても臭うだろ。あの中、服も詰め込んであるんだろう?」

「んー」

 確かに、奇麗に洗ったけど少し臭っている。

 もしかして、中に入れてある服を着たら大変な悪臭が辺りに漂うのだろうか?

「鞄くらい王都に着いたら買ったらどうだ。金はあるんだろうし。マジックバッグとか便利だぞ」

「え!? 旅行鞄にもマジックバッグあるの?」

「ああ。いろいろな形のものがあるし、性能もさまざま。王都なら品揃え豊富だ。デザインや性能にこだわらないなら、そんなに高くないはずだしな」

 それはいい事を聞いた。憧れのマジックバッグが買えるかもしれない。

 そして魔道具科に入ると、マジックバッグを作れるようになれないだろうか。もしそうなら嬉しい。


 もういい感じにほろ酔い気分になったとき、アーサーが戻ってきた。

「やっと終わったよ。あっ、それいいね。僕にも作ってもらえるかな」

 アーサーは目聡く泡エールを見つけた。

「で、どうだった?」

 スティーブもいい感じに赤くなっている。

「山賊は全部で金貨800枚くらいになった。下っ端は1人金貨1枚。親玉はかなり高額だったよ。100枚くらいかな。他にも金貨数十枚というのが何人か。それと装備や鹵獲品などで500」

「そこそこだな」

「親玉は、元々Bランクの冒険者だったらしい」

「通りで強かったわけだ」

 ルイスも感想を言う。

「でもなんでBランクが山賊なんかに?」

 疑問に思ったので聞いてみた。

「貴族を殴ってしまったらしい」

「それだけ?」

「Bランクが全力で殴ったもんだから、顎は粉砕されて、頭蓋骨も陥没。治療があと少し遅れていたら死んでいてもおかしくない状況だったらしい」

「怖っ!」

「力のある者は、それだけ気を付けなければいけないってことだね」

 そして、ジッとこちらを見つめてくるアーサー。

「何? 私!?」

 自分の顔を指さして聞き返す。

「そうだよ。もう僕らより力が強いのだから」

「いやいや、いやいや。そんな事ないでしょ」

「僕らの中で一番力のあるモーガンが、あのブロンゴにあっさり負けているんだよ。第二回大会で」

 ブロンゴというと最後の腕相撲大会での決勝戦の相手だ。惜しくも勝てなかったが・・・。そういうことかよ。

「なんなら今、試してみる?」

 アーサーが肘をテーブルに置いて誘ってくる。

 待て待て、今ここで目立つのは避けたい。

 このアップランドと王都の間は、往来がかなりあるという話を聞いている。ここでの噂が王都にまで広がるという事もあり得る。

 だいたい今でも周辺の会話から『金髪のエルフ』という単語が耳に飛び込んでくる。

 おかしい。バンダナを巻いて耳は隠しているのに。

「えっ、えぇと、気を付けます・・・」

 アーサーは笑っている。

 腕相撲していたら負けたかもしれないのに、いいの?

 それとも、やらないという事が分かっていたのかな?

「そうだね。気を付けて。Aランクのルーカスをタイマンでノックアウトした前科もあるし」

「あ、あれは事故! 事故なの!!!」

 思わず大声を上げてしまった。

「あ」

 すぐに気が付いたが、もう遅い。酒場の視線を一身に受けていた。

 やってしまった・・・。


「話は戻るけど、その高額賞金首は全部リューが倒していてね・・・」

「ちょっと待って! 親玉はみんなで倒したよね!」

 また誤解があるような。被せ気味に発言して、しっかり訂正しておいた。

「では、そういう事にしておこう」

 笑いながらアーサーが言った。

「で、分け前なんだけど、だいぶ犠牲者が出たからそっちに多く配分することになった。残りは賊を倒した人数で分配するような感じかな。本来なら倒した賊の賞金額で分配してもよかったんだけどね」

『暁』が賞金額の大半を取ってしまったら()めてしまうという事なのだろう。

「彼女たちは?」

 モーガンは救出された女性たちを心配していたようだ。美人ばかりだったし。

 ああそうだ、胸も大きかったな・・・。

「村に帰りたいものは騎士団が送り届けてくれるようだ。残りは、教会に併設の孤児院で働かせてもらえることになった」

 なんとかなったようで良かった。


 ちなみに山賊退治の賞金として小金貨22枚(2200Cr)をもらった。

 内2枚は毒消ポーションの分とのこと。

 めったに無い事とは言え、これならオークを狩っていたほうがよっぽど安全で楽だ。


 もう一つのBランクパーティ『女神の微笑み』は、1人が死亡。もう1人が片腕を失っている。片腕を教会で回復させるには小金貨500枚ほどかかるそうなので、どんなに賞金をもらったとしても赤字のはずだ。蓄えが無ければパーティ解散の危機だろう。

 車列の前半にいた他のCランクパーティなんてもっと酷い状況だ。平均2人以上死んでいるのだから・・・。



 明くる日、アップランドを出発し、一日ほど緩やかな丘陵地帯を下っていく。

 この辺りは魔物が出ないのか、牧畜が盛んなようだ。

 街道を下っていくほどに畑が多くなってくる。

 そして宿場街で一泊。

 宿場街にも塀は無い。平和だ・・・。なんてね。口に出したら引かれそうなので言わないが。中身が中年おやじだから仕方ないのだ。

 そこから先は、黄金色の小麦畑がどこまでも広がる大穀倉地帯。雄大な景観だ。

 風に揺れる小麦、それが波のように流れていく。

 こういう景色っていいなぁ。

 黄金の海を行く一艘の馬車。

 なんか旅をしているって感じがする。

 まあ、一日中見ていると飽きるんだけどね。

 その後、宿場街で泊まりながら平原地帯を二日ほど進んでいくと、壁と城が見えてきた。王都だ。



 人里離れた山奥の小川に舞い落ちた小さな一枚の木の葉は、くるくると回りながら流されていく。時に淀みで休息し、時に速い流れにもまれながら。他の流れと相まみえ、大きくなってゆく川の先にあるのは激流かそれとも穏やかな流れか。いつか大海へと注がれる、約束の地はまだ遙か彼方。


第二章 完です。

とても短くてすみません。


第三章は、まだしばらくかかります。

余りにも長い場合は、キリのいいところで投稿するかもしれません。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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