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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第二章 王都への旅路

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山賊(逆襲)

 山を登って行くと山賊が倒れていた。1人は心臓に矢を受け死んでいて、1人は脇腹に矢が刺さったままうめき声を上げている。

 その山賊と目が合った。

 どうしよう。

 どうやら矢を抜こうとしていたが、抜けなかったようだ。

 その山賊は必死の形相で起き上がろうとする。

 右手にはポーション瓶が握りしめられていた。

 矢が刺さったままポーションを飲んでも助からない事は承知の上で、飲もうとする山賊。

 束の間であっても動けるようになられるのは面倒だ。

 身体強化を発動し素早く距離を詰め、弓でポーション瓶をはたき落とす。

 宙を舞うポーション瓶を目で追いかけ絶望の表情に変わる山賊。

 遠い距離から人を射た。それにより死んだ人もいる。しかし、この至近距離で人を殺す勇気は無かった。

 山賊を『ヤレ』というアーサーの指示。それを思い出す。その非情で明確な命令が心の動揺を少しでも押さえ込んでくれたような気がした。

 山賊がこちらに視線を向ける前に目の前を通り過ぎ、頭を谷側へ蹴り飛ばす。

 結局、その場で止めを刺す事はできなかった。

 転がり落ちていく山賊は生きていたとしても応援の冒険者がなんとかしてくれる事だろう。

 次に石を落としていた山賊を見る。少し遠い場所で倒れていたが、ピクリともしない。しかし念のため、近くに落ちていた山賊の矢を一本拾い上げ頭を射貫く。

 ゴブリンやオークと同じだと言い聞かせ心の平静を保った。


 山の尾根を登ると馬車の隊列が見えた。その周りには冒険者と山賊が入り乱れて戦っていて、数多くの人々が横たわっている。

 奥にはギルドの馬車、その周辺に人は少ない。

 道の手前側、素早くアーサー達を探す。木々に(さえぎ)られ見難くはあったが戦っている姿を捉えた。

 ピュン。

 ほっとしたのも束の間、少し下の斜面から弓を射る音が聞こえてきた。

 明らかにアーサー達を狙っている。

 そうはさせるか!

 すぐさま構え、アーチャーが次の矢を射る前に、こちらから矢をお見舞いする。

 完全に油断していたアーチャーの首の根元に矢が刺さった。そして無言で転がり落ちていく。

 まずいな。味方の冒険者の方から矢や魔法が飛ぶ気配は無い。何人かは居たはずだが、優先的に狙われてしまったのか?

 索敵魔法で周辺を探り、山賊のアーチャーを探す。

 木の上に3人、地上に3人、山肌に3人。これで全てでは無いかもしれないが、馬車の隊列を囲うように配置されている。

 この中でもっとも脅威度が高いのは・・・、もちろん自分の近くに居る山肌の3人だ。アーサーとルイスにも近いし。

 自己中かもしれないが、自分に戦況を読む能力は無い。安全第一に考えても仕方ないだろう。

 転がり落ちていく仲間に気が付いた近くのアーチャーがこちらの方をキョロキョロし始めた。

 まずはコイツだ。発見される前に倒す。

 そして少し遠くの二人目を処理。

 三人目は山肌の影に隠れて見えないが、索敵魔法で居る場所は分かっている。猿の時にもやったじゃないか。

 曲がりにくくなる風のエンチャントをやめ、索敵魔法を頼りにホーミングのみで誘導する。こちらの方が高い場所なので、距離的にも問題は無い。3本の矢を使ったが、軌道を変えながら射続けたらついに当たったようで、落下していくのが索敵魔法でわかった。

「おいっ! 気をつけろ! 山の上から狙っているヤツがいるぞ!」

 誰かが叫ぶ声が聞こえる。

 ちっ、残念ながら見つかってしまったようだ。

 何本もの矢が飛んでくるようになってしまった。

 でもそれはそれで問題無い。

 こっちは結構な高所から見下ろしている。

 そう簡単に矢は当たらないし、こっちを狙ってくれるなら味方への攻撃が減り、それは味方を守る事になる。

 アーサーとルイスなら取り囲まれでもしない限り、そう簡単にやられはしないだろう。スティーブが発破を掛けていた援軍も駆けつけてきたのが見える。


 木の上にいるアーチャーはこちらを攻撃してこない。おそらく見えないからだと思われる。こちらからも姿は見えない。

 飛んでくる矢は(まば)らで、命中率が悪く、勢いが無い。でもそれを無視する事はできない。毒が塗ってある可能性もある。掠り傷でさえ負いたくない。次に狙うのは地上の3人に決めた。

 矢の本数も気に掛けなければならない。矢筒に入っていた矢は20本。そのうち11本は既に使ってしまった。残り9本だ。山肌を登ってくる途中で死んでいたヤツの矢筒を奪ってくれば良かったと思った。ここの山賊は何人居るんだよ!


 矢の攻撃が途切れた隙を見て地上の一人目に狙いを定める。相手もこっちに狙いを定めているが、無視して放つ。

 相手もある程度のレベル持ちのようで、この速い矢に反応し払おうとしたが失敗して喉元(のどもと)に刺さった。風のエンチャントと高所からの攻撃により、加速しながら飛んでくる矢を払うのは難しいらしい。

「気をつけろ! 異常に速いぞ!」

 地上の二人目が大声で警告する。

 そいつが放った矢が逸れていくのを確認しながら、お返しの矢を放つ。

 すると見事に弓で払われた。

 払われてもすぐに次の矢を、狙いを外して放つ。

 外れた矢の軌道を瞬時に読んだアーチャーは安心して次の矢を(つが)えていたが、その肩に矢が刺さる。革鎧程度なら貫通するようだ。

「ぐわっ! コイツの矢曲がるぞ! 魔法矢だ!」

 ここまではテンプレなのだが、あっという間に情報共有されてしまった。

「上のヤツを集中して狙え!」

 別の誰かが叫ぶ声が聞こえる。

 その声に呼応して木の上のアーチャーも地上に降りてきた。

 こちらを警戒しているヤツを狙うのは矢の無駄だ。ちょうど木から下りてきて、こちらを見上げながら探し始めたアーチャーを狙い一撃で倒す。

「あそこだー! あそこに居るぞー!」

 指を差して居場所をばらすヤツまで現れた。

 アーチャーは残り3人なのだが、もう完全にこちらを狙っている。

 だが、木の上に居た残りの2人はまだこちらの矢の軌道を見ては居ないはず。一斉に飛んできた3本の矢が逸れるのを見届けてから、そのうちの1人を狙う。やはり初見では対処しにくいようで、胸の辺りに矢が刺さる。

 残り4本。

 この矢を打ち尽くしたら、もう支援は無理なので後ろに下がってもいいのではないだろうか。そう考えたら気が楽になった。

 さっき矢をはたき落とされた方とは違う方のアーチャーを狙う。少し外して曲げたのだが払われてしまった。人間相手はやりにくい。2人残ったアーチャーをこれ以上倒すのは無理かもしれない。

 では、こちらを見ていない剣を振り回しているヤツを狙おうかと思ったとき、怒鳴り声が聞こえた。

「何人かで、山の上の奴を排除してこい!」

 指示を出しているヤツがいるな。剣を持ってこっちを睨んでいるヤツに目が止まる。あれが山賊の親玉かもしれない。

 狙いを定めてみるが、相手はこちらを凝視したまま動かない。

 手下のアーチャーが矢を払うほどだ、残り少ない矢を無駄にする訳にはいかないな。

 視線を下げると、3人ほどが勢いよく山肌を駆け上がってきていた。だったらまだ可能性のあるこちらを狙う。

 放った矢は近づいてくる山賊の先頭の1人めがけて飛んでいき、直前で曲がり、後ろの1人に直撃したかに見えた。が、その矢も払われてしまう。

 地上に居た奴らと違い近いので、矢を払うタイミングを掴むのも難しいかと思われたのに。こいつらやたらと動体視力がいい。後、残されている秘策は雷撃矢だが、ここでは障害物が多すぎて使えそうも無い。

 暫し考える。

 ・・・・・・。

 無理!!!

 味方の冒険者と合流してなんとかしてもらう事にしよう。

 だいたい1人で3人を相手にするなんておかしい。

 最悪はアーサーとルイスに泣きつこう。あの2人は最前線でバッタバッタと敵を薙ぎ倒している最中なので、邪魔はしたくない。でも、気に掛けてももらいたい。困った。


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